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四十八ニャン コンビニ

かつおも、時には宅配の料理だけではなく、コンビニのお弁当やパンも食べる。

食べ物だけではなく、最近のコンビニは『アニメグッズ』や『アイドルグッズ』も、頻繁にキャンペーンで販売されている。

ぬいぐるみ・カード・コラボ商品・・・等。コンビニ商品に興味はなくても、ファンの人なら通わずにはいられない。

あまり物欲のないかつおでも、唯一通い詰める事ができる場所、それがコンビニ。

つい先日も、かつおがハマった『猫アニメ』のコラボグッズが売り出され、その時は出費を惜しまず『推し猫』に貢いだ。

地方なので、通えるコンビニは一軒のみ。だが、それでも地方民にとって、コンビニは必須。

それに、地方だと都心のコンビニとは違い、コラボグッズが即座に売り切れる事はない。

かつおが通い詰めているコンビニは、地元の人か運送業者ではないと分からない。

一応、大通りに面している場所にあるのだが、コンビニの周囲には特に目立った建物もない為、地元住民にとっては、そのコンビニは『憩いの場』でもある。

通い詰めているのはかつおだけではなく、学校帰りの学生や、杖をついた老夫婦も、『デート』と称して来ている光景を、かつおも何度か見ていた。


そして、かつおはコンビニに行く時ですら、『重装備』を欠かさない。

特にかつおの場合、コンビニでまとめ買いする事も多く、『登山用』・・・と思われても不思議ではないくらい、大きなリュックを担いで行く。

ちなみにそのリュックは、使い始めてからもう10年以上は経過している。

しかし、元々かつおが、物をあまり乱暴に扱ったりしない為、年代物でもだいぶ綺麗な方だ。

中の布地がちょっと脆くなっている部分があるのだが。


「じゃあ、僕ちょっと出かけてくるから、お留守番よろしくなー」


(いってらっしゃい)


いつもかつおを出迎えてくれるのは、ヤマブキのみ。

ヤマブキは、決して空いているドアには近付かず、玄関で必ず座ってくれる為、かつおも安心できる。

レイワ・ネネの2匹は、お昼ご飯を終え、ソファの上で休んでいる。まんぷくはというと、さくらと一緒に窓の外を眺めていた。

まんぷくも、家の2階から見える景色が、不思議だけど面白く思えたのだ。

2匹は目をキョロキョロと動かしながら、動いているもの全てに反応してしまう。

空を飛ぶ鳥も、風に揺られる電線も、時折飛んでくる葉っぱも、全てに興味が向いてしまうのだ。

ただ、今日は平日。歩いている人を見かけるのは、30分に1人程度。

休日には人や車が増えるのだが、平日のお昼はいつもこんな感じ。


(・・・あっ! かつおさんだ! さくら、見える?!)


(もちろん見えてるよ! ヤッホー!!)


さくらは、窓をペシペシと叩いて、外にいるかつおにアピールする。

まんぷくも負けじと、初めて触れる窓の感触に驚きながらも、気づいてもらえるように頑張ってペシペシする。

春の日差しを取り込んだ窓は、生暖かい。

窓自体はちょっと汚いものの、歩道をゆっくり歩いているかつおの姿は、二階からでも見る事ができる。

かつおも、必死になってアピールする2匹に気づいたのか、振り向いて手を振った。

そこまでの長旅ではないのだが、猫達にとっては、ほんの少しの別れでも、寂しいもの。

何故なら飼い猫にとって、飼い主が自分達の全てだから。

全てを担い、全てを支えてくれる、大切な存在だから。

かつおの家からコンビニまでは、約10分かかる。

そしてかつおは、なるべく人に会わないように、『平日の午前中・正午』に出かける事が多い。

平日は、学生も社会人も、皆が学校で勉強して、会社で働いている。

ただ、午後や夕方になると、下校する学生と鉢合わせしてしまう為、なるべく午前中か、皆が昼食をとっている正午にしている。

都会では、正午になるとお昼ご飯を求めて、多くの社会人がコンビニに集うのだが、かつおが住んでいる家の近くには、中小企業もない。

ほぼほぼ住宅街ばかりなので、平日はとんでもなく静か。

正午になると、コンビニ近くの小学校では「いただきまーす!」という元気の良い声が聞こえ、その声はかつおの家にもほんの少しだけ届いている。

だからかつおにとって、その声は『お昼を知らせるアラーム』でもあるのだ。

フリーランスだと、ご飯を食べる時間も、仕事をする時間も決められていない為、自分でしっかり管理しないといけない。

だがかつおの場合、作業に集中しすぎてご飯を忘れてしまう事が多々あるのだ。

ちなみに、地元でフリーランスとして働いているのは、かつおに限った話ではない。

『幼馴染』も、フリーランスではないものの、『在宅』で稼げる。

最近では、『仕事=平日に働く』という常識は、とっくに古くなっている。今では平日が休みの人も多い、土日が稼ぎ時の企業なら特に。

最近では『移住ブーム』の影響で、若い人々が静かな地を求めて、この地へ引っ越して来る事が多くなった。

実際、かつおが歩いていると、後ろから『引越し会社のトラック』が通り過ぎていく光景も、珍しくはなくなっている。

仕事場が遠くても、家で仕事ができる『在宅』がメインなら、ちょこちょこ会社に顔を出せばいいだけで、家に居ても全然問題にはならない。

地域にとって、若手の力が増えのはは嬉しい事なのかもしれないが、かつおは若干複雑なのだ。

ご近所付き合いでさえ、かつおにとっては悩みの種になってしまうから。


「・・・・・そろそろこの性格も、自分で何とかしないとな・・・」


そう呟いたかつお。

憂鬱気味で暗くなっているなっているかつおに対し、春の兆しを運ぶ風は、ほんのりと暖かく、今年も春を迎えられた事を喜んでいる様子。

ちなみにかつおは、夏でもパーカーのある服ばかり着る。もう癖になっているのだ。

むしろ、パーカーがないまま外に出ると、違和感すら感じてしまう。

もうパーカーは、かつおの体の一部でもある。

平日な為、お花見をしている人もそれほどいない上に、地元住民の姿もない。こうゆう時だけ、かつおはお花見を1人で楽しめる。

本当は、猫達と一緒にお花見がしたいのだが、5匹をいっぺんに運ぶのもなかなか大変で、纏めて面倒を見れるのか不安なのだ。

外には、家にはない危険が沢山ある。車・自転車・信号機・虫・鳥・・・等。

もし、何かしらの事故に猫が遭ってしまったら、ちゃんと対応できるかどうか分からない。それらの事も考慮して、かつおは猫達とのお花見を断念している。

何かあってからではもう遅い。後悔してからではもう遅い。

かつおの動画を楽しんで見てくれている視聴者の為にも、猫達を守る使命は大きい。

それに、お花見会場には多くの人がいる為、人々の大声に、猫達が困惑してしまうかもしれない。猫は人間よりも遥かに聴力が優れている。

人間でも大きく聞こえる音や声を、猫が聞き取ってしまえば、パニックになったりストレスを抱える可能性だってある。

それに、酔っ払いに絡まれて、『人為的な事故』が起こる可能性だって考えられる。


・・・ここまでの話では、完全にかつおが『親バカ』に思えるかもしれない。

だが、『飼い主=命を預かっている身』である事を決して忘れない、かつおなりの配慮である。

それに、一緒にお花見できない分、家の中で一緒に遊んであげている。

家を出てからまだ数分しか経っていないが、もう猫が恋しくなっている、かつおなのであった・・・


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