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百一ニャン 病院へ・・・(その2)

ヤマブキもレイワも、特に異常はナシ。「いつも通りで安心しました」と、獣医からのお墨付きも頂けた。

その後、家に帰って来た2匹と、良い子でお留守番をしていた3匹と合わせて、『ご褒美タイム』に突入。

かつお的には、5匹が全員診察を終えたタイミングでご褒美タイムにしたいのだが、そうすると後半の猫達が渋ってしまうので、ご褒美タイムは二度に分けているのだ。

前にまんぷくを動物病院連れて行った時、そこまで苦労しなかった為、後半は『3匹』で向かう事に。

そして、この病院を最も嫌がっているのが、ネネなのだ。




「・・・・・クゥーウ・・・」

(うぅぅぅうう・・・嫌だよぉぉぉぉぉ・・・)


「ネネー・・・出てきてよー・・・」


ネネはキャットタワーの巣の中で、固まったまま動かなくなってしまった。これが、ネネなりの抵抗である。

かつおの足元では、さくらとまんぷくも、引きこもっているネネの様子を伺っている。

何故ネネだけが病院を嫌うのかは、かつおにも分からない。

車に乗る事自体は好きなのだが、動物病院に着くと、まるで風船から空気が出ている時のような、弱々しい声で鳴いてしまう。

初めてネネが動物病院に行った時、その鳴き声を聞いて体の不調を疑ったかつおと獣医。

だが、体には何の異常もなかった。

それでひと安心できたものの、ネネの弱々しいその声は、何年たってもやはり心配になるくらい怖いのだ。


「ほら、よーいしょっと!」


かつおが片手を巣の中に突っ込み、そのままネネを抱き上げると、引っ張ってケースに持っていく。

強引な手段で、かつおも心苦しくはあるが、ネネの健康を守る為、彼も身を削るような思いだった。

だが、大暴れして家中を駆け回るよりはまだマシな方だ。

抱き上げられたネネは、そのままかつおに身を委ね、嫌々ながらもちゃんとケースに入ってくれる。

お姉ちゃんがケースに入ったのを確認すると、さくらもかつおの手によって、ケースにスポッと収納される。


「この前行ったばっかりだけど、まんぷくも念の為にね。」


(えぇー・・・僕もまた行くのー?)


うんざり気味ではあるが、ちゃんと律儀にケースへと入ってくれるまんぷく。

3つのキャリーケースを同時に持った事がなかったかつおは、ヒーヒー言いながらも車に移動する。

車で移動している間も、ネネはかなりビクビクと怯えていたが、両側にいるさくらやまんぷくが鳴いて慰めてあげる。


(だ・・・大丈夫だよ! 僕なんてついこの前も行ったけど、全然何にもなかったよ!!)


いつもはまんぷくの一歩前に立つネネが、こんなに萎んでいる姿は、まんぷくも見た事がなかった。

だから、ついつい鳴き声が大きくなってしまう。


「まんぷくー、もうすぐで着くから静かにねー」


今日の動物病院、待合室にいたのは、3人の奥様。それぞれが1匹ずつ猫の入っているケースを持っていた。

奥様方の会話は、我が家の愛猫に関する自慢話・・・を織り交ぜたような雑談。

本人達はしっかり隠しているように気を遣っていても、意外と周りで聞いている人は気づいている。

それもそうだ、話を聞いた印象というのは、離している本人ではなく、聞いている人が判断するから。

しかしいきなり三つもケースを持って来たかつおを見て、その奥様方は雑談を中断して、目を丸くしながらかつおを見ていた。

さくらが奥様方と目を合わせると、挨拶のつもりなのか、軽く「ニャー!」と鳴く。

その鳴き声に反応した奥様方は、全員で片手を振って挨拶を返す。


猫の違いは『血統』と『雑種』、『飼い猫』と『野良』だけではない。

『毛並み』から『性格』『体格』『好物』に至るまで、何もかもが違う。

『鳴き声』も、1匹1匹で違うのだ。

かつおは多くの猫達を見ていく中で、とある事に気付いたのだ。

猫の鳴き声は、一般的には『ニャー』だが、猫によっては『ニャー』と鳴かない。

人間の口では上手く説明できないが、『マァーオ』や『ニャーオゥー』だったり、その時の機嫌や体調で、鳴き声は七色に変化する。

まるで、要所要所で声を使い分ける『声優』の様に。


「お、まんぷく君。元気そうだね!」


「えぇ、あれから様子を伺っていたんですけど、特に問題なく過ごしている様子なので、安心し

 ました。

 ネネとさくらも、それ程変わりなく過ごしていますね。さくらは弟ができても相変わらずな様

 子で・・・」


診察台の上に置かれた三つのキャリーケース。

1匹ずつ診察していくのだが、ネネもネネで相変わらず、ケースから出てこようとしない。

かつおが持ち上げてケースから出しても、かつおに引っ付いたまま離れようとしない。

その力は、かつおの着ているパーカーを破きそうな強さ。

猫の力を、侮ってはいけない。だからかつおも、病院やお風呂の日には、生地が強い服や、破れてもいい服で臨んでいる。

獣医と助手の二人がかりでようやくネネとかつおを離せたものの、パーカーはすっかりヨレヨレに。

意外とネネは、力が強いのだ。


「2匹もいつも通りで何よりですね。」


「えぇ、本当に・・・

 まんぷくの方はどうですか?」


「前の診察時と変わらず、特に異常はありませんね。

 個人的にも少し心配だったのですが、ようやく安心できますね。」


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