説明と責任
白々と明けて来た。
海鮮丼なんて食べて来たら、
夜が明けてしまった……。
「ここでいいよ」
山田さんは街に消えて行く。
営業所に戻って精算しないと。
1ヶ月分稼いだんじゃね?
日も跨いだし、
今日は、休もう。
……………………
猫パンチを喰らう。
黒と灰に叩き起こされる。
腹が減ったらしい。
十二時ちょうどじゃないか。
すごいな、おまえら。
胸の上で、
次弾を装填する「灰色」の顔を見ると、
あの猫又を思い出す……。
寝ぼけた頭で、
ここ最近の なんやかやを思い出す。
分かってるようで、
解ってなかったのが、
とっても軽く、
「この世ならざる存在」を、
見せられていたこと。
俺に「有る」と言われている。
結界やら?
契約やら?
の能力は、
主にこの、
「この世ならざる存在」に、
対してのものだ。
これを認めなければ、
話が噛み合わない。
そして、
「感染者」
人間の立場からすると「病気」。
ウイルスにより、
存在を変質させられた人間……。
伝承で語られるような、
化け物、妖怪、怪物、それらは、
感染した人間だという。
彼らは、
空を飛び、滲んで消える。
そんな 信じ難い存在に、
俺は出会った。
吸血鬼と、
それに感染させられた、
猫又……。
儚さも感じる。
彼らは、
死ぬと溶けて消える。
それは 目の当たりにした。
そんな、
伝染病 扱いしてる存在を、
介護施設に入れる?
どんな意図があるんだ?
酷く危ない行為に感じる。
……………………
わからない事は、即、所長だ。
「今日は、どうし……お?」
「なんだい、怖い顔して」
「聞きたい事があります」
当然、
千歳のスポットについて聞く。
「まぁ 偽造工作だね」
「死亡 ロンダリング……」
「面白い言い方するね」
「ロンダリングじゃなく、」
「普通に、」
「死亡証明したいだけだよ」
「それは どういう?」
「花畔君は、」
「最初に 怖いのに、」
「出会っちゃったからね」
「木村君とか」
「山田君とか」
「危険なモノだと思っちゃう、」
「気持ちはわかるよ」
「でもね、」
「人喰いの類なんて、」
「そんなにいないんだよ」
「日本なんて特に平和でね」
「まぁ 鬼種なんて怖いけどね」
「でもさ、」
「感染しちゃって……」
「首が 伸びるだけ」
「猫に なっちゃうだけ」
「そんな人もいるんだよ」
「でも確かに『感染者』だから……」
「もう 人には混じれないわけ」
「食べる物も変わらない」
「生活も変わらない」
「でも 人ではなくなってしまった」
「生涯 孤独に生きる事を、」
「押し付けられた」
「可哀想だと思わない?」
「それに知ってるでしょう?」
「彼らは死ぬと、」
「急速に朽ちてしまう」
「孤独死になると、」
「生物の痕跡しか残らない」
「彼ら、彼女らは」
「人間として死にたかっただけだよ」
つまり、
「調査会社」は、
「感染者」側の、
依頼も受けているということだ。
事の是非は問わない。
俺の半端な正義感など挟まない。
ただ 説明しない体質には、
少しモノを言いたい。
「それは、」
「説明を受けたうえで、」
「責任を持って、」
「仕事してくれるって事?」
言葉に詰まった。
「君達は、」
「知らなかった」
「で、済む立場だったでしょ?」
「あ、花畔君はもうダメだよ」
「責任もって仕事してね」
知らなかった、で済ましたい……。
「前に『共存』って言ったでしょ?」
「そういう調整も我々の仕事よ」
「俺は、話は分かります」
「でもそのせいで、」
「千歳がここを嫌って、」
「やり辛いです」
「あ、やってはくれるんだ」
しまった……。




