九十八ニャン 一緒にご飯
「えーっと・・・ここにこうやって・・・
・・・いよしっ! ピッタリはまった!」
早速そのカウンターに猫の餌入れを並べようと、かつおがあれこれカウンターの位置を調節していたら、もうすっかり外が暗くなり、夕ご飯の時間。
とりあえず五つ餌入れを持ち運べるように、戸棚からトレーを取り出し、その上に餌入れを並べて持ち運ぶ。
普段は両手の指を使ってどうにか持ち運ぶのだが、カウンターにピッタリ入れる為には、きちんとはめ込まないといけない。
ご飯準備がいつもより楽しく感じているかつおと、まだカウンターの使い方が分からない様子の猫達。遊び道具なのか、そもそも自分達の物ではないのか。
皆で目を合わせながら考えている様子に、思わずかつおもクスクスと笑ってしまう。
「・・・よしっ! できたよー!
ご飯にしよー!」
そう言って、かつおがトレーを持ちながら猫達の元へ寄って来ると、いつも通りニャーニャーの大合唱。
だが、いつもと違うかつおの動きに、猫達の動きもぎこちなくなってしまう。
いつものかつおは餌入れを適当に床へ並べるのだが、カウンターの穴に、一皿一皿丁寧に入れていく。穴の大きさは予め調整していた為、餌入れを入れるとスポッと入ってくれた。
そして、5匹分の餌入れを5つの穴に入れると、ようやくヤマブキ達はカウンターの使い方を理解した様子。
「おぉー!! 食べてる食べてる!!
並んで食べてる!!
かぅぅぅあいぃぃぃーいぃぃーねぇぇぇー!!!」
かつおの興奮ぶりは、まるで新しいおもちゃに目をときめかせている子供の様だった。
その興奮ぶりは、カメラの揺れで十分察知できる。
今のかつおの両手は、カメラが落ちそうなくらい震えている。
興奮が抑えきれずに鼻息が荒くなっているかつおは、見間違えれば『変態』に見えるかもしれない。
そんなかつおをよそに、猫達はいつも通り、夢中になってモグモグご飯を食べる。
ヤマブキ達にはカウンターの意味が分からないが、見ている側にとっては、最高の光景。
5匹が一緒に並んでいるその光景は、『可愛い』の一言に尽きる。
バラバラの位置で食べるヤマブキ達も可愛かったが、並んでご飯を食べる光景も可愛い。
いつもはじゃれついて遊んでいるヤマブキとレイワでさえ、ご飯を食べている最中は、黙って寄り添っている。
かつお家の猫達は基本的に自由気ままな為、食べるスピードも、食べる位置も基本的にバラバラ。
だが、それが丁度良いのだ。
「へぇー・・・
並んで食べたら喧嘩になるかと思ってたんですけど、そんな事もなかったですね!
今後もこのカウンターを活用しようかな?」
そう言いながら、かつおはビデオカメラと同時に、カメラの連写も続けていた。ある意味器用である。
まるで『鉄道オタク』か『アイドルオタク』の如く、猫からカメラが離せない。
いつも以上にカメラを近づけて来るかつおに、まんぷくとネネは少々びっくりしている。
(・・・ふー! ご馳走さんご馳走さん!)
(レイワは相変わらず早いなー・・・)
(ヤマブキが遅いだけだよー)
いつも5匹のなかで、一番ご飯を食べ終わるのが早いのはレイワ。そして、一番遅いのがさくら。
ご飯を食べ終わった後の猫達は、決まってリラックスムードに突入。
レイワもご飯を食べた後では、ヤマブキにじゃれつく気力も湧かないのだ。
グゥー・・・
「・・・あっ、自分もお腹が空いてたんだ・・・あははははっ・・・
それじゃあ、今日はこの辺りで失礼します!
次回もまた、お楽しみに! それじゃあニャー!!」
かつおはビデオカメラを切ると、早速冷蔵庫の中を覗く。
その最中、ようやくさくらも食事を終え、ネネの元に駆け寄る。
レイワは自分の分を食べ終わってからも、他の猫の餌入れを舐めている。
かつおは冷蔵庫の中から『麻婆丼』を出して、レンジで温めている間に、餌入れを回収。
いつも通り、5つの餌入れには一粒もご飯は残っていない。皆綺麗に平らげてくれた。
餌入れを回収されたレイワは、水を飲みに行く。
カウンター自体も折りたたんで小さくできる為、ちょっとしたキッチンの隙間に収納する事もできる。
かつおは毎度毎度、『応援の品』を受け取る度に、進化し続ける猫グッズに圧倒されている。
車やスマホと同じように、猫グッズもコンパクトになってきているのだ。
「後でお礼のメール出さないとな・・・」
かつおは温まった麻婆丼を食べながら、お礼のメールを慎重に綴っていた。
一応相手は一会社である為、ちゃんとした言葉遣い等をネットで調べながら、何度も読み返して違和感がないか確かめる。
動画のワンシーンを切り取り、皆でカウンターをしっかり使っている写真も添えて。
後々、かつおはその会社から出品される新作猫グッズを調べてみると、今回貰ったカウンター以外にも、面白そうなグッズが多く並んでいた。
この際、かつおはあれこれ『購入ボタン』をポチポチしながら、試行錯誤しすぎて冷めてしまった麻婆丼を口の中に流し込み、辛さで案の定むせた。




