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動物たちの言葉がわかる獣医と動物たちの楽園  作者: 1010
第2章 「おはようございます」が言える当たり前な日々

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「離しちゃダメな子」 第1話(朝)「妹も、呼んでくるわね」

「おはようございます!」


ミナの声が——診察室に——響いた。


「おはよう」


サクラギ先生は——コーヒーを——置きながら——穏やかに——返した。


今日の——最初の患者は——少し——賑やかだった。


扉が——開いた瞬間——明るい声が——聞こえた。


「すみません——この子を——診てもらいたくて」


若い——女性が——キャリーケースを——持って——入ってきた。


中から——大きくて——ふわふわした——猫が——出てきた。


サイベリアンと——マンチカンの——ミックスだった。


足が——短くて——でも——毛が——長くて——ふわふわだった。


「かわいいですね」


ミナが——思わず——言った。


「でしょう——ドリっていうんです」


「ドリちゃん——ですか」


「そうです——1歳で」


ドリちゃんは——診察台の上に——乗った。


でも——すぐに——きょろきょろし始めた。


「先生——この子——最近——食欲が——なくて」


「いつからですか」


「三日前から——なんですけど」


「他に——気になることは——ありますか」


飼い主が——少し——考えてから——言った。


「あの——実は——この子には——妹がいるんですよ」


「妹——ですか」


「そうなんです——ブロっていう子で」


「同じく——1歳で」


「その子と——数分でも——離れると——体調を——崩しちゃうんですよ」


先生が——静かに——聞いた。


「数分でも——ですか」


「そうなんです——今日も——一緒に——連れてくれば——よかったんですけど」


「ちょっと——妹の方も——呼んでくるわね」


飼い主が——バッグを——持って——出ていった。


診察室に——ドリちゃんだけが——残った。


ドリちゃんが——きょろきょろした。


「……ブロ?」


小さな声だった。


「……ブロ——どこ?」


先生が——ドリちゃんに——近づいた。


「こんにちは」


ドリちゃんが——先生を——見た。


「……ブロは——どこですか」


「もうすぐ——来ますよ」


「……本当ですか」


「本当ですよ」


「……早く——来てほしいです」


「そうですか」


「……離れていると——不安で」


「不安——ですか」


「……ブロがいないと——不安で」


「どんな時から——そうなりましたか」


ドリちゃんが——少し——考えた。


「……生まれた時から——一緒だったから」


「ずっと——一緒だったんですね」


「……一緒じゃない時間が——分からないんです」


ミナが——先生に——小声で——聞いた。


「何て——言ってるんですか」


「ブロちゃんがいないと——不安だと——言っています」


「生まれた時から——ずっと——一緒だったそうです」


ミナが——ドリちゃんを——見た。


きょろきょろしながら——扉を——見ていた。


「先生——一人でいるのが——怖いんですね」


「そうですよ」


「ずっと——一緒だったから——一人が——分からないんですね」


「そうかもしれませんね」


その時——扉が——開いた。


飼い主が——戻ってきた。


もう一つの——キャリーケースを——持っていた。


「連れてきましたよ——ブロちゃん」


中から——ドリちゃんと——そっくりな——猫が——出てきた。


でも——少しだけ——小さかった。


ブロちゃんだった。


ドリちゃんが——飛びついた。


「ブロ——!!」


「ドリ——!!」


二匹が——くっついた。


離れなかった。


ミナが——思わず——笑った。


「仲いいですね」


「そうなんですよ——ずっとこんな感じで」


「かわいいですね」


「かわいいんですけど——離せなくて——困ることも——あって」


先生が——二匹を——診ながら——穏やかに——言った。


「二匹一緒に——診ましょうか」


「ありがとうございます」


二匹が——くっついたまま——診察台の上に——いた。


離れなかった。


離れる気が——全くなかった。


ミナが——二匹を——見ながら——思った。


ずっと——一緒。


一人が——分からない。


自分は——一人っ子だった。


全然——違う世界だと——思った。

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