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動物たちの言葉がわかる獣医と動物たちの楽園  作者: 1010
第2章 「おはようございます」が言える当たり前な日々

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「離しちゃダメな子」 第2話(昼)「一緒にいると、全部わかる」

ブロが——


いた。


それだけで——


よかった。


ブロが——隣に——いると——何でも——大丈夫だった。


ブロが——いないと——全部——不安だった。


生まれた時から——一緒だった。


最初の記憶から——ブロが——いた。


寒い時——くっついて——温まった。


怖い時——くっついて——安心した。


嬉しい時——一緒に——走り回った。


全部——一緒だった。


だから——ブロがいない時間が——分からなかった。


ブロがいない自分が——分からなかった。


今日——少しだけ——離れた。


ほんの——少しだけだった。


でも——怖かった。


体が——震えた。


お腹が——痛くなった。


食欲が——なくなった。


それが——三日前からだった。


ブロと——離れる時間が——少しずつ——増えていたから。


昼過ぎ——


二匹は——診察台の上に——くっついていた。


先生が——来た。


「どうですか——二匹とも」


ドリが——先に——言った。


「……ブロがいると——大丈夫です」


「大丈夫——ですか」


「……ブロがいると——全部——分かります」


「全部——分かる——ですか」


「……ブロがいると——怖くない」


「……ブロがいると——寒くない」


「……ブロがいると——何でも——大丈夫です」


ブロが——続けた。


「……私も——同じです」


「同じですか」


「……ドリがいると——全部——大丈夫です」


「二匹とも——同じですね」


「……同じです」


先生が——静かに——聞いた。


「一人でいる時間は——ありますか」


二匹が——顔を——見合わせた。


「……ないです」


「ずっと——一緒ですか」


「……ずっと——一緒です」


「一人でいると——どうなりますか」


ドリが——少し——俯いた。


「……怖いです」


「怖い——ですか」


「……体が——震えます」


「お腹が——痛くなります」


「……食欲が——なくなります」


先生が——穏やかに——聞いた。


「一人でいることが——怖いのは——なぜですか」


ドリが——少し——考えた。


「……一人の——自分が——分からないから——だと——思います」


「一人の——自分が——分からない——ですか」


「……ブロと——一緒の——自分しか——知らないから」


「一人の——自分が——どんなものか——分からなくて」


「だから——怖いんですよね」


ブロが——ドリに——くっついた。


「……私も——そうです」


「二匹とも——同じですね」


「……同じです」


「ずっと——一緒だったから」


「……ずっと——一緒だったから——分からないんですよ」


先生が——静かに——言った。


「一人でいることを——少しずつ——練習してみませんか」


二匹が——また——顔を——見合わせた。


「……練習——ですか」


「そうです」


「……一人でいる——練習ですか」


「そうですよ」


「……怖いです」


「怖くていいですよ」


「……少しだけ——ですか」


「少しだけで——いいですよ」


ドリが——ブロを——見た。


ブロが——ドリを——見た。


「……一緒に——練習しますか」


「……一緒に——練習しましょう」


「一緒に——一人の練習を——するんですね」


先生が——穏やかに——笑った。


「そうですよ」


ミナが——遠くから——二匹を——見ていた。


言葉は——聞こえなかった。


でも——二匹が——顔を——見合わせて——何かを——決めた顔が——見えた。


「先生——二匹——何か——決めましたか」


「一緒に——一人の練習を——することに——したそうです」


ミナが——少し——笑った。


「一緒に——一人の練習——ですか」


「そうです」


「なんか——かわいいですね」


「そうですね」


「一人じゃないから——一人の練習が——できるんですね」


先生が——穏やかに——頷いた。


「そうかもしれませんね」


ミナが——また——二匹を——見た。


くっついたまま——でも——少しだけ——離れようとしていた。


少しだけ——離れて——また——くっついた。


また——少しだけ——離れて——また——くっついた。


それが——練習だった。

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