七十二ニャン 猫達にとってのアイドル それは・・・
そして、猫達が注目するのは、最新の猫グッズではなく・・・
『ミャーオ!!』
(段ボーーール!!!)
(あっ!! さくらずるいー!!!)
かつおが商品を取り出し、空になった段ボール箱に群がる猫達。
割と大きな段ボールなので、最大3匹までなら入りそうである。
一番乗りしたのはさくら、その次にまんぷくが段ボールの中へと吸い込まれていく。
(おい、レイワは最後にしろよ。
お前ただでさえ毛が多いんだから、お前が入っただけで箱が毛で埋め尽くされる。)
「シーッ!!!」
(おうおうおう!!! 言ってくれるじゃねぇかぁ!!!)
(はぁ・・・全く・・・)
喧嘩を始めるヤマブキとレイワを無視して、ネネも段ボールへと入っていく。
かつおはというと、初めての家電にあたふたしながらも、使い方や機能等を確認する為、本体に貼り付けられていたカードのQRコードを読み取る
そして、スマホ画面に映る説明書を頑張って読んでいた。
かつお自身、機械や家電には割と詳しい方なので、一度読めばある程度は理解できる。
(ふぁぁぁ・・・
段ボールいいね、お姉ちゃん。)
(これは一体何日もつかしらね。
前に使ってた段ボールは、さくらが底を掘り返しちゃったから、ボロボロになって捨てられち
ゃったけど・・・)
(それは謝ったでしょー!!)
段ボールでモフモフ同士がもみくちゃになり、段ボールの中が更に暖かくなる。
段ボールの外では2匹が、段ボールの中では2匹が、それぞれ争っていた。
そんな荒れ狂う環境の中でも、まんぷくはうっとりしながら眠ってしまう。
ネネとさくらに下敷きにされても、ぐっすりな様子のまんぷく。
「えーっと・・・コンセントを差し込んでー・・・えー・・・」
ドゴォ!!!
「うわぁ!!!」
『ミャオ!!!』『ミャ!!!』『ニャーア!!!』
(わわわっ!!!)(キャッ!!!)(わぁお!!!)
段ボールの外野で争っていたヤマブキとレイワ。
レイワがヤマブキに突進を仕掛けたのだが、ヤマブキはその攻撃をヒラリとかわし、レイワはそのままダンボールに衝突。
猫3匹分の重さはあったのだが、衝突の勢いで段ボールは真横にバタンッと倒れ、中にいた3匹が投げ出された。
(おーにーいーちゃーん・・・・・)
せっかくの居心地を邪魔され、さくらはガチギレ状態。
ヤマブキとレイワも危機感を感じ取り、2匹で一緒にリビングから退却する。
まんぷくはというと、一瞬驚きはしたものの、また眠ってしまった。
もうここまでくると、『野生』を完全に忘れているとしか思えない。かつおの努力の結果である。
それに、ヤマブキとレイワの喧嘩はいつもの事。
そこまで気に留めない感覚が、体や脳に染み付いてしまったのだ。
「あはは、皆は『そっち(段ボール)』があればいいのか。」
ようやく使い方が頭に入り、試しに1匹、箱ドライヤーの中に入れようと、さくらを捕まえて箱に入れる。
箱自体には難なく入ったのだが、普通の箱とは違う事を誰よりも早く察したのは、まんぷくであった。
出入り口のドアが透明になっているので、中でうろちょろしているさくらがよく見える。
てっきり、中に入れるだけでも一苦労するのかと思ったが、さくらがあっさり入ってくれたおかげで、希望が見えてきたかつお。
さくらのお風呂は、洗うだけでも一苦労なのだが、乾かすのにもだいぶ時間がかかるので、さくら1匹に1時間以上は費やしてしまう。
しかも、あっちこっちに動き回るさくらを追いかけるのも大変。
逃げ回るさくらも可愛いのだが、かつおの労力だって無制限に出るわけではない。
お風呂も苦手だが、ドライヤーも苦手なさくらの為、お風呂上がりになるとフラフラになったかつおが、しっかりタオルで拭いてあげる。
だが、さくらは颯爽と逃げてしまうので、拭くのも乾かすのも一苦労なのだ。
そして、濡れたまま家中を走り回るので、あちこちがビチョビチョになってしまう。
それも踏まえた上で、この箱ドライヤーは防水。だから多少濡れた状態でも、入ってしまえばこっちのもの。
「・・・あ、そうだ。カメラカメラ」
かつおは新しい家電に夢中になって、すっかり撮影を忘れていた。
慌ててかつおが3階へ駆け上がり、カメラを持って来ると、既に箱ドライヤーの周りで、猫達が様子を伺っている。
中に入っているさくらも、この箱の中が普通ではない事を察したのか、箱の中で鳴き始めてしまった。
さすがにこれは可哀想だと思ったかつおが、ドアを開けたのだ・・・が、一向に出る気配がない。
どうやら、蓋が開いている箱の中が落ち着く様子。
かつおは『ヤレヤレ・・・』と思いながらも、ビデオカメラの電源を入れて、撮影を始める。
「ハイ こんにちわー! 配信ニャン黒子、かつおでーす!!
えー、今回はですね、久しぶりの、猫グッズ紹介動画となりまーす! いえーい!」
かつおがテンションを上げながら、カメラの前で熱弁している後ろで、猫達はそれぞれでワチャワチャと遊んでいる。
これも、猫動画の魅力なのかもしれない。
語っているかつおと、後ろで遊んでいる猫達、どちらを見るべきか・・・
だから、動画を何度も何度も再生して、『手前』と『奥』を確認・・・という楽しみ方をする、かつおの動画ファンもいる。




