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多分このラブコメは根本的におかしいのかもしれない  作者: UMA未確認党
第4章 カオス野球

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第69話 喪った恋

「僕ね。好きな子が居たんだ」


「そうかそうか青春だねぇ」


 俺はにこやかに反応する。


「でもその子は居なくなっちゃって……」


「え?そうなのか」


 俺は顔を見てみる。


「転校か何か?」


「いやこの世から」


「この世から?つまり死んだってコト?!」


「そう。同じクラスの隣の席だったんだけどね。ついこの前……」


「つ、ついこの前か……」


 最近そんな例を聞いたことがある気がするぞ。


「おい!まさかその好きだった女子の名前って……」




「杏奈。霊元杏奈だよ」


 三人分のカッパを抱えた舞香が戻って来た。


「ねーちゃん!」


 そして望の隣に座る。


「僕そんなこと言ってなかったのに」


「すぐ分かるよ。二年生ぐらいの時一緒に鬼ごっこしてたのを見た時からその子にだけは態度が柔らかかったもん」


「やっぱねーちゃんには敵わないや」


 望は頭を抱えている。流石舞香洞察力が凄い。


「杏奈は変な子だったんだよ。授業中よく消しゴムや教科書を忘れるしそのたびに見せてたんだ」


「忘れ物が多いのは望もでしょ。この間給食セット忘れてたじゃん」


「そんな前のことは良いの!いつの間にか、安奈のことを特別に思うようになって……『隣にいて欲しい』って思うようになったんだけど」


 そこであの事故か。あれには臨場していたけれどまさか知り合い同士だったとは。


 ウチの初等部で起こったことなのにあんまり話題にならなかった気もするけど、そう言えばあの時ずっとアイツがついて来てて話聞くどころじゃなかったな。




「あれ以降すっかりふさぎ込んじゃって。学校にも行けてなくて……それで何とか外出させようと連れて来たんだけど」


 なるほどね!つまり俺じゃなくて望を連れて行きたかったわけだ。


「でも最初は二人で行くつもりだったんだよ?でもお母さんが連れて行きなさいってなったから」


 なるほど!俺と二人っきりで行きたかったのか。それは本当に嬉しいぞ。




 目の前でイルカショーが始まった。


「私はイルカショー担当の風魔と申します」


イルカの飼育員が壇上で挨拶する。


「さぁさぁ御覧なさい。これが我らのイルカルビーちゃんとサファイアくん!そしてクリスタルちゃんです!」


 バシャバシャと中からイルカが三匹飛び出てくる。でも名前をそこまでやるなら三匹目はエメラルドであれよ。


 すると望が少しだけ笑った。


「安奈、イルカ好きだったんだ」


 舞香が弟を見る。


「そうだったの?」


「うん。学校でいつもイルカのストラップ付けてた」


 そうか。そう言えばあそこの供え物にもイルカグッズがあった気がしたな。


 望は空を見上げる。


「いつか水族館に行って本物のイルカを近くで見たいって言ってた」


 そうか……


 俺は何も言えなかった。


 ただ、望が初めて自分から安奈の話をしたことに気づく。


「……じゃあ、今日来られてよかったな」


 望は少し考える。


 そして、「うん」と答えた。


 ふと変な気を感じて周囲を見てみる。奥に置かれている巨大水槽の奥……そこに見慣れたおかっぱの女子の影が……


 バシャッ!


 その考えを思いっきりイルカの波が吹き飛ばした。


「あちゃ~カッパつけてても濡れちゃったね。望最前列はこういうことあるんだよ?」


「知ってるもん。でも見たいんだもん」


「ごめんね隼人くん。こんな弟で」


「良いよ別に水の迫力があって良かったよ」


「帰ったら私の家に来て着替えあげるから」


「はいはい……ってえ?」


 俺が舞香の家に行くのか?

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