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動物たちの言葉がわかる獣医と動物たちの楽園  作者: 1010
第2章 「おはようございます」が言える当たり前な日々

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「誰かの名前を覚えたいヒヒ」 第1話(朝)「動物の楽園」

ビルの——


屋上への——


通路は——


細かった。


サクラギ先生の——診察室がある——ビルの——階段を——上がって——扉を——開けると——そこに——続いていた。


知らない人には——ただの——屋上通路だった。


でも——その先に——扉が——あった。


その扉を——開けると——世界が——変わった。


広かった。


空が——近かった。


太陽が——直接——当たった。


風が——柔らかかった。


ここが——動物の楽園だった。


ケガをした動物が——来る場所。


心のケアを——している動物が——来る場所。


サクラギ先生が——時々——顔を——出す場所。


今日も——いろんな動物が——いた。


隅の——日当たりのいい場所に——亀が——いた。


甲羅を——太陽に——当てながら——目を——閉じていた。


「今日も——いい天気ですね」


亀が——ゆっくりと——言った。


誰に——言ったわけでも——なかった。


でも——近くにいた——うさぎが——答えた。


「そうですね」


うさぎは——前足の——包帯を——気にしながら——言った。


先週——段差から——落ちて——ケガをした——うさぎだった。


「足は——どうですか」


亀が——聞いた。


「だいぶ——よくなりました」


「よかったですね」


「亀さんは——今日も——日向ぼっこですか」


「これが——一番の——薬ですよ」


うさぎが——クスッと——笑った。


少し離れた——場所に——老いた——犬が——いた。


芝生の上に——寝そべって——空を——見ていた。


目が——少し——曇っていた。


最近——視力が——落ちてきた——犬だった。


でも——耳は——よかった。


風の音を——聞きながら——静かに——息をしていた。


その近くに——小さな——鳥が——いた。


片翼を——怪我した——鳥だった。


飛べない間——ここで——過ごしていた。


「今日——飛べそうですか」


うさぎが——鳥に——聞いた。


「まだ——少し——痛いです」


「焦らなくて——いいですよ」


「分かってるんですけど——ね」


鳥が——翼を——少しだけ——動かした。


痛そうだった。


でも——諦めてはいなかった。


楽園の——真ん中には——古い——木が——あった。


その木の——根元に——タヌキが——丸まっていた。


人間が——怖くて——ここに——来た——タヌキだった。


人間のいない——この場所が——好きだった。


「タヌキさん——今日は——出てきたんですね」


亀が——言った。


「……少しだけ」


「それで——いいですよ」


「……うん」


タヌキが——また——小さく——なった。


でも——完全には——隠れなかった。


楽園は——静かだった。


でも——寂しくなかった。


それぞれが——それぞれの——ペースで——そこにいた。


その時——扉が——開いた。


大きな影が——入ってきた。


ヒヒだった。


体は——大きかった。


でも——目が——少し——疲れていた。


楽園に——入ってきた——瞬間——辺りを——見回した。


亀を——見た。


うさぎを——見た。


犬を——見た。


鳥を——見た。


タヌキを——見た。


そして——小さな——手帳を——取り出した。


何かを——書き始めた。


「……亀さん——うさぎさん——犬さん——鳥さん——タヌキさん」


小さく——呟きながら——書いていた。


亀が——ヒヒを——見た。


「こんにちは」


ヒヒが——顔を——上げた。


「あ——こんにちは——えっと——亀さん——ですよね」


「そうですよ」


「よかった——ちゃんと——覚えてました」


ヒヒが——ほっとした——顔をした。


うさぎが——ヒヒを——見た。


「ヒヒさん——また——手帳に——書いてるんですか」


「書かないと——忘れそうで」


「みんなの名前を——全部——書いてるんですか」


「全部——覚えたくて」


うさぎが——少し——心配そうな——顔をした。


「大丈夫ですか——なんか——疲れてそうで」


ヒヒが——少し——笑った。


「大丈夫ですよ——全部——覚えたいだけで」


でも——その目は——少し——疲れていた。

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