九十九ニャン のんびり日和
『猫』×『人間』のラブラブ動画は人気。
だが、それと同じくらい人気な組み合わせは、やはり『猫』×『猫』
猫同士がラブラブしている動画は、あらゆるメディアで数知れず。
『子猫同士』でも『老猫同士』でも、モフモフ同士がイチャイチャする動画は、観ている人々の心を引き寄せる。
その原理が分からなくても、理屈では説明できない魅力。それが、『動物の魅力』
人間の本能的に、『動物=可愛い』と植え付けられているような気すらする。
人間同士と関わり合う事で得られる『癒し』と、動物によって得られる『癒し』は、何かが違う。
言葉を交わさなくても、互いが互いにべったりな光景。黙って見ていたくなるような光景。
胸を締め付けられる程、苦しいくらい大量の『可愛い』が詰まった光景。
その『可愛い』が詰まっている場所は、時に『段ボールの中』だったり、『猫ベッドの中』だったり、『広々としたリビング』だったり。
かつおの家では、常にそんな癒しが、何処かにある。
だから、トイレに行く時や、部屋を移動する時には、必ず四方八方を確認するかつお。
いつ何処で、癒しが繰り広げられているか分からないから。
蒸し暑い夏になると、年中毛皮を着ている猫達は自然と離れていく・・・というわけでもない。
かつお家の猫は、常にいつも一緒にいる。
1匹がリビングへ向かえば、他の4匹もリビングへ。
1匹がケージの中で眠ってしまえば、4匹もとぼとぼとついて来て、一緒に寝る。
だから、1匹を探したい時には、大抵全員いる場所を探ればすぐ見つかる。
「あらー! 皆キャットタワーに集まってー!
どうしちゃったのー?」
かつお家に設置されているキャットタワーは一つではない。
二階には幾つものキャットタワーを設置して、猫達が縦横無尽に遊べるようにしている。
一部屋に集まる事は多いものの、一つのキャットタワーに密集しているのは、割と珍しい。
その珍しさと可愛すぎる光景に、思わずかつおの口調も緩んでしまう。
「クーラーの風が当たる場所はレイワが独占してるのね。そうだねー、レイワ君毛がフサフサだ
からねー
でも刈ってあげようとすると怒るからね。水分ちゃんと取るんだよー」
夏になると一番しんどくなる猫は、長毛のレイワ。真夏にフワフワのコートを着ているようなものだ。
ただ、前に一度、猛暑になった事をきっかけに、レイワの毛を夏だけ刈ってみようか・・・と思い、かつおは猫用のバリカンを通販で買った。
だが、その結果は散々なもの。
スイッチが入っていないバリカンには興味津々で近寄るものの、バリカンのスイッチを入れた途端、レイワはその場から逃げ出して、かつおでも捕まえられなかったのだ。
ご飯の時に、こっり刈ってしまう作戦に切り替えたものの、その作戦も失敗に終わる。
せっかくのご飯タイムを邪魔されたレイワは、自分の餌入れとヤマブキの餌入れをひっくり返して、大暴れしてしまったのだ。
それからというもの、そのバリカンは3階に封印する事になる。
その後、レイワの機嫌は約一週間経っても全然治らず、かつおでも危機感を覚えた。
そしていつの間にか、かつおもバリカンが嫌いになってしまう。バリカンが『トラウマ』になってしまったのだ。
『善意が押し付けだった』という事は、人間同士でもよくある事だが、そのダメージは想像以上に大きいのだ。
好き嫌いも猫それぞれなら、暑さ対策も猫それぞれ。
レイワ以外の4匹はそこまで毛が長くないのだが、それでもやはり、暑いものは暑い。
「ヤマブキー・・・溶けてるねぇー・・・」
ヤマブキは、まるで器から溢れているスライムの様な姿で、ダラーンとしている。
体が柔らかい猫だからこそ見れる光景。
真下からその顔を拝んでみると、白目をむいた状態で熟睡しているヤマブキ。
これにはかつおも、思わずしゃがんでいる腰が震えてしまうほど笑ってしまう。
まんぷくは、巣の中で頭だけを出して、『カタツムリ状態』のままリラックスしている。
かつおがカメラを横に向けると、完全にカタツムリ。
梅雨の時期は過ぎ、時期はずれのカタツムリは、毛がびっしり生えたモコモコになっていた。
「新種だなぁー」と言いながら、かつおもボケる。
そして、キャットタワーの中断には、ネネとさくらが、抱き合った状態で寝ていた。
夏にも関わらず、姉にべったりなさくら。
そんな妹に、姉も若干暑苦しそうな顔をしているものの、決して妹の好意を跳ね除けるような事はしないネネ。
一度くっついてしまうと、なかなか離れない。それがネネとさくら。
そんな2匹のラブラブ動画は、何年経っても視聴者から愛されている。
数年前と現在のラブラブ動画が比較される話題が、時折バラエティ番組に取り上げられている。
だが、体が大きくなっただけで、別段変わっている事はない。今も昔も変わらず、2匹は互いが大好きなのだ。
たとえ血が繋がっていなくても、同じ母親から生まれていなくても、同じ父親でなくても、生まれた環境が劣悪であっても。
二人の信頼は、かつお家に来ても、絶対揺るがないのだ。




