105号室:赤色のおかめの部屋
脱出ゲームへようこそ
※あなたの立場は、【恋人】です。
「こういうゲームって、はじめてなのよね。何回か、他の脱出ゲームに参加したことがあるけど、結局、私って、役立たずなのよね…。でも、恋人かあ〜。【恋人】って、二身一体なのよね。早い話、もう一人の【恋人】を探せばいいのよね。でも、いったい誰が私の【恋人】なのかしら。言っとくけど、恋人って、変人じゃないからね」
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タランッ タランッ タランッ タランッ タランッ タランッ タランッ タランッ………
壁に取り付けられたパネルから、へんてこな着信音が鳴った。ひょっとこは、表示されてある『通話する』の画面を人差し指でタッチした。
「はじめまして。105号室の赤色のおかめです。」
パネルの画面いっぱいに、ひょうきんなペチャッ鼻のおたふく顔が写し出されている。声は、意外にも女性だった。仮面の、その下の表情は分からない。相手側にも、ボクのマヌケたひょっとこの仮面が、画面いっぱいに写っているのだろう。
「キミ、女性?」
「はい。女です」
続けて、おかめは早口に話し始めた。
「今の時点で、私の立場は言えません。あなたは?」
「キミが言えないなら、ボクが言う筋合いはないよね」
「もっともです。今日、はじめて電話する相手があなたです。まだ、誰かも、電話は来ていません。現時点で、私が知っている情報を全て話しますね」
「うん」
「私の部屋は、正三角形。周囲は全て鏡張りです」
「僕の部屋も、正三角形で鏡張りだよ」
「マジックミラーかも知れません。あと、各部屋のカラーが違う(ヾ(´・ω・`)っていうのも、何かのヒントだと思うんです」
「こういうゲーム、詳しいの?」
「いえ。全く。ひょっとこさん。そこに、メモ帳とボールペンが有りますよね?」
「あるよ」
「七つ道具の入った、ずだ袋の中身は、見ましたか?」
「さっき、紙コップに水を入れて薬を飲んだばかりだよ」
「ひょっとこさん。多分、そういう使い道じゃないと思いますよ」
「ど、ど、どういうこと?((((;゜Д゜)))」
「…多分ですけど」
「でも、ボクたちのやり取りって、全部見られてるんですよね」
「それが、条件ですからね。ちなみにですが、私の持ってきたスマホは、圏外で使えません」
「と言うことは、ボクのガラケーも使えないのか…」
「つまり、このテレビ電話でしか、やり取りが出来ないという事ですね。何か、分からないことがあったら、また…」
通話が切れ、液晶画面から、おかめが消えた。
(ビ・ビ・ビ・ビーン・ボ)
壁時計から、午前10時の時報が流れた。




