四十一ニャン 猫だってグルメ
かつおは、『お手製・猫用ご馳走様』の動画も上げている。
作っている過程を早送りにして、作るのにかかる時間・材料・猫達の反応も詳細に載せて。
調理方法はネットで調べたものだが、評価は猫達に決めてもらう。
猫がその料理を気に入ったかそうでないかは、『態度』を見れば大方把握できる。
人間社会の場合、不味くても、苦手のなものでも、状況に応じて「美味しかったです!」と言わなければならない事が多い。
かつおも、そんな経験を学生時代、『給食』で味わった。
皆が「美味しい!!」「もっと食べたい!!」と言っているメニューに対し、「不味い」と言えば、全クラスメイトからの非難を喰らう。
かつおは、『肉』が嫌い。食べられないわけではないが、好んで食べない。
特に豚肉は、脂身が多い為、かつおが最も避けたい避けたい食材である。
しかし、食べ盛りな子供からすれば、肉料理が『大好物』な子も多い。
『豚の生姜焼き』『豚汁』『カツ』
それらが給食で出された時は、皆で大喜びしていた。たった1人だけ、嫌な顔を隠しながら・・・
そんな経緯もあって、かつおは『誰かと食事をする事』が苦手である。
だが、猫となら話は別。
さりげなく「ちょっとこれは・・・苦手かも」と言われるより、きっぱり嫌なものは嫌・・・と、態度で示された方が気持ちが楽。
猫用のご馳走を作る時だけ、かつおの手捌きは早くなる。自炊が苦手でも、猫達の料理を作るのは慣れているのだ。
野菜を切り、チュールを凍らせ、ささみを茹でてほぐして、5つのお皿に並べる。その間猫達は、ケージの中へ押し込める。
かわいそうだが、つまみ食いされたら困る為、しばしの間我慢してもらう。
だが、やはり5匹では無理があったのか、作っている途中にケージがガンガン鳴って、猫達が暴れている。
「ニィーヤァー!!!」
(レイワお兄ちゃん!! そんなに暴れないで!!)
「ハァー!!!」
(お前が俺の尻尾をずっと踏んでるからだろ!!!)
特にさくらとレイワは、あまりじっとしていられない性格な為、ケージに入れてから数分でもう喧嘩勃発。
ヤマブキ・ネネ・まんぷくの3匹は、ケージの上へ避難している。
これでは落ち着いて料理ができない為、仕方なくレイワとさくらを廊下に出して、猫ドアにロックをかける。
すると今度は、2匹が猫ドアを引っ掻き回すのだが、ケージで暴れて怪我をするよりはマシ。
それに、かつおが設置した猫ドアは、ロックするとそう簡単に開かない仕組みに、かつお自身が改造した。
今はそうゆう対策法もネットに載っている為、軟弱なかつおでも、簡単にできるDIYも多い。
ドアやその周辺がが傷ついてしまうものの、今はホームセンターで修繕用の道具が沢山売られている。
家を傷つけられてしまうのはちょっと厄介なものの、『修復する』・・・という作業も、かつおにとっては『良い暇つぶし』になる。
「・・・・・いよしっ!! できたぁ!!!」
今回、かつおが作ったのは、『キャットフード&カリカリのミルフィーユケーキ』
作り方は至ってシンプル。まず、クッキー等を作る際に使う、『大きめの型』を5つ用意する。その後は、キャットフードとカリカリを交互に入れていき、ミルフィーユ状にする。
その後は、事前に乾燥させてカチコチになっている鳥のささみ肉を、粉状に削ってふりかければ、完成。
それを横一列に並べ、食べたくて食べたくて仕方ない猫達を解放してあげる。
(いぇーい!!! 御馳走だー!!!)
猫ドアが開放されると、なんの躊躇もなくレイワは食べ始める。そして、ケージを解放してあげると、真っ先に飛び出したさくらも食いついた。
ヤマブキとネネは、落ち着いた足取りで自分のご飯餌入れを探し、じっくり食べ始める。
まんぷくはというと、今までに見た事のないご飯に、警戒している様子だった。
今までも、匂いは最高に美味しそうなのだが、やはり恐怖心や警戒心が優ってしまう。
そこでかつおは、手をしっかりと洗った後、まんぷくの分のご馳走を手で掬い上げ、まんぷくの口元まで持って来る。
すると、まんぷくは恐る恐る、かつおの指を舐め始める。
「・・・どう? 美味しい??」
(・・・・・う・・・・・う・・・・・
うんまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!)
あまりの美味しさに、まんぷくはかつおの指に齧り付いてしまう。
しかし、かつおにとっては噛まれた痛みよりも、食べてくれた喜びの方が勝っている。いつもの事だが。
餌入れをまんぷくの前に差し出すと、無我夢中で食べるまんぷくを、まだ痛む指でずーっと撮影していた。
この動画も、かつおが後に何度も見返す事になるから、バッチリ撮影する為、指の痛さなんてどうでもよかった。
「ウニャウ・・・ウニャウ・・・ウニャウ・・・」
(うめぇ・・・うめぇ・・・うめぇ・・・)
思わず鳴いてしまう程、美味しかったかつおの手料理。かつおも、カメラ越しに泣きそうになっていた。
だが、油断してはならない、早食のレイワとさくらが、他の餌入れを狙っている。
だからかつおは、一旦レイワとさくらを抱き抱えながら、食べ続けている残りの3匹を撮影していた。




