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三十八ニャン 感動する野次馬・・・ならぬ野次『猫』

(レイワに過度なちょっかいをかけられたら、私に言いなさい。私が締めるから。)


(は・・・はいっ・・・)


(あと、さくらはまだ『力加減』がうまく制御できない。時折度が過ぎた時は、ちゃんと君から

 も注意してほしい。)


(確かに・・・)


ヤマブキは、かつおの家で飼われている全ての猫に関してではなく、飼い主であるかつおの事も詳しい。

一番最初に飼われた猫だからこそ、かつおの過去をこの家で一番よく知っている。ヤマブキは、自分がかつおの家に招かれた経緯についてもまんぷくに話してくれた。


(私が生まれた・・・のかどうかは分からないが、気づけば私は、かつおさんの両親が住んでい

 た家にいた。)


(・・・そういえば、かつおさんのお父さんやお母さんって、この家には住んでないのかな?

 僕にもお母さんがいたから、かつおさんにも・・・)


(今はちゃんと別の場所で生きている。)


(そっか、安心した・・・)


(・・・それにしても、君にはお母さんとの記憶があるんだね、羨ましいよ。私には、両親の記

 憶なんて、これっぽっちもないからね。)


(・・・そうなんですか・・・)


(・・・あぁ、言っておくけど、私は鳥や犬に喧嘩をした覚えもない。レイワの話は、冗談半分

 で聞いてほしい。)


(・・・それもそれで安心しました。)


レイワが何故、そんなデタラメをあれこれ触れ回っているのか。それはヤマブキ曰く、『彼なりのスキンシップ』

まんぷくは学んだ、猫の種類が多ければ、『スキンシップ』の数も多い事を・・・

それに、レイワの『スキンシップ』は、決して誰かを傷つけるわけでもなければ、誰も不快な思いにはさせない。

ただ、ちょっとだけこちらに被害が被るだけ。だからヤマブキも、本気で怒ったりはしない。

それに、ツッコミを入れられるレイワも、まんざら悪い顔をしない。まるで『お笑いコンビ』の様な感覚で付き合っているヤマブキとレイワ。

ネネとさくらは、例えるなら2匹の漫才を傍で見守る『観客』なのだ。


(・・・あと、私達に『さん』は必要ない。


 もう家族なんだ。家族には『さん』をつけない

 人間の家族と一緒だ。)


(・・・・・そうですか・・・


 ・・・そうだね! ありがとう、ヤマブキ!!)


まんぷくは、頑張ってケージから手を出し、ヤマブキに触れようとする。すると、ヤマブキは片手をまんぷくに寄せ、『ハイタッチ』をする。

すると、その直後・・・・・






「・・・ウゥゥゥウウウゥゥ・・・」


廊下の方で、『変なうめき声』が聞こえた。ケージから出られないまんぷくの代わりに、ヤマブキが廊下に出て、様子を伺うと・・・


「・・・あぁ、ごめんねヤマブキ。


 ヤマブキ良い子だねー!!! ちゃんと挨拶できたんだねー!!!」


さっきまで廊下で倒れ込んでいると思ったら、いきなり顔を上げてヤマブキを盛大に撫で始めるかつお。

実はさっきまでの2匹のやりとりを、かつおはずっと陰から見守っていたのだ。

ヤマブキがまんぷくに手を出したら、すかさず助けに行こうとしていた・・・が、それは『万が一』いや『億が一』の場合。

ヤマブキに負けじと、かつおもヤマブキの行動やパターンはしっかり理解している。

相手が自分に対して敵意を向けない事が分かったその日の晩、ヤマブキはこっそり、ケージの中の新入りに、改めて挨拶をするのだ。

現に、レイワ・ネネ・さくらの時も、夜にこっそり密会している猫達を、かつおは見逃さなかった。だから今回も、『大成功の予兆』を感じていたかつお。

ヤマブキが話しかけてくれた事に喜んでいるのは、まんぷくだけではなく、かつおも喜んでいた。

これでもう、まんぷくはかつお一家の猫として、正式に認められた事になる。先住猫・4匹と仲良くなれれば、かつおようやく一安心できる。


まんぷくが拾われてから、かつおの家の猫になるまで、約一ヶ月以上かかった。他のレイワ達に比べると、だいぶ早い方である。

一番『家猫』になるまで時間がかかったのは、さくら。

さくらはまんぷくよりも小さい時期に保護された事もあって、他の猫や人間との付き合い方が、まだちゃんと理解できていなかった。

かつおは諦めずに何度もトライしては、『爪切り』や『お風呂』の手順を教え、あらゆる躾も地道に覚えさせて、三ヶ月以上かかって、ようやくケージから出せた。

姉であるネネはそこまで手がかからなかったものの、レイワとの戯れあいが度を越してしまったり・・・と、昔はアクシデントが色々とあった。

レイワに関しては、今もアクシデントを生んでいるのだが、それでも前に比べるとだいぶ落ち着いてきた方である。

一回ヤマブキがブチ切れた時は、レイワを病院まで連れて行く羽目に。大事には至らなかったが、しばらくヤマブキとレイワを、別々の部屋に置いていた。

しかし、まんぷくの場合は、ケージの中からでも、先住猫と積極的にコミュニケーションを取ろうと頑張っていた。

その努力が、先住猫に届いてくれたのか、もう皆と仲良くなっているまんぷくを見ると、何も言えないくらい感動してしまう。


だが、あまりにもベタ褒めするカツオを見て、猫達はびっくりして固まる。

ヤマブキに至っては、『銅像』のような顔のまま、瞬きもせず動けなかった。


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