存在しない人間
目的地に着いた三人は、逃げるように素早く降りた。貨物が移動したのを確認した後、やっと口を開いた。ゼロ「よし。いったね。それじゃあ作戦を立てよう。あのダクトからカメラの画角に入らずにアクセスできる。問題は通気口が直角に登ってて、上に行くのが大変なことだね。」マイクがボルトを掴んで外し、通気口を持ち上げて開ける。マイク「行け行け」ゼロ、ジン。最後にマイクが入り通気口を閉じる。通気口の中は赤茶色の粉や潤滑油で汚れていた。しかし通気口の中は予想とは違っていた。ゼロ「あれ、梯子?」マイク「おいおい、しっかりしてくれよ。」ゼロ「手形とかがついてない。この梯子は使われたことがないのか。」ジン「使わないのにつけるのか?」マイク「どういうことなんだろうな」ゼロ「...!ちょっと待って。罠かもしれない。」マイク「なんでだよ」ゼロ「この梯子、不自然に綺麗だ。図面にもない。最近つけられたのかもしれない。」ジン「どうするんだ?」ゼロ「多分罠はカメラの類だ。映像回線を通すとしたらこの辺かな。」手で壁を何箇所か叩く。ゼロ「うん。ここだ。」シンガーボルトを壁に押し当て、貫通させる。完璧にカメラ回線を貫き、接続する。ゼロ「よし。刺さった。あとはハックして、カメラをここでループさせる。行こう。」ゼロはことが順調に進み過ぎていることに違和感を抱いたが、それを杞憂として切り捨てた。三人の背後でシンガーボルトが赤く点滅していた。マイク「すげえ、ほんとにカメラがあったぞ。大丈夫そうだ。」ゼロがそれを聞いて安心して上がってくる。通気口をもう少し進み、アクセスポイントの前までたどり着く。床はかなり汚れ、年季を感じさせる。ハッチの下側のハンドルを持ち、上に引き上げる。するとたくさんの色とりどりの配線や、機械が見える。慎重にトラップが接続されていないかなどを見極めたあと、配線を留めるネジを少し緩め、そこにデバイスを接続する。ゼロ「よーし。何が来るかな...?うーん、まあ流石にソフト更新してないなんてことないか。じゃあここをこうして...手強いな...よし。物流サービスからライフトークンのサーバーに入れた。」HUDにずらりと氏名と残高、住所などの登録情報が表示される。ゼロ「新しい名前はなにがいい?」ジン「前の名前でいいだろう。同姓同名はたくさんいる。名前では追跡されない。」マイク「じゃあ俺はマイケル・"モヒカン"・アンダーソンで」ゼロ「ははは、ミドルネームモヒカン?それは流石にバレるでしょー。まあいいか。全員前と同じ名前で作るよ。...よし。作れた。ウォレット貸して。」マイク「ほらよ」マイクがウォレットをポケットから取り出すと、少し眺めてから投げる。ゼロはキャッチして、ウォレットに接続する。ゼロ「軍用規格か...ちょっと面倒だな」ゼロがキーボードを叩くと、画面にノイズが入り、すぐに情報が書き換わった。ゼロとジンのウォレットも書き代わり、三人はほんの数日のうちに三人は存在しない人間になり、同時に無から誕生した人間になった。




