第43話 対戦相手
土曜日、俺たちは学園のグラウンドで待っていた。愚太郎がバッドをぶんぶん振る。
「さぁさぁ宇宙人でも怪獣でもなんでもかかってこいや!」
止めろこの作品だとワンチャン出かねないから!
周囲には暇そうな小中学生が待っていた。ほぼ愛奈の身内らしい。
「うお~。愛奈お姉ちゃんが打つぞ~!」
「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」
「十条十兄弟!まさかアイツらが居るなんて」
頑張ればこの兄弟だけで野球できるな。後一人でサッカーか……何か後一人足りないとなると俺が入れられそうだな。
「ところで練習試合の相手って誰が来るか知ってるのか?」
俺は愛奈に尋ねてみる。
「いや?他校の高校生までは知らないね。愚太郎先輩は知ってるんじゃないですか?」
「僕とは野球部じゃないから分からないよ。コングは?」
「知らない。琴音なら知ってるかも」
「え?ウチそもそも野球のルール知らないし呼ばれたから来ただけだよ?舞香は?」
「私も野球やるって聞いたから来ただけ……」
他のメンバーも野球部じゃないから知らないらしい。
「いや何でこっち野球部一人もいないんだよ!ズル休みした六人を連れて来い!」
「だって今の時代呼び出すのは気が引けるって先生が」
「じゃあ延期しろ!何で俺らは呼び出されるんだよ!」
「だって対戦相手のスケジュールの関係らしい。キャンセルできないんだって」
「え?キャンセルできないって言っても練習試合なんてどうせそこら辺の高校相手だろ?」
俺がそんなことを言っているとズシンズシンと言う音がして相手が現れた。
そして俺はそれを見て一言。
「シェェェェェ!ゴリラの群れだ!」
一応断っておく。俺の身長は百七十くらいで平均的だ。しかし足音でも分かる通り相手の身長はかなりデカかった。まぁ運動部ならこのくらいデカくても良いじゃんと言う人が居るかもしれない。でも俺の頭二つくらいデカいし、何か横幅も広い。腕だけで俺の太ももくらいはある。
そして何より驚くべきことはそれらが女性だったことだ。
「あ?こいつ等が対戦相手か?潰しがいがありそうだな」
「潰す潰す潰す」
「コロスコロスコロス」
しかも何人かバーサーカーいるし!
先頭にいたキャプテンらしきポニーテールの女子が屈んで俺を見る。
「激王学園の野球部の方々ですか?」
「え、ええ……半分は正解です」
すぐに別のメンバーに口を挟まれる。
「おいおいこいつ等本当に野球部か?腕も細くて野球経験無さそうだぞ?」
ご名答。俺はギリギリプロ野球の球団の名前が言えるだけでテレビで野球なんて見たことありませーん!
「尊敬する野球選手は?」
「え?そりゃ大〇翔平ですけど」
「僕も大谷〇平!」
「大谷翔〇かな……」
「やはり〇谷翔平っしょ」
ちょっと一年三組だけで伏字を綺麗に貫通したぞ!まあかく言う俺もそうなんだけどこれじ俺らがただのミーハーってバレちゃうだろ!
「そ、そうですか。そちらの方々は?」
「大谷吉継です」
「電気ネズミの大谷〇江かなぁ?その内アニメ化するならアタシの声優お願いね」
「え?強い野球選手に憧れます」
そして最後は舞香……
「う~ん。長〇茂雄さんですかね」
一人だけ古っ!いや吾愛の言ってた大谷吉継の方が古かったな!
「おいおいただのミーハーじゃねぇか。こんな寄せ集めでいいのか?」
「ハハハ俺たち初心者チームに負けたらお話に『我々は県準優勝です』申し訳ありませんでしたぁ!」
すぐにスライディング土下座を決めて見せる。
何で俺らはこんなモンスターチームとやりあう羽目になるんだよ!




