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三十九ニャン ようやく『仲間入り』

「ハイ、こんにちわー! 配信ニャンの黒子、かつおでーす!!」


いつも通り始まった、かつおの撮影。そんなのそっちのけで、4匹はそれぞれ遊んでいる。まんぷくはというと、ケージの中からかつおを見守っていた。

さっきからまたヤマブキとレイワが、取っ組み合いの喧嘩をしているが、ヤマブキから昨晩、色々と話を聞いていた為、過度に心配しないかつお。

むしろ、「今日も元気だなー」と、優しい目で見ていた。ネネとさくらも、遠目で喧嘩している2匹を傍観しながら、互いを舐め合う。

もちろん、動画を見ている視聴者も、2匹の取っ組み合いを何度も何度も動画で見ている為、「腐れ縁みたい」というコメントが来る事もしばしば。

でも、まだ『腐れ縁』と呼称されるだけでも良いのかもしれない。本当に猫同士の仲が悪いと、最悪『流血沙汰』

そんなの、動画にできるわけがない。

仮に、もしそんな事態になったら、凹むのは猫ではない。ずっと猫達を見守ってきたかつおである。

それが分かっているからこそ、かつおの飼っている猫は、激しい喧嘩をしないのか、それとも・・・



「今日は、皆さん お 待 ち か ね の


 まんぷくをケージの外に出して、4匹と遊ばせてみたいと思いまーす!!!

 いえーい!!」


テンションが上がったかつおは、喧嘩を終えたレイワを抱きかかえると、両前足をダンスさせる。かつおは楽しそうだが、レイワはだいぶ複雑な顔をしている。

完全に迷惑そうな顔だ。そんな顔を見たヤマブキは、哀れな表情でレイワを眺める。


『シーッ!!!』

(見てんじゃねぇぇぇ!!!)


レイワはかつおの手から逃れ、レイワvsヤマブキの第二回戦が始まろうとしている。

そんな様子を見て、かつおは「ごめんねぇー!」と、涙目になりながらレイワの背中を見ていた。

ネネとさくらは、「ヤレヤレ・・・」と思いながら、第二回戦の様子を見る為に、動き始める。

何だかんだ、ネネとさくらは2匹と戦いを眺めるのが楽しいのだ。大事にならない分、心を軽くして見られるんだから。

それこそ『プロレス大会の実況』を見ているような気分。


「動画にも何本か出しているんですけど、まんぷくもこの家での生活に慣れて、ネネちゃん達と

 の生活も板に着いた様子なので・・・

 ネネー、さくらー。おいでー」


そう言うものの、ネネとさくらはかつおに近寄らない。近寄れば、レイワの二の舞になるから。

それよりも、レイワvsヤマブキの第二回戦の方が気になっているのだ。一応2匹とも、『尻尾』で返事をするのが、かつおはそれで満足らしい。


「まんぷくもね、4匹と普通に普通に接している様子なので、今回お試しで、ケージから出して遊

 ばせてみたいと思います!」


かつおは立ち上がり、まんぷくの元へ駆け寄る。まんぷくは今にもケージから飛び出しそうな勢いで、かつおに戯れつこうと必死になっている。


「まんぷくは今日も元気だねー!

 ちょっと待っててねー、今開けるからねー」


ケージをカタカタと動かす音と同時に、選手2『匹』第二回戦を取りやめ、傍観していた観客もその場を離れ、4匹はケージの前に集まる。

そして、記念すべき瞬間を、全員で見届けようとしていた。

この瞬間を期待していたのは、かつおだけではなかった・・・という事だ。

そして、ついにケージが開かれ、かつおが指を指を動かして、まんぷくを外に出るように促す。

まんぷくは、戸惑ういながらも、リビングデビューの第一歩を、自らの足で踏み込んだ。

すると、今までケージを隔てて見ていたレイワ達を、ようやく間近で見る事ができた喜びで、よく分からないはしゃぎ方をしてしまう。

まんぷくはレイワの元へ駆け寄り、ジャンプして飛び付いた。

するとレイワは後ろのひっくり返り、テンションMAXのマンプクを落ち着かせる為に首元を噛んだ。


「ニャ!!!」

(落ち着きなさいっ!!!)


その甘噛みで、ようやく興奮が冷めたまんぷくは、急いでレイワの上から離れて謝った。


(ご・・・ごめんなさい・・・

 嬉しくて・・・つい・・・)


レイワは、自分が噛んだまんぷくの首元を優しく舐める。さくらは後ろから、まんぷくの匂いを一生懸命嗅いでいた。

さくら自身は、まんぷくに気づかれない様にしていたが、まんぷくにはすぐ分かった。だってまんぷくも、さくらの匂いはちゃんと覚えているから。

ヤマブキは、相変わらず遠くから見ているが、レイワ達に気を遣っている事はもう知っている為、まんぷくもそこまで心配はしなかった。

ヤマブキとまんぷくが、あの晩に密会していた現場は、カツオだけではなくネネ達も見ていた。

だから、ネネもまんぷくが自分達家族の仲間入りを果たせた事を喜んでいる、

かつおはというと、レイワがマンプクを甘噛みした時は一瞬焦ったものの、すぐ仲直りした光景を見て、胸を撫で下ろした。

かつおの努力が、報われた瞬間でもある。

静かに見守りながらも、かつおは今すぐ家を飛び出し、

「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやっっっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」と言いながら、裸足で外を駆け回ってもいいくらい嬉しかった。

その喜び具合で、カメラの画面が震えながらも、まんぷくがちゃんと4匹と接近してスキンシップしている姿をしっかり捉えていたかつお。

この瞬間は、かつおも何度か経験しているものの、上手くいく保証はない為、本当に『運勝負』なのである。

ただ、かつおにとって、宝くじが当たる事よりも、今の光景を噛み締めていた方が、ずっと幸せに感じていた。


もちろん、かつおが購入した宝くじが当たれば、猫達に全額貢ぐのだが・・・


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