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五十九ニャン 地元住民としての『義務』

「7時に家出るから、支度しておいて。」


「・・・・・・・・・・


 ・・・・・はい??」


「・・・やーっぱり、忘れてるんでしょー

 『お花見ゴミ拾い』」


「・・・・・・・・・・


 ・・・・・あぁああ!!!」


「・・・はぁーあ。」


夜になると、その桜並木の周辺は『地元住民以外 立ち入り禁止』になる。

夜中までギャンギャン騒がれてほしくないのもあるが、地元を警備する警察官達に、『ゴミ拾い』まで任せられないから。

だから、地元住民がそれぞれ決められた日に、『夜桜見物』兼『ゴミ拾い』をするのが、地域の決まり。

夜桜見物は、地元住民だけにしか与えられない特権であり、この日を楽しみにしている、地元住民の子供も多い。

もちろん、地元住民である事を示す『腕章』も、年を越す前にかつおもちゃんと貰っている。

同じ地元住民である椿も、当然参加する。

椿から話を聞かなかったら、地元住民としての仕事を無視してしまうところだった。

人口が少ない地域・・・という事もあって、『ルール違反情報』や『悪い噂』は、一気に広まってしまう。

それが、人口が少ない地域に住む際の注意点でもある。

去年は忘れずにゴミ拾いへ出たのだが、今年はまんぷくの件でバタバタしていた事もあり、頭の中からその話がすっぽり抜けていたのだ。

かつおは慌てて三階へと駆け上がり、カメラ部屋にあるタンスを開ける。

タンスの中には、腕章が乱雑に放置されていた。

集会所で話を聞いた後、何も考えずにそのタンスへ放り込んだ記憶だけが残っていたのだ。

実は椿の腕にも、既に腕章がしっかりついていた。

それをついさっきまで全然気づけなかったかつおに、椿は呆れる事しかできない。

かつおが腕章を持って下に降りると、椿はもうテレビをつけてくつろいでいる様子。


「明日の朝から天気が悪くなるみたいだよ。今日が最後の花見日和みたいね。」


「そっか・・・雨の中をゴミ拾いしなくてよかったよ。ゴミも自分もずぶ濡れになって最悪にな

 るし。」


ゴミはそのまま捨てられると、誰かに拾われるまで、ずーっとその場に留まり続ける。

ゴミが自ら進んで、自分からゴミ箱に入ってくれるなら、まだ全然マシ。

ゴミを放置しておくと、『異臭』やら『動物・小さな子供の誤食』問題も発生する為、誰かがゴミを回収しなければならない。

かつおは猫を外にあまり出さないが、近所には犬を飼っている家庭が多くある。散歩中、犬達捨てられたゴミを誤って食べてしまった話は、現代でもよく聞く話。

かつおがまだ小学生の頃、散歩中の誤飲が原因で、彼の父の動物病院に担ぎ込まれた犬の話を、よく母から聞かされていた。

特に外でのイベントが終わった後、『嵐が過ぎ去った後』は、イベントで出された飲食物の残骸だったり、誰かの落とし物があちこちに落ちている。

それは『鍵』であったり、『スマホ』であったり、『財布』であったり。そんな物を動物が誤飲してしまえば・・・

かつおは今住んでいる地域でも、『花見シーズン』に加え、近所の神社で行われる『夏祭り』でも、地元住民がゴミを回収する。

一応、張り紙や声かけで、ポイ捨てを防ぐ努力はしている。

だが、そんな忠告を無視してしまう人なんて、世の中に山ほどいる。

もう一種の『癖』のようなものなのだから。

かつおが一日一本必ず動画を投稿するのが『癖』なら、軽い気持ちであちこちにゴミを捨てるのも『癖』

だからこそ、ゴミ捨ても地元住民にとっては、大事な仕事なのだ。

何故なら拾ってくれないと、結局痛い目をみるのは自分達になるから。

それもそれで、とんだ迷惑なのだが・・・


「椿は誰かと、花見に行ったのか?」


「うん、今年も行ったよ。」


「椿って、酒飲めたっけ?」


「人並みにはね。」


テレビのニュース番組でも、花見所の中継が行われ、やはり缶ビールや焼酎を持つ人で、全国各地が賑わっている様子だった。

だが、それを見てもかつおは、「自分も花見がしたい!」とは思えなかった。

むしろ、のんびり家の中で、中継を見ていた方が安全だから。

それに、テレビの映像なら、5匹で一緒に楽しむ事ができる。

レイワとさくらは、画面上でフワフワと飛んでいる桜の花びらを追いかけて、画面をペシペシ叩きまくる。

ヤマブキは2匹が邪魔で見えないのか、若干不機嫌な様子。

だが、かつおがヤマブキを抱き上げて撫でてあげると、機嫌はすぐに元通り。

ネネとまんぷくは、まだ椿に構ってほしい様子。


「・・・あ。なぁなぁ、薬局って何時までやってるっけ?」


「確か・・・10時までだったと思う。」


「そっか、もうシャンプー詰め替え用も本体も入ってないから、そろそろ買いに行かないと

 な・・・」


「なんでギリギリになるまで買いに行かないのよ!」


「だってまだあるから。」


「猫用シャンプーは切らさないクセに。」


「当たり前だ、猫達の皮膚は思っている以上にデリケートなんだ。

 でも頻繁に洗うのも、逆に皮膚へのダメージになる。

 だから一回のお風呂で、丁寧に洗ってあげるのが基本なんだ。

 あと、シャンプーなら何でもいいわけではない。人間用のシャンプーで洗うなんてもってのほ

 か。

 ちゃんと猫達が嫌がらない、猫達の毛並みや肌に合った物を選ばないと、かえって猫達のスト

 レスになるんだ。

 だから、新しいシャンプーを試す時は、まず匂いを嗅がせてから・・・」


「分かった分かった!! もういいって!!」


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