第26話 激王捜査網
俺たちは事故現場にやって来た。
当然ながら規制線はもう無い。普通の道路だった。
江戸一先輩がしゃがみ込む。
「ふぅむ」
地面を見る。
「何か分かったか?」
「何も分からない」
「あぁそうですか!」
まだ三秒だぞ。
先輩は少し動いてから道路を見る。
「ふぅむ」
「今度は?」
「蟻が歩いているね」
「あぁそうですか!」
俺は突っ込む。
先輩は一応本気だった。
電柱を見る。
「妙だな……」
「どうかしました?」
愚太郎が尋ねる。
「このポスターの女優の胸のあたり……」
「それが何か付いていましたか?」
「これはパッド入りだ。私は女だから分かる」
「「「「どひぃ!」」」」
四人ですっ転んだ。
「何でそう言うところばかり気づくんですか!」
「私は胸にパッドが入っているか見分け選手権で優勝したことがあるからな」
「何だその大会!」
「ちなみに準優勝は元警察犬」
「アンタ警察犬より鼻効くんかい!」
そのまま道沿いの店を見る。
「怪しい」
「今度は何ですか?」
「なぜこんな所に古道具屋があるのだろう。あっ!」
「ど、どうしたんです?」
「こんなところにパチンコ屋が!妙だな。まぜパチンコを打った人がこの店に……」
「それはそう言うもんですから」
俺はまたツッコむ。
「次は聞き込みだ」
先輩は聞き込みも始めた。
「何か見なかったかね?」
八百屋のおじさん。
「見てないねぇ。警察に言った以上のことはないよ」
「そうですか」
コンビニの店員。
「シフトじゃないので分からないです」
「ふぅん。なるほど」
麗しき白猫。
「知らぬか?」
「あぁ見たわよ」
「お前も喋んのかい!」
コングが後ろに来る。
「あぁマリンちゃんだな」
「マリンちゃんってショコラの彼女か?」
するとマリンはシャーと叫ぶ。
「はぁ?アタシがあの猫の彼女ですって!そんなことある訳ないじゃないあのバカ」
ツンデレだ……猫にもツンデレってあるのかよ。
舞香がしゃがみこむ。
「前は仲良かったじゃん。何かあったの?」
「アイツったら交尾下手なくせに、そこらじゅうのメス猫にちょっかいかけてるのよ?大体アイツはね」
オイオイオイ!そりゃ人間だったら即アウトだろ!
舞香は猫を抱っこする。羨ましい。
「ニャアン」
そのままナデナデされる。
「それで犯人は?」
「良く見てないから知らんニャ」
「意味ねぇ!!」
「でもあれは可哀そうだったわね。車に引かれる猫は結構いるのよ?」
「ま、まぁ国民的ゲームのマスコットもそれだったし」
「でも犯人は白い車だったわね」
「これめちゃくちゃ重要な情報だろ!白い車って」
俺はクラスメイト達に振り返ると希望を持った風だった。しかし先輩は切り捨てる。
「世間における車の色の内半数弱は白だ。全く絞り込めていないよ。半分に減っただけマシだけれどね」
そう言って立ち上がり、推理を披露する。
「分かった」
「おお!」
ついに。
ついに何か分かったらしい。
俺も期待する。
幽霊少女も期待する。
舞香も静かに見ている。
江戸先輩は帽子を押さえながら言った。
「犯人は白い車に乗ってこのアンナちゃんを引いた後救護義務を果たさず立ち去った!」
ズコーッ!
愚太郎が後ろで吹き出した。
「よっ名推理!」
「どこがだよ!」
何これもっと具体的なこと言ってくれるんじゃないの?
「あの先輩もっと具体的なこと言ってくれないと……」
舞香も流石に苦言を呈する。
「あのねぇ。事故から二日も立っているから証拠もないし、高校生の身分じゃカメラ調べるにも限界があるのだよ。そもそもそんなこととっくに警察が調べているさ」
正論だった。そりゃそうだ警察が動いているんだから一般人、しかも全く無関係の俺らがすることなんて何もないじゃないかと。
「でも探偵なんですよね?」
「あぁそうだよ。IQ200あってその上ペット探しが得意だ。クイズ部に助っ人に行くこともある」
あ、そう言う感じの探偵なんだ。まぁこれで頭が良いというのも意外だったけれど。
「じゃあ打つ手なしと」
「いや?要は情報が集まればいいんだ。私に腹案がある」
自称IQ200の先輩はそう胸を張った。




