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五十八ニャン 漫画家でもあり 幼馴染

椿の所属している出版社はそこまで大きくないものの、電子コミック界隈では、割と有名な作者である椿。

そんな彼女のペンネームは、『名前の花』にあやかって、『ユキノベニ』

ちなみに、彼女が漫画家である事は、かつおもよく知っている。

彼女に内緒で、こっそり連載本を読んでいるのだ。


「そういえば、締切ってもうすぐじゃなかったっけ? 大丈夫なのか?」


「心配無用、締切前に描き終えて、提出済です。」


「ふーん、珍しいな。いつも時間ギリギリで焦るのに。」


「うるさいわっ。」


椿は、持ってきたタッパーの一つ、『チャーハン』をレンジの中に入れて温める。


「・・・あ、そうか。もうこうんな時間だったんだ。」


「ヤマブキ君達のご飯も用意してあげる。

 ・・・あ、ご飯の後におやつをあげるべきだったよね。ごめんごめん。」


「いや、いいよ。ヤマブキ達も、椿に会えて嬉しそうだし。まんぷくも、椿を気に入ったみたい

 だね。」


「いや、あんたに対して謝ったわけじゃなくて、猫達に謝ったの。」


「・・・・・・・・・・」


猫達の餌を用意するのも、椿にとってはお手の物。

かつおに色々と教えてもらっている為、量もちゃんと1匹ずつ測って入れていく。

まんぷくは新入りな為、ソファで休憩しているかつおに教えてもらう。

しかし、さほど細かい注意点はなかった。

まんぷくはかつお達の愛情を受け、体も心も大きく成長した。

今はもう、引き取った初日の頃の、弱々しい小さな子猫ではない。

ヤマブキ達とほぼ変わらない、普通の体型をしている為、量や食べるカリカリの種類はさほど変わらない。

人間の成長も、動物の成長も早い。

椿も幼少期のまんぷくを動画で何度も見ているのだが、若干面影を残しながらも、立派な大人猫に成長している。

動画で猫の赤ちゃん時代を何度も何度も見ていると、その猫が成長した姿にびっくりして、別の猫に思えてしまう。

それは、動画だからこそ起こる現象なのかもしれない。

成長していく姿は写真でも実感が湧くのだが、やはり『静止画』と『動画』では、色々と違うものがある。


「それにしても、まんぷく君も色々と大変だったみたいだね。保護されて本当によかったよ。」


「へ?」


「・・・・・かつお知らないの?

 まんぷく君がかつて住んでいた路地、解体されて無くなるみたい。」


「え?! そうなのか?!」


「なんか行政がね、あの路地で『不法投棄』とかの問題が相次いで、完全に封鎖してコンクリー

 トの壁で封鎖するみたい。

 もうとっくに工事が始まってるのよ。」


「そっか・・・・・

 まぁ・・・仕方ないよな。ゴミ問題も結構酷かった話も聞いたし・・・」


まんぷくはご飯を食べ終わると、すかさず椿の元へ駆け寄る。改めて挨拶する為に。

そんなまんぷくに、椿は優しく頭を撫でてあげる。

2人の会話は、まんぷくにとってはよく分からない話ではあるが、2人がまんぷくを気遣っている気持ちは十分に伝わっていた。

レンジの中に入っていたチャーハンも温まり、棚の中からお皿を二枚取り出すと、それぞれ均等に盛る。

そして、棚からスプーンを2人分取り出すと、カツオにお皿とスプーンを渡した。

椿はインスタントの汁物が保管されている場所も知っている為、2人分の味噌汁を用意して、電気ケトルに水を入れ、スイッチを押した。

ちなみに電気ケトルも、しっかりカバーで固定されている。

最近の電気ケトルは、触っても熱くない上に、倒れても中身がこぼれにくいようにはなっているものの、やはり『絶対』とは言えない以上、飼い主であるかつおも色々と対策をしている。

それに、最近ではそうゆう品も『フリマアプリ』で購入できる。

また、作り手に直接依頼すれば、細かい部分も色々と注文できる。

その分お金はかかってしまうが、猫達が火傷して、長い間苦しい思いをするくらいなら、出費は惜しまないかつお。


「椿ー、お湯を扱う時は、周りに猫がいないかちゃんと確認するんだぞー」


「分かってるって。


 あ、それとさ・・・」

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