九十七ニャン 活動が結果になる
「・・・おぉー・・・
『猫カウンター』だー!!」
よくバーや居酒屋で、横に伸びているテーブル。それは、『カウンター』と呼ばれている。
知人と並んで食事をするのも良し、一人でじっくり味わうのも良し。
キッチンから一番近い席という事もあり、好んで座る人もいる。
調理過程が見える為、勉強にもなるし、頭を空っぽにして見ていられる。
料理に限らず、『作業風景』というのは、なぜか人を惹きつけるのだ。
かつおに関しては、誰の目も届かない、店の隅っこに座るのが好きなのだが・・・
非力なかつおでも簡単に持ち運べる上に、組み立てるのも簡単。
餌入れをはめ込む穴には、穴の大きさを調節できる留め具もセットしてある。
その上、穴の数は全部で5つ。これは、カツオの動画をよく見てくれている証拠。
最近来てくれたまんぷくの分も、しっかり用意してあるのだ。かつおは、思わず感動してしまった。
そして段ボールの中には、手紙も入っていた。
動画を回している最中な為、内容は口に出しては読めない。
簡単にまとめると、かつおの努力や活動に関する賛称や、『新しい家族』を迎えた事へのお祝い、これからの活動に対する応援・・・等、かなり長い文章で綴られていた。
そして、その文章の中には、かつてまんぷくを保護してくれた保護施設の名前もあり、かつおはその時の思い出に浸る。
思えばまんぷくを引き取ってから、もう四ヶ月は経とうとしていた。
今回も一筋縄ではいかなかったものの、見事にかつお家の家族の一員として定着してくれて、それが動画を通じて、視聴者達にもまんぷくが定着してくれた。
これもかつおの尽力の結果である。
様々な団体が手を結び、猫達の幸せの為に頑張ってくれている事は、かつおが頑張っ活動する目的の一つでもある。
最初は『一人の配信者』としての認知しかなかったが、地道な努力と活動の結果、今では『架け橋』の役割を担っているのだ。
その業界では、認知されて当然の存在となった。
名が知れると同時に、色々と気を使わなくちゃいけない事も増え、今まで以上に気を引き締めないといけないかつお。
下手すれば、今まで積み上げてきた『実績』や『時間』が、全部無駄になってしまう。
「・・・いやぁーね、自分もこうして色々と活動を続けていくなかで、少しでも暑さや寒さに翻
弄されたり、明日の命もままならない猫ちゃん達が救われているって、自分としても嬉しくて
嬉しくて・・・
結構ね、自分の活動を見て、色々と勉強してくれる方もいたり、保護猫活動に協力してくれる
方も現れたりして、お礼が言いたいのは自分の方です。
日本はね、不名誉な事に、野良猫や野良犬の殺処分の数が世界一で、猫を『神様』として崇め
る一方で、安易に命が売買されたり、命を捨ててしまう・・・という横行が絶えないんです
よ。
だからこそね、一人でも多くの人に、
『命の大切さ』『ペットとの生活の幸せと苦労』
を知ってもらえる事で、それがまた社会全体の動きに繋がってくれる事によって
『不名誉な世界一位』を脱却する、一番大切な事だと自分は思うんです。
動画にはね
「営利目的で猫を飼ってるんじゃないですか?」とか、
「命を軽んじているのはお前の方だ!!」
というコメントも、もちろんあるんですよ。でもね・・・・・」
そう言って、かつおは側にいたまんぷくを抱きかかえて、話の続きを語る。
突然抱っこされて驚いたまんぷくだったが、すぐまんぷくに甘え始め、頭をスリスリとかつおの手に擦り付ける。
「自分はね、この子達と巡り会えて、大変だけど幸せな生活が送れている事が何よりも嬉しいん
です。
コメントもね、冷たい言葉ばかりじゃなくて、
「保護猫ちゃんも可愛いですね!!」
「まんぷく君がかつおさんの元へお迎えされて本当によかった!!」
っていう、あったかいコメントもあるんです。
視聴者の中にはね、自分の活動をきっかけに、保護猫と共に生活を始めた人の写真も届いてい
るんですよ。
一枚一枚の写真に、飼い主さんと保護猫ちゃんの幸せが垣間見えて、パソコン画面の前でニヤ
ニヤしながら見てます、へへへっ。
そうゆう写真も動画にしたいんですけど、なかなかね・・・難しいんですよ。
でも、送られて来た写真は自分のパソコンにしっかり保管してあるんですよ。
いやー、血統種の猫も可愛いですけど、野良猫も個性が強くて可愛いですよねー!!
そうゆう写真やコメントも、自分の『動画配信の原動力』になってるんです。
この動画の主役はね、あくまで自分じゃなくて、まんぷく達だからね。
ねーっ!!
・・・・・って、さくらぁぁ、あはははははっ!!!」
ふとかつおが後ろを振り向くと、さくらが餌入れの穴に頭を突っ込んで、パニックになっていた。
餌入れ自体はそこまで重くないのだが、突っ込んだ頭が自分の力で抜けなくなり、身動きがとれない様子。
『入れ物に首を突っ込んで抜けなくなる猫』の動画は、よくSNSに流れている。
だが、それが単なる『入れ物』ではなく、『餌入れ』に頭を突っ込んで抜けなくなる猫がいるなんて、かつおでも全く予想外であった。
そして、ヤマブキ・レイワ・ネネの3匹は、つけっぱなしにしていたテレビで放送されている野球中継に釘付け。
バッターが打った球を、画面越しに追いかけていた。これも、猫あるあるな光景。
届いて来たグッズの紹介動画にしようと思っていたのに、いつの間にか脱線している。これもあるある。
新しい猫グッズにときめく猫達も、気ままに遊ぶ猫達も、どっちも可愛い。どっちも絵になる。




