第38話 愚妹
「そっかぁ~お兄さん。愛奈ちゃんのお兄さんだったかぁ~。正直あんま似てないね」
蓮季は俺を見下ろしてそう告げる。そりゃ性別が違うんだから当然だろ。
それはそうとしてまさか愛奈の同級生だったとは。
三河愛奈は俺の二個下の妹である。中等部に編入したらしいが、それにしてもこんな短期間でそこまで有名になるとは流石アイツだ……
「いや似てないって少しは似てるだろ。髪色とかさ」
「あ~そう言えば似てるといえば似てる所もあるかも。でも愛奈のお兄さんだったら見逃してあげても良いカナ~」
おうおう見逃せ見逃せ!この漫画を健全に戻してくれ!
ガラガラガラと突然扉が開いた。
それを聞いて居たのか天秤院会長とうららさんが連れ立って入ってくる。
「会長?どうしてアタシの秘密基地が分かったんですか?」
「どうしてって蓮季の身体にはGPSを埋め込んでるからだが」
こわっ!蓮季も笑顔だが足がやや震えている。サキュバスをビビらせる怖さって何だよ。
「そうか!君があの三河愛奈のお兄さんだったのか。そう言えば編入時期が同じだったな」
俺は突然腕を持たれブンブン振られる。
「そ、そうデス。俺は三河愛奈の兄です」
困惑しながら会長とうららさんを見る。
「いやぁ~噂はかねがね聞いているよ。何とも愛奈は転校三日間で同学年全員と知り合いになったとか」
「あれ実際は一週間ですけど。とくに有名な人と友達になることばかり狙ったせいでそう見えてるだけです。それでも一週間は異常ですけど」
「立派な妹さんだね。そしてそれは他学年にも広がり今は超有名人だとか」
「それは照れますね~」
俺は頭を搔くとツッコまれる。
『オマエハホメテナイ!』
「それはそうとして今妹さんには中学生徒会加入の話が出ているらしい。兄も一学年の代表でほぼ生徒会みたいなもんだし兄妹で立派だな」
「え?俺って生徒会所属なんですか?」
天秤院会長と蓮季は向かい合って不思議そうに見る。
「そりゃそうだが?」
「生徒会長が生徒の信任を得て成立するのと同じで学級委員もクラスの信任を得ているのだから当然でしょ?」
えええええええええええ!!!別に俺はあのカオスな動物園と化している学年の代表をしたいわけでは無いんだけど……他の候補があれではあまり頼りたくないし、やるしかないのか……
「大体良い妹さんもいるんですから兄妹で中高の橋渡しもできる良いポジションだと思いますよ?」
『フサワシイ!フサワシイ!オマエガヤレ!』
「じゃあやりますよ。妹に伝えておきます」
「あぁそれは結構。私たちが先に連絡先持ってるからそっちで連絡させてもらうよ」
「え?」
「私もうららも蓮季も皆お前の妹の連絡先を持ってるぞ?友達百人作ったとか」
「確かお兄さんのクラスにも友達多いんじゃなかったですか~?」
愛奈アイツめ!俺でさえあの激王猿軍団の連絡先ぐらいしか無くて舞香の番号も知らないのに、俺のいる高校に俺より多くの友達を作りやがって!
そう我が妹三河愛奈は世界一の人たらしであった。




