第55話 お前は誰なんじゃ。忍者!
ある日愚太郎と廊下を歩いていると妙な覇気を感じた。
「何だ?」
振り返っても誰もいない。
無視してもう少し歩く。また覇気を感じる。
振り返っても怪しい影はない。いやなんか居るかもしれない本棚の辺りの空間が少し歪んでいる気がする。ほんの少しだけだが……
愚太郎が振り返る。
「ん?隼人どうした?」
「いや何かいるような気がして……」
「いや何も見えないじゃん」
「やっぱそうか」
「いや確かに何かいるね。そう言う覇気を感じる」
「は、覇気?お前も覇気を感じるのか」
「うん!なんせ僕は見聞色……」
「あー!あー!二回連続で海賊ネタはダメだ!」
権利的に危ないことを言おうとしたので叫んで止める。
「それはそうとおりゃぁ!」
愚太郎は本棚に蹴りかかった。
「何やってんだお前「うっ!」なんか居た!」
女子のうめき声が聞こえた。令和に婦女虐待とか止めてくれよマジで。
「大丈夫だよだって。彼女こういうのに慣れてるからさ」
愚太郎は笑うがどういうことなのか教えて欲しい。
「どういうことだよ」
「説明いたしましょう!」
女子が宙返りして出てくる。彼女は茶髪ポニーテールで眼鏡をかけている女子で整った顔をしているけど誰だっけ?
「なぁ愚太郎こんな奴いたか?」
「ずっと居たじゃん。最初にクラスにいた時から入学式の時から」
「分からねぇよ!特に挿絵もねぇ小説だと」
「いやでも知ってるはずだよ。だって第4話に出てるじゃん」
「ん?」
俺は記憶をたどる確か先生が出て来たところだったはず。先生が出て来てそこにクナイを刺した奴がいて……あ!
「あの時『逃しましたか』と言った人かぁ!って誰だよ名を名乗れ!」
後ずさりしながら女子の方を見据える。
「そうですかぁ……まぁ大体知ってると思いますけど。拙者の通称は伊賀と申します」
「通称?本名じゃないのか?」
「なんせ拙者は忍者なものですから。この姿も仮の姿です」
コイツ忍者だったのか!そう言えばうちの担任も忍者だし忍者養成学校とかいう木の葉隠れみたいなこと言ってたけど……まさか本物がいるとは。
「いやそうは見えないだろ。先生みたく忍び装束を着ろよ」
「バカですねぇ。本当にバカですね」
伊賀(本名は分からないのでこう呼ぶしかない)は首を振って否定する。そして指を突きつける。
「どこの世界に平時から忍者だとバレる格好をする奴がいますか!こっちはスパイなんですよ?普段は世をしのぶ仮の姿で生きているに決まっているじゃないですか。大体忍び装束は夜の闇に紛れるものであって昼間から着ているのはバカです」
そうまくし立てて来た。まぁ確かにその通りなのかもしれない。何か一部甲三郎先生がバカだという内容も入っていたけど。それでも一つ引っかかる。
「それなら俺らに忍者だっていうんじゃねぇよ!バレても良いのか?」
「それは話の都合ですからね!あと!」
「あと?」
「あなたを忍者部にスカウトしに来ました!一緒に鍛えましょう!」
いや何でだよ!
ようやく風紀部とか言う妙な部活を切り抜けたと思ったら次もまた変な部活に出会うことになったのだった。




