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九十五ニャン 無事帰宅

『異常ナシ』という事で、その日は診察だけで終わったまんぷく。

帰る頃にはすっかり元気になったまんぷくは、胃の中のモノを色々と出してしまったせいで、お腹が空いている様子。

車にある時計で時刻を確認すると、もうすぐ晩御飯の時間が来る。

獣医からは、「何かまた異常があったら来てください」と言われたものの、まんぷくの様子から見て、晩ごはんを食べても別に問題はなさそうであった。

かつおとまんぷくが家に到着した頃になると、家の窓から4匹の猫がこちらを覗いているのが見える。

かつおがまんぷくを連れて、家のドアを開けると、4匹はドタドタと慌ただしく階段を降りて、かつおの側に駆け寄る。

そして、ケースから出てきたまんぷくの臭いを嗅いだり、毛並みを整えてあげたり・・・で、こちらもいつもと変わらない様子で、かつおもようやく安心して、晩御飯の支度にとりかかれた。


(まんぷくが無事で何よりだ、レイワもすごく心配していたんだよ。)


(そこまでしてないけどねー)


(ふーん、ついさっきまで、


(まんぷくが帰って来なかったらどうしよう・・・・!!)

 とか

(もうまんぷくとは会えなくなるのか・・・?!)

 とか、ワーワー騒いでいたのはどこの猫だ?)


ヤマブキが優しく笑いかける。

レイワは照れ臭そうに前足で顔を隠しながら、ちらちらとまんぷくの様子を伺う。

そんなレイワの様子を見て、ヤマブキの言葉が大袈裟ではない事を悟ったまんぷく。


(聞いてよ、まんぷく。さくらなんて、ついさっきまでギャーギャー泣いてたのよ。


(せっかく『弟』ができたのにー!!!)


 って、もう耳が痛いわよ。)


(だって・・・突然まんぷくがいなくなっちゃうの、嫌なんだもん。)


(・・・そうね、私も。)


さくらはまんぷくがいない間、ずーっと鳴きっぱなしだったのか、ちょっと鳴き声が枯れている。

まんぷくは、嬉しいような、申し訳ないような、そんな気持ちになった。でも、嬉しい事に変わりはない。

まんぷく自身も、あの時の経緯をどう説明しればいいのか分からない。

だが、安心している4匹の様子を見ていると、もう説明するのも諦めてしまう。

かつおにとっても、今回はかなり焦ったが、いい勉強になった。

猫にとっての『トラウマ』を覚えておけば、今回のような事故を未然に防げたり、避ける事もできる。

ただ、やはりやってみないと分からない節もある為、事故が起きてしまうのは仕方ない。

まんぷく自身も、まさかマグロを食べただけでこんな事態になるとは思いもしなかった。

本人・・・ならぬ、本猫ほんびょうも、意図していなかったのだ。

・・・という事で、今回の件は『両者痛み分け』という事で、お開きにした。

まんぷく自身の体調に異常が見られなかっただけで、かつおは心の底から安心できる。

今回の件で色々と心配をかけてしまったヤマブキ達4匹に関しては、病院に行って疲れたまんぷくが寝入っている間に、こっそり『高級おやつ』をご馳走してあげた。

『猫達の誕生日』『初めて出会った記念日』にしかあげないおやつなのだが、今回だけは特別。

そして、おやつを食べ終えた4匹は、まんぷくと一緒に一つの猫ベッドで塊になって眠ってしまった。


その時を撮影した動画に関しては、要所要所にカットを挟みながら、当時の様子や心境を実況する。

そして最後には、自分の胸の内や、勉強になった事をまとめた。


「今回はね、色々と大変ではあったんですが・・・

 まぁ、『生き物を飼う』ってそうゆう事ですよ。

 相手の苦手なところも、嫌いなところも受け入れつつ、得意なところも好きなところも受け入

 れる。

 今回に関しては、本当にびっくりしました。

 これからは、まんぷくにキャットフードやおやつ以外のものをあげる時とか、新しいご飯に挑

 戦してもらう時には、目を離さないように、注意深く見守りたいと思います。

 獣医さんにも見てもらいましたが、結果は何の異常もなかったみたいで、その言葉を聞いてよ

 うやく安心しました。

 今改めて動画を自分で見返してたんですけど、相当自分パニクってましたよね・・・

 いやぁ・・・あの時は本当、パニックと困惑が混ざり合って、よく分からない感情になってた

 んですよね。

 まんぷくと一緒に動物病院まで向かった記憶も、正直薄いんですよ。もう必死すぎて・・・

 でね、猫達が寝静まったので、改めてリビングの床を掃除しようと思います。」


かつおがカメラを持ち、5匹が塊になっている風景を撮影していると、彼の中でずっと溜め込まれていた疲れが押し寄せてしまう。

床を掃除した後は、そのままリビングで寝入ってしまったかつお。体もだが、頭も疲労困憊状態だったのだ。

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