六十七ニャン 猫にとっても 人間にとっても『苦行』をなるものとは・・・
『お風呂』
それは、猫達にとっては『修行』か、はたまた『苦行』か・・・
ペットを飼う人には、ペットのお風呂で困っている人も少なくない。
それは、飼っている動物の数・種類が多ければ多い程、大変になるのは仕方ない。
時には家族と協力して、時には最新のお風呂グッズを用いて、今日飼い主は、『戦場(お風呂場)』へと向かう。
かつおも、そんな『戦士(飼い主)』の一人である。
長年、猫の世話に尽くしてきた彼でも、5匹飼っている彼でも、苦戦してしまうものがある。
それが『お風呂』
もしくは『爪切り』なのだ。
「ハイ こんにちわー! 配信ニャンの黒子、かつおでー・・・・・
あー・・・やっぱり気づいちゃったかー・・・」
セリフ自体は、いつもと変わらない。いつも動画を撮影する時のあいさつ、そのまま。
だが、猫達は見逃さない。手に持っている物。
『桶』『猫用シャンプー』『ドライヤー』
もうこれだけで、自分達がこの先どうなるのかが予想できる。このイベントが一番苦手なのは、レイワとさくらだ。
まんぷくはというと、この家に来てから初めてのお風呂な為、まだどんな反応をするのか分からない。ただ、かつおが抱えている道具に興味は示している様子。
「それではですね、もうね、まんぷく君もこの家に来てからしばらく経つので、
『お風呂』に入れてみようと思いまーす!
頑張ろうねー! まんぷくねー!」
まんぷくは、かつおの持っている道具の臭いを嗅ぐのに必死で、これからお風呂に入れられる事にちっとも気づかない。
猫にも、『得意』『不得意』 『平気』『苦手』 がある。
人間にもある、猫にあっても不思議ではない。
ただ、問題になるのは、それを『克服できるか』『克服できないか』である。
学生なら、体育が苦手で、走る事すら億劫な生徒はいる。
そんな生徒に、体育の教師が指導をした結果、苦手意識を克服するか、もっと嫌いになるか・・・は、誰にも分からない。
本人にすら、本人の方が、もっと分からない。
猫だけではなく、犬でも『お風呂』が苦手な子はいる。
年を重ねると克服する例もあるが、ずっと苦手のままの例もある。
犬も、猫も、人間も、それぞれ事情が違う。
『苦手は単なる甘え』『努力をしないから』
と言う人もいる。だが、本人にしか、苦手意識は変えられない。
親でも、親友でも、本人の苦手を変えるなんて不可能。
周囲の支えももちろん大きいが、やはり大切なのは、『本人自身』
だからこそ、本人に無理をさせてはいけない。
本人の意思をちゃんと尊重しなければ、克服したくても治らない。
・・・いや、今回の場合、『本人』ではなく
『本猫』なのだが・・・
「まんぷくね、お風呂が大丈夫なのか全然分からないから、今回はそこまでガッツリするんじゃ
なくて、『様子見』程度でやりたいと思います。
かなり嫌がる様子だったら、その時はまた自分が考えるから・・・ね。」
まんぷくを桶の中に入れると、何故かその中が妙に落ち着くのか、まんぷくは中で丸まったままウトウトしていた。
まだ桶の中にお湯を入れたわけではないのだが、かつおがカメラの前で、桶を抱きしめたままずっと語っていた為、彼の体温ですっかり暖かくなっている。
だが、かつおが浴室のドアを開けると、その音で耳をピクッと反応させ、ゆっくりと起き上がるまんぷく。
一応、浴室の暖房はしっかりつけてある。
夏は暖房をつけなくても大丈夫なのだが、まだ春真っ盛りの浴室は、床も冷たい。
かつおは別に、浴室が冷たくて寒くても、普通に入浴する。
わざわざ暖房を設置したのは、寒さに弱い猫達の為。
浴室が寒いだけで、猫はその場から脱走してしまうから。それくらに猫にとって、寒さは天敵なのだ。
だが、逆に暖かい場所なら、どんな所でも長居する。
よくSNSでも見かける、
『パソコンのデスクトップの上で暖をとる猫』『炊飯器の上で暖をとる猫』
『日差しが当たる場所で日向ぼっこをする猫』『ストーブの前で屯する猫達』
・・・等。
かつおの場合、猫をお風呂に入れると自分も濡れる上に、暖房で汗が流れてしまう。
だから、猫達をお風呂へ入れる日・浴室の暖房をつけて作業をする時、かつおは半袖・半ズボンで、濡れても大丈夫・汗をかいても大丈夫な服装で挑む。
猫に限らず、動物をお風呂に入れるのは、もう濡れる事を覚悟して挑まないといけない。
飼い主によっては、自分がお風呂に入っている時、ペットも一緒に入れる人もいる。
ペット一緒にお風呂を楽しむのは、まるで自分の子供と一緒に、ワチャワチャとお風呂で絆を深める光景とほぼ同じ。
だが、かつお家に住んでいる猫の中で、お風呂が大丈夫なのは、ヤマブキとネネしかいない。
レイワはそこまでお風呂が嫌いではないのだが、洗っている途中に抵抗したり、お構いなしにベチョベチョのまま、かつおの体を登ったり・・・と、レイワもレイワでそこそこ苦労する。
だが、さくらに比べればだいぶマシである。さくらは、浴室にすら近寄れないくらい、お風呂が大嫌い。
一応、一年に一度は必ず入るようにしているのだが、その時ばかりは、かつおでも動画にできないような『大騒動』に発展する。
かつおの手や腕を噛んだり引っ掻いたり、暴れ回ったり、逃げ回ったり・・・で、さくらよりかつおの方がベチョベチョになる。
かつおとの付き合いが長いさくらでも、お風呂だけはどうしても好きになれない。




