表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/136

その頃 翼の家では・・・

「はぁー・・・

 今日もネネちゃんとさくらちゃんは可愛いなぁ・・・」


自室のノートパソコンで、一人かつおの新着動画を眺めているのは、仕事終わりの晩酌に浸る翼。

部屋はそこまで綺麗・・・というわけでもなく、あちこちに壁には、ハンガーが引っかかっている状態のまま放置され、窓も若干白く澱んでいる。

あちこちに衣類が散乱して、いかにも『一人暮らしの男の部屋』という感じだった。

同じ男同士でも、かつおの場合私物が殆ど無いに等しく、家に転がっているのは、全部猫用のおもちゃ。

それにかつおは、床に物を置きっぱなしにして、猫達が悪戯をするのを防止しているのである。

大きめの段ボールならまだしも、『チュールの切れ端』でも誤飲の危険がある。

ヤマブキ達はロボット掃除機を恐れない為、年中ロボット掃除機が部屋中を駆け回り、猫達の安全と安心を守っている。

翼の家の場合、チリや埃以外の物で部屋が散らかっている上、部屋もそこまで広くない為、ロボット掃除機にとっては『魔境』である。

節約の為にソファやテレビがないだけで、まだ部屋が広く感じられる。

ニュース番組やバラエティ番組は、ほぼノートパソコンで補っている、それでもさほど困らない。

部屋の中は汚いものの、台所は割と綺麗な方である。

使い込まれたフライパンや鍋、フライ返し等もきちんと管理している様子。

お皿の数こそ少ないものの、キッチン用品はある程度揃っている。

どれもこれも、オークションサイトで買った『中古』なのだが、使い心地は悪くない。

翼は特に料理にこだわっているわけでもない為、中古で十分なのだ。

小さな冷蔵庫の中には『晩酌の材料』が詰め込まれている。

その他には、ビールや瓶入り焼酎・・・等、いかにも翼らしいラインナップ。


「・・・にしても今日はあっちーなぁー・・・」


パソコンが動いている事もあり、部屋の中はクーラーの冷気が巡回していても、ジワジワと暑さが薄い壁を伝って染み出してくる。

クーラーが設置されているだけまだマシな方ではあるのだが、何せ外と部屋を隔てる壁が薄い為、暑さを完全に遮断する事ができない。

家賃が安いのも、それが原因である。

ちなみに、翼の住んでいるアパートには、翼以外にも『3人』が住んでいるのだが、全員が近くの『工場』で働いている独身作業員。

翼はその工場とは無関係なのだが、工場の近くに翼の働いているコンビニがある為、実質3人とかつおは『社員同士』と言っても過言ではない。

工場の責任者も、よく翼のコンビニを活用している。

地方のコンビニは、住民達にとって『大きな娯楽』でもあるのだ。

社員じゃなくても入居できるのは、色々と規則が緩い地方ならでばである。

その上、『一軒家の空き家』も問題視されているが、近頃は『アパート・マンションの空き部屋』も問題視されている。

様々な手を使い空き家へ侵入して、何食わぬ顔でそこに住む人がいるのだ。

酷い場合、窓ガラスを割って侵入する輩までいるくらい。

勝手な不法滞在による修理費は、マンションやアパートの責任者が出さなくちゃいけない為、責任者が空き部屋対策に躍起になるのも頷ける。

管理人にとっては、家賃等の責任をしっかり取ってくれるなら、なるべく入居者を増やしたいのだ。

家賃は貰えるし、おかしな人間にアパートを荒らされるリスクも減る、一石二鳥である。

それに、一度『そうゆう事件』が起きてしまうと、イメージが定着して新たな入居者が来なくなってしまう。

地方のメリットは色々あるものの、デメリットの代表例は、『噂』の流れが早い事。

その上、噂に尾鰭がつく速さも早い。

一度『そうゆう噂』が経ってしまうと、なかなか消えてくれないのも地方。

だからこそ、事が起きる前に対処しないと、後で泣く羽目になる。






ドン ドン ドン


「・・・?」


翼があまりの暑さに、冷蔵庫からアイスを取り出そうとしてキッチンに向かうと、玄関のドアを叩く音が聞こえた。

かつお家の玄関にはチャイムがあるのだが、翼のアパートにはない。だが、翼は迷わずドアを開けた。

翼の元を訪ねて来る人は限られている為、そこまで不審に思わないのだ。

ドアを開けると、案の定、そこには同じアパートに住んでいる社員が、白い紙袋を持って来た。


「翼さん。

 コレ、旅行のお土産です!」


紙袋の中にあったのは、旅行土産の定番、『饅頭』だった。

その饅頭の表面には、可愛らしい猫のイラストが焼印されてある。


「実はあるサイトに紹介されていた『猫主人の温泉』に行ってみたくなっちゃって・・・

 有給使って行って来たんですよぉー! いやぁー・・・良かったなぁー・・・」


「・・・『猫主人』??」


「えぇ、その温泉旅館の主人でもあり、お客さん達をもてなしてくれるのが、猫達なんですよ。

 その猫達は元々野良猫だったんですけど、温泉旅館の従業員達が飼い始めて、すっかり『看板

 猫』として馴染んだみたいです。」


「へぇー・・・でもなかなか良い組み合わせだよな。俺も行ってみたいけど・・・」


「後でその旅館が紹介されている動画、紹介しますよ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ