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動物たちの言葉がわかる獣医と動物たちの楽園  作者: 1010
第2章 「おはようございます」が言える当たり前な日々

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「常に飛ばなくても、そのままでいいバタフライ」第1話(朝)「飛ばないでいいですか」

「おはようございます!」


ミナの声が——診察室に——響いた。


「おはよう」


サクラギ先生は——カーテンを——開けながら——穏やかに——返した。


朝の光が——診察室に——差し込んだ。


その光の中に——何かが——いた。


窓枠に——止まっていた。


オレンジと——黒の——模様の——蝶だった。


翅を——閉じたまま——じっとしていた。


「あ——蝶だ」


ミナが——窓に——近づいた。


「逃げないですね」


「以前にも——来てくれた子ですよ」


先生が——穏やかに——言った。


「知ってる子ですか」


「ええ」


先生が——窓枠に——近づいた。


「また——来てくれましたね」


バタフライが——翅を——少しだけ——動かした。


「……来ても——いいですか」


「もちろんです」


「……今日は——ちょっと——飛ばないで——いいですか」


先生が——静かに——頷いた。


「いいですよ」


「……ここで——止まっていても——いいですか」


「いいです」


バタフライが——また——翅を——閉じた。


ミナが——先生に——小声で——聞いた。


「何て——言ってるんですか」


「飛ばないでいいかと——聞いています」


「飛ばないで——いいか——ですか」


「ええ」


ミナが——バタフライを——じっと——見た。


翅を——閉じたまま——窓枠に——止まっている。


「飛ばない蝶って——どんな感じなんでしょう」


ミナが——思わず——呟いた。


先生が——バタフライに——聞いた。


「飛ぶのは——好きですか」


バタフライが——少し——間を置いてから——言った。


「……好きです」


「でも——」


「……でも——飛んでいると——飛んでいなければいけない気が——してきます」


「飛んでいなければいけない——ですか」


「……蝶だから——飛んでいるのが——当たり前って——思われてる気がして」


「飛んでいないと——蝶じゃないみたいで」


先生が——穏やかに——言った。


「飛ばない時間も——あっていいですよ」


「……そうですか」


「飛ぶことだけが——あなたじゃないですよ」


バタフライが——また——翅を——少しだけ——動かした。


「……飛ぶことだけが——私じゃない——か」


ミナが——バタフライを——見ながら——先生に——聞いた。


「この子——前に——来た時も——同じことを——言ってましたか」


「前は——羽を——休めたいと——言っていました」


「今日は?」


「飛ばないでいいかと——言っています」


「似てるようで——違いますね」


「そうですね」


ミナが——少し——考えてから——言った。


「前は——疲れて——休みたかった」


「今日は——飛ばなくていいか——確認したかった——感じですかね」


先生が——静かに——頷いた。


「そうかもしれません」


「成長してますね」


「そうかもしれませんね」


バタフライが——窓枠で——じっとしていた。


外は——風が——吹いていた。


飛べる風だった。


でも——バタフライは——動かなかった。


ミナが——窓を——少しだけ——開けた。


風が——入ってきた。


バタフライの——翅が——少しだけ——揺れた。


でも——飛ばなかった。


「飛ばなくても——ここにいていいですよ」


ミナが——バタフライに——向けて——小さく——言った。


言葉は——聞こえない。


でも——なんとなく——そう言いたかった。


バタフライが——翅を——また——閉じた。


ミナには——それが——ありがとうに——見えた。

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