第24話 幽霊が見える人
朝起きたら普通にアンナはいた。
夢じゃなかったのか……
朝食の席にもいた。母親は見えていないらしく、
「一人で何喋ってるの?」
と言われた。最悪だった。
朝登校していてもついて来た。その上疲れたと言って背負う羽目にもなったのだ。
「おにいちゃん高校って大きいね」
「だからついてくるなって」
校門をくぐるが、誰も反応しない。
やっぱり見えていないんだな。
そう思った時、「……おはよう」
舞香がやって来た。
なぜか少女を見る。
少女も見る。
数秒の沈黙。
そして。
「……誰その子?」
「見えてるの!?」
思わず伸び上がる。
舞香は少しだけ首を傾げた。
「……見えるよ?ちょっと薄いけど」
「見えるよじゃないんだよ!てか存在薄いのか」
「……女の子?」
「そうだけど!」
舞香は少女の前にしゃがみ込む。
「……名前は?」
「アンナ」
「ふ~ん。アンナちゃんどうしてここにいるの?」
「死んじゃった」
本人はケロッとしているが、舞香は真剣に考える。
「……困った」
教室
席に着く。
少女は当然のように隣に立っている。
「ここ?」
「違う。ここは西園寺さんの席だ」
「じゃあここ」
俺の右隣、琴音の席に座った。
「やめろマジで死ぬから!てかとっくに死んでんのか」
冗談にもならない。その時琴音が来る。
「おはよーっす」
少女を見て一言。
「誰この子」
誰かに聞いたけどその相手は見えていないらしく「は?」と言う顔をする。
「お前も見えるのか!」
「見えるけど?ってこれ……」
琴音は俺と舞香をひょいと担ぎ上げて端っこに連れていく。
そして壁ドンしてくる。いや本当にドンしたらドリフよろしく壁が倒れるのでそっと手を突いた。
「ねぇあれもしかして幽霊じゃね?」
「まぁ恐らくはそうかと……」
「うわぁ~マジかぁ。遂にウチも死神代行デビュー?」
「古いわ。何時代だよ!」
後から来たコングも見る。
「子供がいる」
「お前もか!」
逆に見えない方が少ないんじゃねぇか。それも愚太郎だけ。バカには見えないってそりゃそうか……
その後四人と一幽霊で固まって動いているとすれ違う人や教師の反応もさまざまだ。素通りする人が一番多いが、時々こちらを凝視してくる人もいる。こっちが何の反応もしないので見間違いか俺らが気づいていないと思って声をかける人は少ない。
「結局このメンバーで成仏させることになった」
俺は一同に声をかける。
アンナは舞香に分けてもらったパンを食べている。死んだのに飯を食べるとかOKなのかと思っている暇も無かった。
琴音が話を継ぐ。
「それで?成仏させるためには思い残しを無くせばいいんだよね?犯人をとっ捕まえるとか」
「まぁそうなるんだけどな。まずどこから突っ込めばいいのか分からないんだよ」
「高校生じゃできることも少ないからな。それでどうするかだが……人探しなら俺にもあてがある」
コングは親指で自分を指した。
「えぇ?確かに先輩には居るけどさぁ……ウチあんまあの人に頼みたくないんだよね。変人だし」
琴音をして変人とか中々なんじゃないか……そんなのが先輩にいるとかちょっと驚くな。
ふと舞香の方を向くと、舞香はアンナの頭を撫でながら、
「……かわいい」
と言っていた。
(完全に気に入ってるな……)
とりあえずその先輩とやらにコンタクトを取ってみるか。
そして俺はまだ知らない。
この少女が、これから学園の日常に完全に溶け込んだ上に俺らに更なる混沌を引き寄せ、学園の恐ろしさを教えることを……




