第54話 風紀論
席にようやく座り、秋華先輩と季毬も座る。
「ところでそもそも秋華先輩は何でこの部活にいるんですか?」
「それは……ツッコミは風紀だからっす!」
「え?なんでなんです?関係ないでしょう」
俺が尋ねると秋華先輩はチッチッチと指を振る。
「隼人くん。この学園はボケと言う名の混沌に包まれているっす」
「そりゃね。猫は喋るし幽霊はいるし、変に近未来的だしマンガみたいな奴しかいませんもんね」
「そうっす。そしてこの混沌はあちこちで風紀を乱しているっす。それを正すのが我々ツッコミ役の役目!」
デデン!と大して無い胸を張っている。
「まぁ確かにこの学園はおかしい所も多いですね」
「そう!そして隼人くんがツッコミ属性持ちだと聞いたっす。だからこの風紀部に入れたんすよ」
別に入るとは言ってないけどね?大体部活なんてまだ決めてないんだから仕方ないじゃん。
「あの部活にはまだ入る気はなくて」
「でもこの学園は部活に入るの強制っすよ?」
「そうなんですか?」
「個人の能力を育成するとか言う理由っすよね部長」
「そうですね。確かこの校則にも書いてありますよ」
そうして生徒手帳を見せられる。確かに小さく書いてあった。
「でも俺今はいる部活を探している途中でして……」
「この風紀部はいろいろな風紀やマナーを研究する部活ですから楽しいと思いますよ?」
壁の本棚を差すとそこには世界中の本が並んでいた。
「これらの本は世界中の本です。これらを参考にしながら自分のフルコースマナーを作るのが目的です」
ここってそんなどっかの美食家集団みたいなことする部活なの?
「それでさっきのマナーを見てどう思いました?」
鬱陶しいと思いました。何てことを言うのはまた地雷を踏んでしまいそうだし……
「入る時の足はやはり左の方が良いのでは?せっかく日本式の神社の入り方を使っているんですから」
「そうですか……国際基準に合わせるつもりだったのですがそこは盲点でした。なら入る時の礼を簡略化する……と美しくないですね」
美しさで考えてるんだ……まぁどっちでも良いよ。
「でも俺は他の部活も見てみたいです。それから考えますよ」
「何すかもったいないっすね」
もったいなくないわ!何でツッコミとマナーをこねくり回しながら考える三年間を送ることになるんだよ。
チャイムが鳴った。
「マズい!まだ朝だったっす!」
そうだ!何か今まで放課後でのんびりしてるなぁと思っていたがつい数話前に登校したばかりだった!
「急げ~」
「走っちゃダメっすよ!競歩で行くっす」
「俺競歩のやり方知らない!」
「うるせぇ!行くっす」
どこの麦わらァ?!
ギリギリで滑り込む形で俺の教室に着いたときはもう服中汗だくだった。
「あっ!隼人遅刻はセーフだ!」
「うっせ愚太郎」
その様子を見た舞香に心配される。
「あっ隼人くんおはよう。今日は遅かったね」
「色々あったんだよ……本当に色々とね」
もう当分あんな部活に関わりたくはない。でもそんな願いは叶わないのだった。




