第44話 カオス野球①
「と言う訳で試合の審判はこの万物季毬が務めさせていただくゾ。こちらはゲストの天秤院会長だゾ。後実況解説ヤジ暴言担当の人もいるゾ」
ヤジ担当って何だよ!とっとと追放しちまえそんなん。
「ハァハァ……あそこにいる十人兄弟の間で観戦したい……」
アンタは警察に捕まれ会長!
一番バッターは吾愛だった。
「最速ホームランで終わらせて見せます」
ピッチャーはやたらと強そうな色黒の女子だった。
「フン!アンタのお望み通りすぐに三振にして涙目敗走させてやるよ!」
ピッチャーは豪快なストレートを投げた。
「はあっ!」
吾愛のバットが空を切る。キャッチャーが衝撃で少し吹き飛ぶ。
「クソっ。最短ルートはできませんでしたか」
「そうでもないさ。アタシのボールで墓地送りにならなかったのはアンタが初めてだよ」
お前今までどんな危険球投げて試合してたん?
だがバットのスイングを見て気づいたことがある。ミートする前に少し早く振りすぎている。最速のなせる業だがこれでは打てない。
「二投目だ。これ受けて死ね!」
「何を言いますか万物は最速に帰結する!」
「「うおおおおお!!!!!」」
二人の叫び声がこだまする。一つだけ言っておくがこれは一回の表の最初の打席だから興奮し過ぎである。
結果ボールはと言うとミートし飛んだ。
「掴め!」
ボールは内野に落ち捕球されるが、もはやその時には一塁上に吾愛がいた。
「一塁にしか進めませんでしたか。何とも一二塁を経由しなければならないのがめんどくさい」
「は、速すぎる。今の一瞬でもう塁上にいるなんて……」
よしまずは一塁だ。次は二番打者の愚太郎だ。相変わらずバットをぶんぶん振っている。
「よ~し!掛かってこい!」
「このチビは吹き飛ばしてやるよ!」
またボールが投げられ今度は一気に打ち上げる。すぐ下に待機していたが、ここで僥倖ボールを取り落した。
「よし愚太郎!そのまま走れ!」
「させるか!一塁に投げな!」
2人の声が重なり……
「え?何か用?」
愚太郎は途中で振り返った。だからお前じゃねぇって言ってんだろ!速く走れ!
俺の声も空しくその隙にアウトになった。何やってんだこのバカは……
その次三番の俺と四番の琴音は三振したので回はあちらのチームに移った。
女子が四番とか良いのかと思うが、実際あの中で打撃力を含めて一番力が強いの彼女だし仕方ない。
「いけないいけない。つい力み過ぎて指で金属バットを捻り潰しそうになっちゃった。これメジャーリーグでも使う者らしいけど」
言った通りだろ?もうこの金髪のギャルモンスターは四番に置いておいて相手を威嚇しておこう。そもそも彼女はボールを握ってそのまま破裂させないかすら心配なんだが。
ちなみに三番の俺には全く良い所が無かった。仮にも主人公なのにここでは署って大丈夫なのかと言う人が居るかもしれない。でも安心して欲しい。だって他のメンバーの打席の方が濃いわけだし……
まぁ俺はそんなことを言っていられない。俺はサードの守備に就いた。




