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動物たちの言葉がわかる獣医と動物たちの楽園  作者: 1010
第2章 「おはようございます」が言える当たり前な日々

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「隙間で、まだ動けないデグー」 第2話(昼)「動ける体なのに、動けない自分が恥ずかしい」

隙間の中は——


暗かった。


でも——慣れていた。


こういう日が——あった。


体は——大丈夫だった。


足も——動いた。


目も——見えた。


耳も——聞こえた。


全部——大丈夫だった。


なのに——動けなかった。


動こうとすると——体が——止まった。


一歩——踏み出そうとすると——何かが——止めた。


怖いわけじゃなかった。


痛いわけじゃなかった。


ただ——動けなかった。


それが——恥ずかしかった。


動ける体を——持っているのに——動けない。


他の動物は——ちゃんと——動いているのに——私だけ——隙間に——いる。


情けなかった。


恥ずかしかった。


だから——隙間に——入った。


隙間に——いれば——見えない。


見えなければ——恥ずかしくない。


見えなければ——情けなくない。


でも——今日——先生が——言った。


「動けなくて——いいですよ」


「そこに——いていいですよ」


その言葉が——ずっと——頭の中に——あった。


動けなくて——いい。


そういうことが——あるんだと——思った。


昼過ぎ——


デグーは——隙間の中に——いた。


先生が——隙間の前に——来た。


「どうですか」


「……います」


「いますね」


「……動けないです——まだ」


「そうですか」


「……恥ずかしいです」


先生が——静かに——聞いた。


「恥ずかしい——ですか」


「……動ける体なのに——動けないから」


「動ける体なのに——動けないことが——恥ずかしいんですか」


「……はい」


「他の動物は——ちゃんと——動いているのに」


「……私だけ——こんな——隙間に——いて」


「……情けないです」


先生が——穏やかに——言った。


「情けなくないですよ」


「……情けなくないですか」


「情けなくないですよ」


「……でも——動ける体なのに——動けないんですよ」


「動ける体と——動けない気持ちは——別ですよ」


デグーが——止まった。


「……別——ですか」


「そうですよ」


「……体は——動けるのに——気持ちが——動けないことが——あるんですか」


「ありますよ」


「……それは——恥ずかしいことじゃないですか」


「恥ずかしくないですよ」


「……なぜですか」


先生が——静かに——言った。


「気持ちが——動けない時は——体を——休ませている時でも——あるんですよ」


デグーが——また——止まった。


「……体を——休ませている——ですか」


「そうですよ」


「……動けないことが——休むことですか」


「そうかもしれませんよ」


「……動けないことに——意味が——あるんですか」


「あると——思いますよ」


デグーが——少し——考えた。


「……動けない日が——あると——動ける日が——分かりますよね」


「そうですよ」


「……動けない日が——あるから——動ける日が——ありがたいですよね」


「そうかもしれませんよ」


「……動けない日も——必要なんですかね」


先生が——穏やかに——笑った。


「必要かもしれませんよ」


デグーが——また——丸まった。


「……もう少し——ここに——いていいですか」


「いていいですよ」


「……動けるように——なったら——出てきますか」


「出てきたくなったら——出てきてください」


「……出てきたく——なったら——ですか」


「そうですよ」


「……動けるように——なったら——じゃなくて——出てきたくなったら——ですか」


「そうですよ」


デグーが——少し——考えた。


「……違うんですね」


「違いますよ」


「……動けるように——なることと——出てきたくなることは——違うんですね」


「そうですよ」


「……出てきたく——なるまで——ここに——いていいんですね」


「いていいですよ」


デグーが——また——小さく——丸まった。


隙間の中で——静かに——いた。


動かなかった。


でも——さっきより——少しだけ——楽そうだった。


動けない自分が——恥ずかしくなかった。


動けない日も——必要なのかもしれない。


その感覚が——少しずつ——デグーの中に——広がっていった。

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