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四十ニャン キッチンでクライミング

リビングにあるのは、ほぼほぼ猫グッズのみ。隣接しているキッチンには、電子レンジ等の家電があるくらい。

ただ、どの部屋よりも一番広いリビングでは、追いかけっこにもってこいの場所。まんぷくは部屋中を駆け回り、間取りをチェックする。

まだリビング以外の場所には行かせてもらえないものの、窓の外からの景色は、この前までまんぷくが居た3階よりも、視点が低くなった光景が広がっていた。

向かいの家の窓がはっきり見えるようになり、3階からでは遠く見えていた屋根が近く見える。風に揺れる電線も、くっきりと見える。

下の道路で歩いている人は、誰もいなかった。今はお昼の12時な為、大勢の人が昼食を取っている時間帯。

・・・そして、まんぷく達のお腹も減っていた。

リビングにあるキッチンでは、今まさに、かつおが『昼食作り』に勤しんでいる。

今回は、まんぷくの『ケージ解放デー』という事もあり、昼食からちょっと豪勢にするそう。

いつもはカリカリオンリーだが、記念日にはかつおが手を加えた『ご馳走』が振る舞われる。だから猫達も楽しみにしながら、遠くでかつおを見守っていた。

かつおは自炊経験がそれほどあるわけでもない、一人暮らしをして今年で7年になるが、自炊したのはこの7年のうちで十数回程度。

何度も何度も、健康の為に自炊を頑張ろうとしても、結局猫達の世話や動画編集に労力を費やしてしまい、自炊する程の力が残っていないのだ。

それに、今は宅配でも健康的な食事を提供してくれるサービス会社も多い。

現代社会の『健康ブーム』に合わせ、『糖分減量食』や『塩分減量食』等、ちゃんとした専門家が考案してくれた料理を、忙しくても、時間がなくても食べられる。

かつおのような一人暮らしの人間には、うってつけのサービスである。

昔は『出前=高カロリー』なイメージだった。

それに、昔は今ほど宅配サービスが充実していなかった為、『出前=ピザ』という考えが定着している人も少なくない。

だから、『出前=高カロリー』というイメージが定着したのかもしれない。実際、かつおもそんな定着が染み込んでいた。

しかし、かつおが成人した頃になると、宅配サービスだけではなく、『テイクアウトサービス』も、各店で充実していた。

その分の出費はかかってしまうが、無理に自炊しようとして、逆にストレスになってしまっては元も子もない。

それに、調理器具の中には、『刃物』等の危険な道具も多い。

もしその刃が、可愛い猫の肉球に・・・なんて、想像しただけでかつおの体は恐怖で震えた。




「ニャーオ」

(ほら、まんぷくも来てみろよ。)


「あー!!! こらこらこらー!!!」


かつおがぼんやり日常風景を撮影していると、隙を狙ってレイワがIHに飛び乗った。

慌てたかつおが抱きかかえて床に下ろすと、レイワは「今回もダメだったかー」と言って、全く悪びれる素振りを見せない。

猫達にとって、キッチンにも興味をそそるような物が沢山並んでいる場所。

まず最初に、まんぷくが気になったのは、細長い縦長の棚。

そこには『調味料』や『小さいスプーン』等の細かい物が収納されているのだが、まんぷくが注目したのは棚の中ではなく、その高さ。

持ち前の体力を活かせば、まんぷくでも登れそうだったから。試しに掴む部分を足場にして登ってみると、案外スイスイと登れる。

その様子を見て、さくらはキラキラと目を輝かせながら、まんぷくを見ていた。


「ミヤァー!」

(まんぷく、すっごい!!)


さくらの鳴き声を聞きつけたかつおが棚を見ると、もう棚の半分に差し掛かる部分まで登ってしまったまんぷく。

声にならない悲鳴をあげながら、かつおは慌てて引っ張り、棚から引き離した。

爪切りを数ヶ月間やっていないせいか、棚にはまんぷくがついさっきつけたであろう『爪痕』が残ってしまう。

だが、その棚についている爪痕は、これだけではない。古いものの、だいぶ前につけられた爪痕も残っている。




「こらっ! まんぷく!

 メッ!!!」


「・・・ウニャウ・・・」

(ご・・・ごめんなさい・・・)


キッチンには、他にも爪痕がいくつも残されている、例えば、シンクの下。

かつてそこに、レイワが前足で器用に戸を開けて、その中でずーっとくつろいでいたら、行方知れず騒動に発展。この時ばかりは、かつおも青い顔をしていた。

今はもう、シンクの下は侵入防止の為の荷物でギュウギュウになっているものの、今でも時折、レイワはシンクの下を引っ掻いている。

レイワだけではない。ネネも数年前から、冷蔵庫の上に乗って上からの眺めを楽しんでいる。ただ、これに関して、かつおは黙認している。

姿が見えなくなると心配するが、姿がちゃんと見えているから、そこまで心配する必要もない。

降りられなくなったら、ネネが自ら鳴いて教えてくれる、その時に助ければいいだけ。

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