第32話 学級委員長集会
吾愛と別れ、俺は教室に滑り込む。
そこには既に四人の生徒が来ていた。恐らく各クラスの学級委員長だろう。
「むむっ!走るのは校則違反だゾ!」
「定刻まで後四分。間に合っているから良いが次からは五分前行動をするべきだな」
「あらあらこんにちは~」
「……」
声を聞いてすぐに気づいた。他クラスもマトモじゃねぇ!
教卓には積分寺先生が来ていた。
「全員集合と言うことで早いですけど始めましょう。まず私は二組担任の積分寺円周です。もう数学の授業に出てるので言うまでもないでしょうが」
この人円周って名前だったんだ。そこまで数学に取り付かれているとは……
「それでは皆さんの紹介をお願いします」
一人目は背が低いが元気そうな女子だ。
「アタシは一組学級委員の万物季毬だゾ。こんなナリだけど校則と交通法規だけはきちんと守るゾ!」
ヤバそうな人だ。全てに法律を押し付けてきそうな……
二人目は眼鏡をかけた男子だった。
「僕は二組学級委員出田頼通だよ。趣味は人のデータ集め。おっと残り三人のデータも内緒の方法で集めているよ」
「頼通!お前また私のデータを集めたのか?!」
またヤバそうな人だ。ストーカーじゃん。
次は俺だ。
「三組の学級委員三河隼人です。趣味はマンガとゲームです。高校からなのでよろしくお願いします」
反応がない。ただの屍の様な挨拶だったようだ。
次は糸目で穏やかそうな女性。肩に白い鳥……シマエナガだったっけ?を乗せている。
「私は四組の白鳥うららと言います。肩に乗っているのはシマエナガのシマじろうです。よろしくお願いいたします」
鳥なのにシマじろう?いや触れないでおこう嫌な予感がする。
『バカ―バカ―!ヨリミチの変態!メガネをかけているだけで頭が良くなったと感じるアホ!Byうらら』
は?どういうこと?
すると白鳥さんは拳で肩の上のシマじろうをぶっ叩いた。
「おほほ。何でもありませんよ。なんせこの鳥はあることないこと言い出すものですから」
それは大概アンタの心の声を代弁しているだけなのでは……
最後に五組の学級委員だ。
「五組の温水です。寝ている間に押し付けられただけですが頑張ります」
押し付けられたのは俺と一緒だ。名前だけは聞けなかったけど暗いだけで少しはいい人そうだ。
「と言う訳でこのメンバーが一期の学級委員長となります。とりあえずこの中で学年のリーダーを決めます。その方が効率的で楽なので」
積分寺先生はそう告げる。そう言うことも決めるんだ……
それじゃ俺は遠慮願おう。めんどくさいし後で全部ソイツに押し付ければいいよ。万物さんが思案している。
「とりあえず頼通は除外としてどうするか」
「待て待て僕のことを除外するな」
「だって頼通は中学の頃女子全部のデータを集めたという前科があるゾ。不安でしかない」
「う~んそれは嫌ですね」
『ヨリミチブッコロス!』
物騒だなオイ。まぁこれで頼通は除外か。
「アタシも嫌だな。委員長は忙しいし趣味兼部活に時間を割けないゾ」
趣味があるんだ。とりあえず聞いてみよう。
「へぇ~趣味って何なの?」
「風紀部。人を付け回して規則違反をチェックする部活。やると報奨金が貰えるんだゾ」
いやあああああああ!
ニヤニヤしながら言う彼女に俺は辟易した。
「じゃあ私と隼人くんですか……」
『メンドクセ!トットトアソコノ(自主規制)ノハヤトニヤラセトコ』
酷い!そんな放送禁止用語で攻め立てるなんて……
「あぁ隼人くんのデータは得ているよ。何ともあの琴音と愚太郎とコングと言う猿の群れを飼いならしているとか」
「あぁそれは良いですね。学年全体のまとめ役としていいかも」
『ダレデモイイ!アノサルノシイクヲマカセラレルナラ!』
「隼人?頼めるか?」
「……良いと思う」
え……そんなこと言われても何かもうそれで半分決まっているような感じなんだけど。
「まぁそれでいいですね。真面目に取り組んでいるし先生は勧めますよ」
「じゃ、じゃあ皆さんが推薦してくれるなら良いですよ」
俺はしぶしぶ一年のまとめ役を引き受けたのだ。
最後に一つだけ。アンタらも大概変人だぞ!




