第40話 人脈って何だっけ(後編)
俺が空に向かって叫んでいると、見知った奴らが現れる。
「オッス」
この低い声はコングだ!
見てみるとそこにはクソデカいコングが聳え立っていた。その肩の上にはグタローが座っている。戸愚呂兄弟みたいな登場だがまぁ良い。やっと俺の友達が来た!
「やぁやぁ愛奈ちゃん!琴音!あたり!あと隼人!」
愚太郎が元気に手を振って来るので俺は手を振り返す。
あれ?コイツ俺より先に愛奈の名前を呼ばなかったか?
「あ!キングコング先輩、愚太郎先輩おはようございます!」
愛奈はぺこりと頭を下げる。
何だよ!俺の妹はこいつ等とも知り合いなのかよ!どんな人脈だよまったく。
「あっ兄貴の同級生たち?兄貴がお世話になってます」
「いやいや僕がお世話してあげてるくらいだよ」
「愚太郎。それじゃ否定にならないぞ」
コングが苦笑する。
「じゃあお世話されてあげてるってことで」
なんだそれ偉そうだな!
「まさかお前らと愛奈が知り合いだったなんてな……」
「そうだね。この前制服全部落としたのを拾ってくれたんだ。そこからはずっと友達!」
小学生か!てか制服を全部落とすな不注意だろ。
「じゃうち等もう行くね~」
「放課後にでも会いましょう!」
琴音とあたりは去って行った。
「じゃあ僕たちも行くか」
「そうだな……」
「うんそうだな。俺たちは友達だもんな!」
そう言って三人で並んで歩く。
最後に愚太郎が振り返って言う。
「じゃあね愛奈ちゃん。あの隼人の映像面白かったよ」
……
おいちょっと待たんかい。
俺の腕は愛奈の首根っこを掴んだ。
「なぜ?俺の映像が流出してるんですかね」
「わ、悪かったって兄貴!先輩たちが見たいって!」
愛奈は泡を吹く。
「どの映像だ?映像によっては君は今夜から針の筵になるぞ」
「ひっヒィィィィ!」
画面には。小学校の運動会の様子が映っていた。ま、まさか……
小さかった俺はリレーの走者をしていてバトンを待っていた。そこで俺に向かってバトンが渡される。
「隼人!パス!」
「おうよ!」
俺は走り出していった。
身体は軽かった。だってバトンを持っていないんだもの。
俺はあの時選手に選ばれてすごく緊張していた。家で何回も練習したし、そのために新しい靴も買ってもらった。
そのせいで気持ちが先行しすぎてしまってバトンを持つ前にとっととスタートしてしまった。
「おい待て隼人!」
友人が追いかけるが、俺は緊張で話を聞いて居なかったうえに練習の甲斐あってどんどん進んでいった。
結果俺は誰よりも先頭で進めたのだが、俺が渡そうとした時になってやっとバトンが無いことに気づいた。
小学生だったこともあってハイタッチだけで済ませてもらったがこれは未だに俺の黒歴史でしかない。
その黒歴史を共有された……それだけで俺の目の前は真っ暗になってしまった。
「嘘だろォォォ!」
俺は膝から崩れ落ちた。
「わ、悪かったってあの時の兄貴は面白くてさ」
「そうそうお前にもこんな可愛い時があったんだなって思っちまったよ」
愛奈も愚太郎もニコニコしている。でも俺の気分は最悪だ。
でもその気分を晴らす存在が現れた。
「あっ隼人くんおはよう」
舞香だった。美しい白髪に切れ長の目が凄く美しい。
「お、おはよう」
「舞香先輩おはようございます!」
愛奈は舞香のことも知っているようだった。もうツッコまないことにする。
「愛奈ちゃんもおはよう」
軽やかな声は全てを浄化してくれる。そうアイツらとは違ってね。
「今隼人の運動会の映像見ててさ!」
ほら余計なことを言うな!そもそも舞香の連絡先持ってんのかよ!俺も持ってないのに。
「あっあれ……何かちょっと可愛かったよ」
舞香はあくまで優しくそうフォローしてくれる。
でも俺は灰になった。
「は、隼人くん。勝手に見ちゃったお詫びに私の連絡先あげるから」
俺は灰から復活した!




