四十五ニャン 「仲良くしてるなら、それでいいから」
「・・・・・えっと・・・・・何してるのかな?」
(あっ!!!)(やばっ!!!)
まんぷくは固まってしまったが、さくらはその場からそそくさと去ってしまう。
まんぷくが辺りを見渡すと、中途半端にカーペットが曲がっていたり、いつもソファに置かれている筈のクッションが床に落ちている。
・・・どうやら2匹は、自分達が知らぬ間にリビング内で大暴れしたらしく、その騒ぎを聞きつけ、仕事部屋にいたかつおが駆けつけたのだ。
まんぷくは一瞬ブルっと体を震わせながら、かつおの側に近寄る。そして、かつおの足に頭を擦り付けていた。
(ご・・・ごめんなさい・・・
部屋・・・めちゃくちゃにしちゃって・・・)
そんな反応にまんぷくは、少し微笑みながら、まんぷくの体を撫でてあげた。
「そっか、さくらと遊んでたのか。良かった、喧嘩だったらどうしようって思ってたんだ。」
(うぅううー・・・)
一方さくらはそいうと、怒られるのが怖くてキャットタワーの巣に隠れている。かつおはさくらにも、ちゃんと声をかけた。
「遊ぶのはいいけど・・・
さくら、力加減には気をつけるんだぞ。さくらはもう『お姉ちゃん』なんだから。」
そう言って、かつおは曲がったカーペットを戻し、クッションをベッドの上に戻すと、また仕事部屋へと戻って行く。
ホッと一息ついたまんぷくは、まだ巣に籠っているさくらの元へと向かう為、キャットタワーをよじ登る。
ちなみに、これがまんぷくの『初・キャットタワーデビュー』
かつおは前に、「まんぷくもいつか、キャットタワーで遊ぶ日が来るのかなー・・・」と言っていた。だが、まさに今、かつおが見ていない間に、ちゃっかりデビューしたまんぷく。
つい最近まで、まんぷくはキャットタワーがどうゆう物なのか分からなかった。
施設にもキャットタワーはいくつかあったものの、遊ばずにずーっと眺めているだけ。
どうやって遊べばいいのかも分からず、ただ見ているだけのつまらないオブジェであった。
しかし、かつおの家に来てから、ようやくキャットタワーの使い方を、ヤマブキ達の行動から学んでいったのだ。
爪を立ててよじ登り、小さな隙間はジャンプする。キャットウォーク部分はバランスをとりながら歩き、降りられなくなった際は、かつおを呼んで助けてもらう。
そんな4匹の行動を熱心に見ていたまんぷくにとって、初のキャットタワーなんて難所にもならない。
まんぷくはスイスイとタワーを登り、ノンストップでさくらの籠っている巣へ到着する。
さくらも、まさかまんぷくが此処まで来るとは思わなかったのか、驚いてつい毛を逆立ててしまうが、暗闇でまんぷくには全然見えていなかった。
(さくら・・・ごめん・・・怒ってる?)
さくらは驚いた。てっきりまんぷくは、自分が逃げた事を怒っている・・・と思っていたから。
しかし、まんぷくの口から出た言葉は、『ごめん』
さくらは、ただただびっくりして、固まったまま動けなくなっていた。そんなさくらの助っ人になってくれたのは、ネネ。
ネネは、とりあえずどうすればいいのか分からないまんぷくに話しかける。
(ごめんね、さくらはちょっと・・・びっくりしているだけで、貴方を責めているわけではない
から。今はそっとしておいてほしいの。)
(・・・そうなの・・・?)
ネネに連れられ、キャットタワーから降りると、今度はヤマブキが話し合いに参加するまんぷく。
(まぁまぁ、若い頃ならよくある事だよ。気にする事はない。
むしろ、さっきのかつおは、喜んでいる様子だったよ。)
(・・・本当?)
(きっと、嬉しいんだろうね。君の元気な姿が見られたんだから。
この家に初めて来た時、君はまだ小さくて、私達がのしかかるだけで潰れちゃいそうだったか
らね。)
そんな話を、遠い目で過去を省みていると、横からレイワが・・・
(いや、お前がのしかかってきたらどの猫でも潰れるだろ)
『ファァァ!!!』
(何だって?!!)
(何でもないっすよー)
そう言って、そそくさとリビングから逃げて行ってしまうレイワ。いつもなら追いかけるヤマブキだが、今回は違った。
(・・・まぁアレだ、君はレイワよりまだマシだよ。)
その言葉に妙に納得するまんぷくとネネ。そして、ヤマブキの話に補足を入れたのは、さっきからずっと巣の中で話を聞いていたさくら。
(そうそう、この前なんて、レイワがまたキッチンに登ったら、『変なボタン』・・・みたいな
のを押してさ、そしたらキッチンの上が急に赤くなって。
しばらく様子を見ていたら、今度は『ビーッ!!!』って、すんごい音が聞こえて、その音を
聞きつけたかつおさんが、その時にカメラを持って来て・・・
でもね、一番びっくりしてたのはレイワお兄ちゃんだった。ボタンを触ったと同時にお兄ちゃ
んったら、『フニャァァァ??!!』って・・・プププッ)
(ちょっとさくらぁ!!!)
聞いていられなくなったのか、レイワがどこからともなく現れ、巣の中を漁ろうとするが、ネネが止めに入る。
どうやらその件は、レイワ自身もだいぶ反省している件で、掘り返されるのが嫌だった様子。
・・・こうして、いつもよりちょっと賑やかな午前が過ぎて行ったのであった・・・




