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九十一ニャン ひと段落

「いやぁー・・・大変だったよー・・・

 結局店の商品、半分くらいダメになっちゃってさー・・・」


「そうだね、それくらい大きな地震だったし・・・」


「まぁ、備品とかが壊れてないだけ、まだマシと思わないとな。

 こことは違うコンビニだと、ガラスが割れたり電球が割れたりで、まだ営業できないところも

 あるみたいだし。」


あの大きな地震が起きてから、数日が経過した頃。

ようやく翼の働くコンビニも落ち着きを取り戻し、店に来たトラック運転手も安堵の表情を見せていた。

外に出ている時に地震が起きるのも怖いが、運転中に起きるのもまた怖い。

その上、『トラック』という荷物を背負った車の場合、少しでも地震でよろけてしまうと、すぐ横転してしまう。

そんな事になれば、荷物も運転手もひとたまりもない。

外に出るのが少し怖かったかつおだったが、勇気を振り絞って外に出て、辺りを見回してみた。

だが、そこはいつもと変わらない風景が、のどかな風景が広がっていた。

並び立つ家々、電線で休憩する鳥達、澄んだ青空。その光景は、地震が起きる前とは何の変わりもない。

それを目にしただけでも、かつおはようやく心の底から安心できる。

猫達もだいぶ落ち着きを取り戻し、今では普通にご飯を食べてるし、普通に遊んでいる。

地震が起きた直後は、餌を用意してもなかなか食べなかったり、食べるのに時間がかかったりした。

人間も動物も、ショックを受けたりすると、体や精神に現れる異常というのは、ほぼ同じなのだ。

人間であるかつおは、もう幼い頃から大小関わらず、何度も地震を経験している。

ただ、それでも慣れてくれないのが、災害の恐ろしいところ。

・・・慣れるのはそれはそれで問題なのだが・・・


「・・・・・あ、そうそう。かつおに渡したいものがあったんだ。」


「ん?」


そう言って、翼はスタッフルームに引っ込んだ・・・と思ったら、すぐさまかつおの元へ戻って来る。

翼の手には、『マグロの刺身パック』が握られていた。

その表面には、『半額』という文字がプリントされてあるシールが貼られている。


「さっきさ、スーパーでコレ見つけて、『晩酌のお供』に・・・って思ったんだけど、買った後

 に近所の人から『おつまみセット』貰ってたのすっかり忘れててさ。

 ほら、コレ賞味期限が今日までで、俺もおつまみセットの方を先に消化したいからさ。

 コレはお前にあげるよ。猫達にも、いくつかご馳走してやってくれ。」


「おぉー・・・

 そういえばここ最近、刺身なんて食べてないな・・・

 嫌いなわけではないんだけど・・・」


かつおの家からスーパーまで、車を使っても十数分はかかる。

スーパーの方がコンビニよりも、新鮮な商品が揃っている上、安い。

だが、かつおの一人暮らしでは、スーパーで節約しても微々たるもの。

そこまで食に関するこだわりがない上、食べる量もそこまで多いわけではないかつお。

大家族で、食べる量が多いのなら、少しの節約が家計に大きく貢献する。

だが、かつおの場合、「胃に入れば何でもいい」というスタンスを持っているくらい、食に無頓着。

椿から貰っている料理に関しては、好き嫌いなく食べている上、体調が悪くなったらちゃんと安静にしているかつお。

暴飲暴食も滅多にしない為、かつおにとってはコンビニが家の近くにあるだけで、十分満たされた生活が送れる。

ただ、毎晩晩酌を嗜んでいる翼にとって、スーパーは『おつまみ売り場』である。

おつまみにピッタリな『生物なまもの』や『お肉類』が勢揃い。

翼は晩酌にお金を注ぐ為、いつも自炊である。『お酒』+『おつまみ』の金額は、馬鹿にできないのだ。

かつおの3食分で、翼の晩酌一回分の金額にようやく達するくらいの出費。

翼がコンビニで働くのは、『お溢れ』目的もある。

おつまみにだって賞味期限があるから、翼はそれを狙っているのだ。




「もうすっかり外が暑くなってるから、早めに冷蔵庫へ入れてくれよー

 あと、雨だから湿気も凄いし。」


「・・・そうかー・・・もうそんな季節だったなー・・・」


「・・・・・・・・・・

 お前、ちょくちょく外出た方がいいぞ。外に出ないせいで、感覚おかしくなってんじゃないの

 か?」


季節はもう春と夏の中間を越え、いよいよ暑さが本格的になる夏が間近に迫っていた。

人間にとっても、動物にとっても、暑さは天敵である。

・・・いや、動物の方が、もっと厄介なのかもしれない。

人間は暑くなっても『薄着』すれば暑さはしのげる。

ただ、『毛が生えている動物』は、『年中上着を着ているような状態』に等しい。

太陽がギラギラと照りつける炎天下の下で、上着を羽織るなんて、正気の沙汰ではない。

家で飼われている動物には、『クーラー』や『扇風機』の恩恵があるが、野生の動物はそうもいかない。

夏になると、あちこちの動物園や水族館で、暑さにやられている動物の映像が、よくニュースで流れている。

その光景は、人間にとっては『可愛い』の一言で片付けられるが、動物達にとっては『死活問題』

温暖化等に振り回されているのは、人間ではなく動物の方だ。

かつおも暑い時期になると、電気代をケチらず、クーラーで室内の温度を調整しつつ、猫達の体調管理も怠らないようにしないといけない。

特に『水分補給』は、人間にとっても動物にとっても重要な事。


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