世界の向こうの、その向こう
ゼロ「ここだ。」風が吹き、砂埃が立つ。磁気が揺れている。マイク「...何もねえぞ?」ゼロ「...そう言う君の方が、荷物多すぎじゃない?」マイク「まあな!備えあれば憂いなしって言うだろ?」ゼロ「その歯ブラシは?」マイク「...まあ、なんか泊まるかも知らないだろ?」ゼロ「その基盤は?」マイク「...わからん。...でもとりあえず持ってきた。」ジン「...妙な場所だ。」ゼロ「ここは...居住衛星だ。」マイク「それくらい俺でも知っているぞ?」ゼロ「だから、どこかには端があるはずだ。それなのに、上下左右、どこまで行っても元に戻ってくる。それはなんでだと思う?」マイク「...んん?どういうことだ?」ゼロ「歩き続けていても同じ景色が繰り返される。GPSも狂っている。つまり、この世界は無限ではない。どこかで転送されている。」ジン「...それがここというわけか。」マイク「なるほどな!全くわかんねえ!それでどうすればいいんだ?」ゼロ「これも結局は装置。限界があるはずだ。だから大量に転送させたら...」ジン「いつか限界を迎え、通れるようになる。」マイク「石とか投げるか?」ゼロ「そんなのじゃ全く足りない。そのためにこれを持ってきたんだ。」マイク「あー、あの馬鹿でかい機械か。というかあんなやつどこから持ってきたんだ?」ゼロ「事前に作ってたんだけど、電力が足りなかったんだ。でも、今なら大丈夫。発電機があるし、スキッドフレームからも引っ張ってこれる。」マイクが発信器についている牽引ケーブルをスキッドフレームから外す。そしてスキッドフレームを退避させる。無数の冷却ファンや階段、はしご。それらは自分が単なる送信器ではないことを語りかけていた。僕も、拠点から持ってきたジェネレーターを設置する。僕のスキッドフレームのメンテナンスハッチを開く。中には太いケーブルが並んでいる。ゼロ「コンセントじゃ足りない。」そこに両手で抱えるほどの大きさの絶縁ケーブルを刺す。そして電力盤に接続する。もう一本のケーブルを取り出すと、それを持ったまま発信器の階段を登っていく。カン...カン...カン...階段が音を立てる。半分ほど登ったところで、横にあるポートに差し込む。ガチャンッ!右にあるロックレバーを倒す。カチカチカチ...体重を乗せレバーを手前に引っ張っていくと、ガチャンという音と共にケーブルが完全に固定された。階段を駆け降りていく。そしてジェネレーターの元へと走っていき、エンジンを起動する。「ガッ...ゴゴゴゴゴ...!」息を吹き返したかのようにジェネレーターが黒煙を吐き始める。配電盤のランプが順番に点き始める。液晶画面を覗き込み、出力を確認する。200kW。ジェネレーターにしては破格だが、まだ足りない。ゼロ「マイク!ジン!スキッドフレームのエンジンをつけて!」彼らがそれに近づき、スロットルを上げる。キュイーンという高周波の音が響き、出力が上がっていく。1MW...十分だ。ゼロ「よし、もう十分だな。ちょっと休憩しよう。」汗を袖で拭き、そこらに腰掛ける。数十分ほど経ったかな。電力がキャパシタにチャージされていく。現在100.5MWだ。それを確認したあと、もう一度階段を登っていく。今度は一番上まで。足場を伝い、操作盤の前に立つ。そこにはたくさんのボタンや少し時代遅れなブラウン管が置いてある。配電盤にコネクタを差し込む。HUDのデバイス一覧にこのモンスターが追加される。ゼロ「おーい!聞こえるかー!」マイク「どうしたー!」ゼロ「配電盤見えるかー!というかジンに代わってくれー!」ジン「...解放だな?」ゼロ「なんてー?」マイク「解放でいいかだってよー!」ゼロ「そうだよー!」そういうと、ジンの手が配電盤に伸びる。ボタンを押すと、キャパシタの電力が一気に流れる。内部でとてつもないアークが発生し、それとともに機械が振動と轟音を出し始める。マイク「うわ!びっくりした!」ファンが回転し、周りの空気を巻き込む。HUDを操作し、波形を入力する。単なる正弦波ではなく、複雑に組み合わせた波で、転送装置に大きな負荷をかける。ゼロ「いくよ!」結局最後は物理ボタンだ。そこに惹かれる。手を高くまで上げ、思い切りボタンを叩く。重低音と共に、より激しく機械が唸りはじめた。HUDに徐々にノイズが走っていく。ゼロ「あっ」急いで手すりを掴む。危ない。落ちるところだった。マイク「どうだー?上手くいってるかー?」あと少しだ...来た。空間に徐々にノイズが入り始める。向こうの景色がうっすらと見える。あれは...




