捨てては拾ってきたもの
「いいのか? 奴らも連れて」
奴らというのはジト兄貴が率いていた連中のことだ。今まで見たことのないガヴァダヴァダンでGVD、ITAOPだそうだ。長いのでイタオップと呼ばれているらしい。まあ、どうでもいいがな。最新型GVDなので実力は未知数…、ファーストのTDR超えているとは思えんが…。
「ジト……、リーダーが死んであなたに託され、最後まで見届けたい気持ちがあるのよ。窮鳥って言葉とは違うけど懐の深さをみせてあげなさいな」
「行き場のない連中か? 正直、お荷物だけどな。これから、命が見物料となるんだぜ?」
「承知の上よ。かく言う私もね」
「ああ? サンゾウ姉貴は八玉の宝玉諦めているのかよ?」
「そうよ」
「即答かよ!」
俺がツッコミをいれると。相変わらずの覆面姿で表情がわからない姉御だが……えらく真剣な眼差しを送られたような感覚を与えられる。なんなのだ?
「でも、個人的な欲求であなたと同行するわけね。照れちゃう?」
「アホか? それより、目的が変われば、アンタ達のクルーに謝っておくのが筋じゃないのか?」
「大丈夫、大丈夫、皆は気付いているから。ね?」
サンゾウ姉貴は周りの部下どもに視線を送り同意を促している。なぜか応援のエールを送られている。何のエールかは知らんが……。しかし、姉貴の部下だけあって軽いな。
「よう、カイン。あんな奴と共にして不安とかないのか?」
カイン=フリーランが操る50体のRYの本機に向かって話しかける。
「鈍感なゴタロウさんよりかは不安ありませんよ。いや、ゴタロウさんも信頼していますけどね」
「なんだ? その言い草。別にいいけどな。だけど、もう俺だけの戦いになってきたからな。ついて来なくていいんだぞ?」
「なに、言ってんのよ。私たち、仲間、同士でしょ?」
サンゾウ姉は馴れ馴れしく俺に肩に腕をかける。まあ、それが嫌だというわけではないが……。
「くっつくなよ! 殺伐した空気がなくなるだろ?」
「いいことじゃない」
「戦意が削ぐ」
「な~に? この子はまたまた照れちゃったわけ?」
「そういうやりとりはやめろ! 本気で怒るぞ!」
「でもね……」
と、言いつつサンゾウは口を止めた。
遠目にはなにかが爆発している風景、阿鼻叫喚な光景がみてとれる。次の戦場に近づいて来たというわけだ。相手はシシロウ兄貴だろうか……?
俺が信頼する人物にして、俺を殺そうとした男。真意は邪魔者だけだったのであろうか?
「でもね」
「あん?」
「最後にあなたと横にいるのは私であってほしいな」
「は?」
「なんてね」
「相変わらずのふざけた言葉かよ」
「だって、わたしは本気になるとまた死んでしまいそうだもの……」
……。覆面状態だというのに相変わらず哀愁を纏うことがうまいな。女優でもなれよ。そんなことで俺が奮い立つとでも……?
しかし………。
「大丈夫だ。死なせはしない。サンゾウ……。サンゾウ、皆もな」
「ゴタロウ……」
本当なら、誰もついて来ないで欲しい。死者がでないですむのだから。だけどな、俺も立場が同じなら首を突っ込んでいただろうな。気持ちを組んでやるか。
相手がシシロウ=キャキャットウという死神が相手だとしてもだ。
八玉の宝玉もこれで三つ。最低一つはシシロウ兄貴が所有しているはずだが……全てが揃ったさいに俺はどうするのか? 宇宙の支配できる力なんて興味がない。俺こそが無用の存在ではないのか? いたずらに争いに介入するだけの悪。シシロウ兄貴に目的はなんなのだろうか? 殺ししか興味がないのか。全ては八玉に運命を操られてはいないか?
「勇気か」
厄介事を処理するために目的をもってただひたすら進むだけ。逃げることはできない。俺もだんだん変わってきたようだ。なんて思いたくはないが…。
「大丈夫よ、ゴタロウなら」
「あ?」
「ゴタロウは大丈夫」
根拠もないことを…。
救われているとは思わないが。俺には暖かさ、温もりを感じた。いつのころだろうか? 捨てては拾ったこの想いは。
もどかしい…。
「ゴタロウなら」




