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小鳥遊リョウ 二十二歳②

「リョウ、リョウ。聞いてる?」

「聞いてるよ、なに?」

 俺は暫し意識を中断してたらしい。腕の中で裸で丸まる彼女の笹木純は、膨れっ面だ。

「やっぱり、聞いてないじゃん」

「ごめん。ちょっと、疲れてて」

 社会人になって働き出した俺と、まだ大学二年生の彼女。

 学生同士だった頃のようには、なかなか時間が取れず、今日は二週間ぶりに純の部屋に遊びに来た。

「お腹空かない?疲れてるなら、なんか作ろうか?」

 純といると、ホッとする。俺みたいな人間でも満たされて良いんだ、と錯覚する。

 ベッドを降りようとする純のか細い腕を掴んで、抱き寄せる。

「なに、なに、どした?」

 戸惑いながらも嬉しそうな純に、甘いキスをする。

「なんでもない」

「なんでもないってキスじゃなかったな」

 純はくすくす笑って、今度こそベッドを出て下着を身につける。

「パスタでいい?」

「うん、ありがとう」

 俺は腕組みして、またぼうっとする。ぼうっとするとつい、昼間の悠のドレス姿が浮かぶ。

 何着も試着してたけど、俺にはどれも同じに見えた。

 悠の輝きを助長するだけの装置みたいだった。


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