救いのペン
第一志望校の入試の時、私は緊張のし過ぎでペンを忘れて…。
それに気付いたのは試験の直前で、私にはもうどうする事も出来なくて、ただオロオロする事しか出来なかった。
どうしようって思う前に近くの席の子とかに声かければ良かったんだけど、そこまで頭が回らなかったんだ。
…もう駄目だって頭が真っ白になった時、私の机の上に1本のペンが転がったの。
丁度その時に試験が始まって転がってきた隣を見る事が出来なかったけど、何とかそのペンのお陰で試験を乗り切れた。
あのままだったら、きっと私は試験を受けられず、一生後悔する事になったかもしれない。
隣の席のペンを貸してくれた子は無表情の男の子だった。
試験が終わって帰り支度をする彼に、お礼を言って借りていたペンを返そうとしたら、
「いらない。
他人が触った物に触れたくない。
必要ないなら捨てろ」
凄く冷たい声だったの、今でも覚えてる。
彼はそのまま教室を出てしまって、私の手元に彼のペンが残った。
無事に第一志望の高校に合格した私は、入学してからずっと彼を探してた。
でも、見付からなかった。
彼はその高校には入学してなかったの。
自分で行くと決めた学校だったけど、彼にペンを返せなかった事がずっと心に残ってた。
大学に入ってすぐ、知り合いに手伝ってもらって彼を探した。
そしたら、お祖父ちゃんの店でバイトしてるって言うんだもん。
びっくりしたよ。
お祖父ちゃんに事情を話してあの公園で再会出来た。
…君と、再会出来た。




