八十一ニャン でも苦手な事は苦手なのだ
「ハイ こんにちわー! 配信ニャンの黒子、かつおでーす!!
えー、実はですね、今回は皆さんに、お知らせ・・・というのかな?
我が家で起きた、ちょっとした『珍事件』について、話していこうと思います。
いやー・・・あの時はだいぶ焦ったなー・・・
事件自体はね、そこまで痛々しい・・・というわけではなかったんですよ。
ただね、私の人生史上、初めて起きたタイプの事件だったので、正直ね、本気でパニクっちゃ
いましたよ。」
かつおが淡々と、この前の『猫ドア事件』の件を、カメラの前で語っている。
その膝の上には、ヤマブキがのんびりくつろいでいた。
いつもは遠くから見守るスタンスのヤマブキだが、たまにかつおの膝の上に乗りに来るのだ。
・・・いや、かつおが椅子に座っている時、膝の上には十中八九レイワがいる。
だからヤマブキは、レイワに配慮して遠慮しているのだ。
しかし、今日は珍しくレイワがかつおの膝の上に乗ってこない。
レイワは猫ベッドの上で、口を半開きにしたまま熟睡している。
かつおが動画を撮り始めようと、お構いなしの様子。
その安らかな寝顔は、撮影を始める前に、かつおがしっかりスマホで撮影して、SNSにアップ済み。
ネネ・さくら・まんぷくの3匹は、かつおの足元でくつろいでいた。
時折足の指で相手をしながら、撮影を続行するかつお。
カメラには映っていないものの、かつおの特技(?)はDIYだけではない。
かつおのDIY作品はそれ程多く動画に出しているわけではないのだが、猫動画と同じくらいの視聴回数を誇っている。
本人は、何故こんな『作業動画』を、視聴者が好き好んで見ているのか、未だに分からない。
ただ、『作業動画』を好んで見ている人というのは、意外と世界中に多い。
『音フェチ動画』が一時期流行ったのと、同じ原理である。
猫以外の動画、かつおがメインの『サブアカウント』の登録者数もなかなかの数。
「まさか自分の日常動画なんて、見る人はせいぜい数十人程度だよなー」と思っていた当初のかつおだった。
だが、サブアカウントも人気になってしまうと、サブアカウントでも色々と気を使わなくちゃいけなくなる。
ゲーム実況者も、クッキングチャンネルも、サブアカウントで何かと活動をしていた為、かつおもそれに便乗したのだ。
この結果が、嬉しい誤算なのか、それとも・・・
「事件が起きたのはですね、数日前です。
その日、自分はいつも通り、夕ご飯の支度をしようと、2階から1階のキッチンへと階段を降り
ていました。
その時はね、まんぷくも自分の後に続いて、トコトコ歩いてたんですよ。
・・・で、まんぷく以外の猫は、2階で仲良くお昼寝していたんですよ。でもね、
「ご飯の支度を始めたら、いつも通り『音』で気づいて来るんだろうなー」と思い、準備を進
めていたんですよ。
ところがね、しばらく経ってもなかなか来ないんで、心配して2階まで様子を見に行ったんです
よ。
そしたらですね・・・
今、私がイラストにしたんですけど、こんな状況になってたんですよね・・・
それがこちら
デデーン!!!」
事件が起こった際、撮影はしていなかったものの、当時の記憶はしっかり頭の中に入っていたかつお。
実はかつお、『人物画・風景画』は苦手なのだが、『猫の絵』だけはものすごく上手い。
過去に、『猫の去勢手術に関する分かりやすいイラスト』を描いて、動画に載せた事があったのだが、その動画に寄せられたコメントには、
「分かりやすかった!」「勉強になった!」
というコメントもある一方で、
「絵、上手いですね!」「動物病院で貼られていても不自然じゃないレベル」
というコメントも寄せられ、描いたかつお本人が驚いている。
てっきり、「気持ち悪い絵を軽々と動画にするのはやめてください」というコメントをされる事も、承知の上だったかつお。
だが、当時問題になっていた『多頭飼育の要因』について、きっちり動画内で説明を加えたかったかつおの意志が勝り、批判覚悟で勇気を振り絞り、動画を投稿した。
なるべくまろやかに、分かりやすく表現する為、そこまで凝った絵ではなく、サラーッと描いた絵。
そんな絵が、視聴者達から称賛されるなんて、一ミリも思っていなかったかつお。
・・・が、その動画には、かつおと動物病院の院長が、二人で猫の去勢について話し合う絵も描いて動画にしたのだが、そのシーンに関してのコメントには・・・
「猫の絵との落差がすごいwww」「逆にシュールwww 」
と、猫の絵とは違う意味で反応されて、凹んでいいのか、喜んでいいのか、分からなかったかつお。
それもその筈、猫の絵はちゃんとリアルを交えつつも、可愛く描いているのだが、人間の絵に関しては、完全に『棒人間』
かつおなりに、人間をしっかり描こうとするものの、どうしても輪郭やら色々なところがおかしくなり、仕方なく棒人間になってしまうのだ。
ただ、棒人間でも『エフェクト』や『配色』をいじる事で、『悲しい感じ』や『嬉しい感じ』を演出できている為、動画的には結果オーライなのだ。
その後も定期的に、猫達との生活を絵にして動画にする時、時々『棒人間シーン』を入れる事で、逆に視聴率が上がる事を知ったかつお。
複雑な心境を抱えつつも、自身の描いたイラストを頑張って動画に載せている。
一度、
「かつおの描く絵(棒人間も含む)を『Tシャツ』や『ぬいぐるみ』にして販売してみないか?」
という話が、事務所から来た事があったのだが、全力でお断りしたかつお。
もう、イラストを載せた動画のコメント欄を読むだけで、彼の心は混沌として、その他の事は考えられないのだ。




