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天才子役!天原久遠のオーバーワーク  作者: あすもちゃん
進撃の小学生編

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162/175

162、学校ギルド1

「せっちゃん久しぶり~、元気だった?」


「ふふ、こうして話すのは久しぶりですね」


「この前は遠かったからねぇ」


「お馬さんのお話聞かせてください!」


「いいよ、あれはねぇ……」


新学期。

朝の教室は普段の5倍は騒がしい。


クラスメイト達は再会を喜び、夏休み中の楽しい思い出を語り合う。

私も例外ではなく、思い出話に花を咲かせる。


お金持ちが多いので、聞いたこともない外国へ旅行に行ったり、庶民では考えつかないようなリゾートの過ごし方とかが聞けて楽しい。


「わたくし今年はイタリアに行って来ましたわ!久遠ちゃんはどこ行きましたの?」


「……マヨイガとか?」


「マヨイガ?どこの国ですの?」


「フランスで馬車に乗せてもらったりして楽しかった~」


「あ、私も馬をレースに出したりしたよ」


「レース?」


……あれちょっと待って?

なんかみんなの思い出すっごくキラキラしてない?


なんか私の夏休み、振り返ってみると全然小学生らしくなくない?


思えば私の思い出は別荘で悪霊しばいて、異界で妖怪しばいて、競馬場で忍者しばいて……


しばいてばっかじゃん!


「ぬおぉぉぉ」


「くーちゃん?」


私は子役、将来大女優になる子役。

子役とは断じてこんな暴力的な職業ではない。


ここは今一度初心に帰って、演技の仕事に打ち込むべきか。


でもなぁ、仕事はちゃんとしてるけど張り合いがないんだよなぁ。

期待の結衣ちゃんはまだ基礎練習の段階だし、まだまだライバル足り得ない。

もうすぐ小さな発表会があるみたいだけど、ビギナーの域を出ないだろう。


今度斎藤に面白い仕事がないか聞いてみよう。

新学期は暴力的なことは封印して、文化的に行くのだ!


そんなことを考えていると、懐かしい顔が近づいてきた。


「久遠様、お久しぶりです!」


「おー小太郎、久しぶり」


ほんと久しぶり。

学校ではこうして挨拶してくるし、何かと付いてきたがるので毎日顔を合わせていた。

でも夏休み中は仕事や用事で動き回り友達と遊ぶことも無かったため、必然的に小太郎とも会わなかった。


「小太郎夏休み何してたの?」


こいつも大企業風祭建設の御曹司、

きっと海外で素敵なバカンスを過ごしたに違いない。


「はい、聖山の開発作業を手伝ってました」


「え?聖山って月うさぎ温泉?」


「はい」


「ずっと?」


「お盆まではずっとですね」


何やってんのこいつ?


聞けば開発に協力している風祭建設のコネを使い、親のお手伝いという形で元ニート共と一緒に労働してきたという。


「いやーあの人たち久遠様の戦士団だっていうじゃないですか、なら久遠様一の騎士である俺が先頭に立たなきゃって」


ごっこ遊びの騎士になんの義務も責任もないんだが。


「流石久遠様の戦士団、みんないい人ばかりでした」


まあ元ニートたちも気のいいやつらだし、小学一年生が職場体験に来たら普通に可愛がるわな。


「途中から幼稚園時代の騎士仲間も集まって、楽しかったですよ」


「ええ?あいつらも来たの?」


懐かしの仲間たちと山で過ごす、ひと夏のサマーキャンプ。

大自然のアクティビティに各種クラフト体験、極上温泉もついて宿泊費タダ。

そりゃ小学生男子には楽しすぎる夏休みに違いない。


「まあ楽しかったならいいよ、手伝いありがとね」


「はい!完成が楽しみです!」


キーンコーンカーンコーン。


楽しく話していたらチャイムがなった。

みんな名残惜しそうにしながら席に付く。


教室のドアがガラリと開くと担任の九条桃子先生が現れた。


「はーいみんな久しぶりー、夏休み楽しかったかなー?」


「「はーい!」」


「あらー良かったわねー」


にこやかな先生に、元気に手を上げ返事をする生徒たち。

和気あいあいとした雰囲気。


しかし私だけは机の上で手を組み、じっと先生を観察していた。


「うっ、久遠ちゃん、どうかしたのかなー?」


「いえ、何でもありません」


一見すると子供好きな良い先生。

でもその正体は馬カス。


競馬場で馬券を拾うあの残念な姿を見てしまった私は、

先生を見るたびそれが頭をよぎり、もう普通に直視することができない。


「じゃあ最初は始業式だから、みんな並んで講堂に行くわよー」


先生の号令で子供たちが教室の後ろに並び始める。


さて私も並ぶか、というところでガシッと先生に肩を捕まれた。


「久遠ちゃん」


「はい」


「忘れて」


「無理です」


「くぅ……!」


完全記憶を持つ私じゃなくても、あれはちょっと忘れられませんわ。


「違うのよ?いつもじゃないの、あの日はたまたまあそこにいただけで、ほんとーにたまたまドライブしてたら、あ、近くに大きい建物あるなー、わーなんだろー?え、これが競馬場?へー初めてだけどちょっと賭けてみようかなー?よく分からないけど3れんたん?っていうの賭けてみようかなーって思っただけなの!初めてなの!」


「先生」


「信じてくれた?」


「無理ありすぎ」


「くぅ……!!」


っていうかもう二回遭遇してるし、通り名まで付いてて競馬場の名物扱いだ。


「まあ別に言いふらしたりそれを使って脅したりはしないので、安心してください」


「ほんと?」


「はい、ただ私の中で先生の評価が地の底まで落ちただけで」


「それはそれでつらい」


ただ教師としての尊敬は砕け散ったが、私の中では「面白枠」としてランク急上昇中ではある。


「ところで生活費とか大丈夫なんですか?」


「まあ実家に頭を下げてなんとかね」


実家は名家だしな、いざとなればどうとでもなるか。

これまでも何度も頭を下げてきたのだろう。


「でも最近は当主が兄に変わって少し面倒なのよねぇ。お父様は気前よくくれたのに、ケチ臭いったらないわ」


「そうなんですか?」


「ええ、会うたびに目つきが冷たくなって、段々当主らしくなって頼もしい限りね」


それは俗に言うゴミを見る目というやつでは?


「とにかくこれで次のレースもイケるわ!」


どうしよう。

もう勘当へのカウントダウンが始まってる気がしてならない。


「当たったら教えてください」


「ええ!」


とりあえず適当に応援して、

私はさっさと教室の後ろに並んだ。




さて始業式が終わりロングホームルーム。

夏休みの宿題や提出物を集め終わると、

さっきとは別人のようになった先生が教壇に立つ。


「さてみんな、いよいよ二学期が始まります」


これから始まるだろう説明に、

何人かの生徒がソワソワしている。


「二学期からは何が始まるか分かるかなー?」


「「学校ギルドー!!」」


「正解でーす、二学期からはいよいよギルド活動が解禁されまーす!」


学校ギルド。

私が発案し実装された新制度だ。


近隣住民や地元企業などが学校に依頼を出し、

生徒が派遣され実際にお金を稼げる画期的なシステム。


一学期中はそんなギルドで失礼を働かないようにマナーやルールをみっちり学んだ。そして二学期からついに私たち一年生も活動開始というわけだ。


「楽しみー」


「どんな仕事があるかなー」


子供たちにとって色んな職場で働くことは遊びみたいなもの。

お金持ちばかりのこの学園だが、生徒は進んでギルド活動に参加している。


「みんなスマホの準備はいい?まだの人は学校に申請してねー貸し出すから」


ギルド活動にはスマホを活用する。

専用アプリを入れ、より楽しく意欲的に活動できるように工夫を凝らしている。


そして何を隠そうこのアプリ。


作ったのは私と父だ。


「スクールライブ」、通称スクラブと名付けられたこのアプリは。

一言で言うと学校生活をゲーム化するアプリである。


ゲーム好きな父が作っただけあり、ゲーム感覚で学習できるような機能が満載。

ギルドのサポート機能やスケジューラー、校内SNSなどこれ一本で快適学生生活。

ちょっと語りきれないくらい機能があるので、一度では説明できない。


「おうちでちゃんとプロフィールの設定してきたかなー?」


さて無数の機能があるスクラブだが、とりあえず今日はギルド関連で一つだけ。

私は先生の話を聞き流しながらポチポチとプロフィール画面を開く。


それでは紹介しよう、スクールライブの驚きの機能その一。



天原久遠(7歳)

ギルドランクG


体力:203

精神力:4032

力:117

知能:1659

器用:40

俊敏:168

魅力:937



ステータスが見える。


何を言ってるのかよく分からないと思うが、とにかくステータスが可視化されるのだ。

数字は運動力テストや診断アプリなどを使い測定される。

ちなみに伯父監修。


改めてステを見てみよう。

精神力高!

私どんだけメンタルお化けなのよ。


知能が高いのはまあ当然として、反面フィジカル面が低い。

これは霊力を切っているからだな。

所詮私は小一女子、霊力無しだとこんなものである。

それでも平均よりは高いが。


同年代だとオール60が平均だろうか。

大人だと500くらい、1000超えは天才。


魅力が1000超えないのは微妙に納得がいかないが、

これも私がまだ子供だからだろう。

大人になればきっとカンストするに違いない。


「それにしても、私の器用さ低すぎない?」


40て。

確かに字は下手だし、大雑把だけど……

まあ合ってるな。


こんな風に自分のステータスを可視化し生徒のやる気を出させたり、

自分の向き不向きを客観的に知れたりと大変便利な機能なのだ。


「えー私力弱すぎー」


「お前なにその体力」


隣り同士でステを見せあい、盛り上がるクラスメイトたち。

そりゃこんな機能あったら楽しくて仕方ないだろう。


ちなみに仕事によっては一定のステータス値を要求されることもあるので、

やりたい仕事があるならステを伸ばす必要がある。


「くーちゃんはどうですか?」


「ふふん」


私はせっちゃんにスマホの画面を見せる。


「わっ、すごいです!流石くーちゃんですね!」


「まあねー、せっちゃんは?」


「わたくしは普通ですよ」


そういって恥ずかしそうにスマホを見せるせっちゃん。


どれどれ?


刹那(6歳)

ギルドランクG


体力:113

精神力:450

力:67

知能:167

器用:128

俊敏:71

魅力:貂ャ螳壻ク崎?



「み、魅力がバグッとる……!」


「そういえばこれ何て読むんですか?」


どうやらせっちゃんの謎オーラは、機械でも測れないらしい。


「みんなもギルド活動沢山して、ステータスを上げてSランクを目指しましょうねー?」


「「はーい」」


せっちゃんの底知れなさに慄きながら、次回に続く。



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