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五十四ニャン 昼食前の不毛・・・『有毛(ゆうもう)』な戦い??

チーン!!


軽快な音と同時に、レンジ中で灯っていた照明が消える。かつおがレンジを開けてみると、チャーハンの香ばしくて良い匂いが漂う。

素手で掴もうとしたものの、まだ熱かった。だから側にあった布巾で、レンジからチャーハンを取り出す。

かつおの家には、『鍋つかみ』もないのだ。

棚を開けてスプーンを引っ張り出すと、かつおはリビングにあるソファに腰掛ける。

そして、いざ実食しようと、チャーハンにスプーンを差し込んだと同時に・・・




(何ソレ、何ソレー!! 何の料理?!

 すごく美味しそー!! 僕も食べたーい!!)


「あぁ、コラコラ!! これは僕が食べる物だから!!

 あっ、ちょちょちょちょちょ!! 服をバリバリしないでぇ!!」


かつおの飼っている猫の中で、一番『好奇心旺盛』なのは、意外にもレイワなのだ。

まんぷくも好奇心旺盛な方ではあるが、まんぷくの場合、ヤマブキと同じく慎重な性格の為、初めての物を見つけても、自ら進んで触れるような事はしない。

その証拠に、まんぷくは湯気が立つチャーハンを見てはいるものの、かつおに近づこうとはしないのだ。

ネネとさくらは、割と『臆病』な為、かつおが食べている物には、あまり興味を示さない。

何故なら、かつおはちゃんと自分達のご飯を、一日3食分、必ず用意してくれる事を知っているから。

レイワの好奇心旺盛ぶりは、もう一周回って『危なっかしい』

猫とはいえ、ずっしりと重いレイワが背中にしがみついたまま、チャーハンに手を伸ばし続けている。

一向に離れようとはせず、ちょっと油断すればアツアツのチャーハンがレイワの肉球にダメージを与えそうだった、

特にレイワは、魚や魚介類が入った料理にはすぐ反応する。カニも例外ではない。

ただ、どんなに可愛くても、どんなに上手くおねだりをしてくれても、あげられないのだ。

何故なら猫の食べられる物と、人間が食べられる物では、明らかに差がある。

チャーハンに当たり前のように入っているネギも、猫にとっては猛毒。

しかも、生のままではなく、コンビニ弁当の中に入っていた・・・というのが、いかにも危険である。よくニュースやワイドショーでも、『コンビニ弁当』や『カップラーメン』の危険性を語っている専門家がいる。

だが、『健康』よりも『時短』や『仕事』を優先してしまう人なんて、この世の中にいくらでもいる。

・・・かつおの場合は、ただ料理するのが面倒なだけなのだが・・・

『人体』の専門家が警鐘を鳴らしている食品を、動物が食べてしまえば・・・


だから、レイワがあまりにもしつこい場合、やはり『アレ』を使って落ち着かせるしかない。


「・・・しょうがないなぁ、お昼ご飯食べたばっかりだけど・・・

 ちょっとだけだよ。」


そう言って、まんぷくはまだ暖かいチャーハンを、棚の一番上に置いて隠す。

かつおは、猫達の手が届かない所を、自然と把握しているのだ。

その棚には、上に登れるスペースもなければ、取手もない。しかも、だから、猫達がどう頑張っても、その棚を開ける事もできないのだ。

しかし、それでもまだレイワは諦めない。

レイワが必死になってかつおにしがみついている間に、かつおは『おやつ入れ』の引き出しを開ける。すると、先程までリビングのあちこちで遊んでいた猫達も、キッチンへ集合する。

まんぷくも、皆と一緒になって来てくれた。

かつおが手に取った猫用・おやつは、『干しカマ』

文字通り、『干したカニカマボコ』

カニチャーハン繋がりで手に取ったのだが、結構お高めな品を選んだかつお。

まんぷくが皆と一緒になっておやつを強請る姿が、あまりにも可愛くて、あまりにも嬉しくて・・・


「ちょっと待ってね、全員分お皿に移すから。」


1匹だけにおやつをあげるのは簡単なのだが、さすがに5匹となると、アクシデントが起こりかねない。かつおは手早く、5匹の餌入れを並べ、干しカマを適量入れていく。

いくら1匹1匹の適量が体に染み付いているかつおでも、いつも計りは欠かさない。

『これくらいで大丈夫だろ』『いつもの事だから』と、高を括るのが一番危ないのだ。

そして、それぞれ床に置いておくと、レイワもかつおの体から離れていった。ようやくレイワが諦めてくれたのだ。

食事をする度に大変なのだが、やはり夢中になって食べる猫達の姿を見るだけで、かつおのストレスは一気に0になる。

人間でも、『美味しそうに食べる人』『きちんと完食してくれる人』が好かれる話はよく聞くが、それは動物でも同じ。

自分が用意したご飯を美味しそうにムシャムシャと夢中で食べてくれるのなら、多少のわがままでも許してしまう。

5匹分の餌入れを並べた途端、5匹は一斉に黙り、夢中になって干しカマを満喫する。


その間に、かつおもチャーハンをムシャムシャと食べる。

若干冷めてしまったものの、味は本当にカニの味がして、かつおも久しぶりに我を忘れて食べる程美味しかった。

かつおは、食べた後に出るゴミにまで気を配る。少しでも匂いが残っていると、猫達が荒らしてしまうかもしれない。

だから、コンビニ弁当の器も洗剤できちんと洗って、匂いが漏れないゴミ箱へと捨てる。


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