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オフライン・リベリオン  作者: せいちゃん
オフライン・ゾーン

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新たな星

ジン「何があった」マイクは通信機の前で立ち止まると、音量を上げる。設定を調整すると、ホワイトノイズの中に人の声のようなものが聞こえてくる。通信機「...?聞こ...る...」ゼロ「...!まさか!」通信機「おーい!聞こえ...ー?」ジン「リリア...!」リリア「ふ...ふ、ジン、すごい変な声。ビガビガ。ゼロはー?」ゼロ「ここにいるよ。どうやって通信してきたの?」リリア「んーとね、...んかピコピコのね、すくらっぷ集めでね、いろってきた」ゼロ「ピコピコ...作業回線なら中からここまで電波が来てもおかしくないか。作業者が紛失した備品かな。」少しずつ通信のノイズが増えていく。ゼロ「あ!リリア!もう時間だ!次話せるのは...一ヶ月と三日後の18時!わかる?」リリア「え?な...?もっか...って?」さらにホワイトノイズが強まる。ゼロ「33日後の18時!33日後の18時だよ!」リリア「わ...った!.........い!」マイク「またな!」完全にノイズしか聞こえなくなった。ジン「また話せるとは思っていなかった。」マイク「そうだな!」居住衛星同士は本来完全に切断されてる。だからこそ、リリアの存在は重要だ。マイク「なあ、こっちで"あれ"入れようぜ」ゼロ「ん?あー、はいはい。」マイクはおもむろにポケットに手を突っ込むと、赤の包装の円柱を取り出した。マイク「赤味噌だ!」そんなたわいもない話を繰り返す。宇宙では恒星は登らない。ただその周りを速く回るだけだ。宇宙では、どれだけ速くても遠くの星が動いたことには気づけない。何ヶ月もの歳月が過ぎ、いつも通りマイクに指示をし航路を調整する。マイク「おい、一体後何日これをすればいいんだよ。向こうならまだ耐えられたけど、ここは狭過ぎてもう限界だ。」果てしなく続く宇宙に、これまた無限とも思える光が散りばめられている。青い光、赤い光、明るかったり、大きかったり。その星の中の一つ、目の前の星が、周りとは比べ物にならないほど、大きく見える。まるで救いの光のように、数ヶ月にもわたる長い旅の終わりを示していた。ゼロ「...!見えた。あれが...俺たちの目的地だ。」マイク「...!やっと...このクソみたいな船から出られるのか!...あのちっこいやつか?あんなのに人なんて入れないだろ。」ジン「遠いからだ」ゼロ「どれくらいでかいんだろうね。」星の中でそれだけが輪郭を現す。さらに数日が経つ。遥か前に周りの小さな星の一つであった点が、今や目の前、わずか数十メートルにいる。ゼロ「ドッキング準備。マイク、頼んだよ。残り10m。20cm左。ヨー1.3修正。」マイク「くそ、俺はコンピュータじゃねえぞ。俺ならできるけどな!」ゼロ「残り3m。ピッチ-3。速度を落として。」ゼロ「角度0.0。上に2cm、右3mm。いいよ。そこだ。そのまま進んで。」マイクの手が震えて、額から汗が垂れる。ゼロ「3...2...1...ドッキング。」船が大きく揺れ、壁にもたれていたジンの足がもつれ、照明が点滅する。マイク「ふう。疲れたぜ。今の一瞬で2年くらい経ったんじゃないか?」ジン「...こんなのできたのか?いつものお前とは思えないな。」マイク「どんなもんよ!そんなのより、早く行こうぜ!ワクワクが止まんねえよ!」ゼロ「ちょっと待っててね。先にポート開けておくよ!」マイク「おう!」賑やかな話し声を背に、ポートへと歩いていく。ここだけは重厚な鋼鉄と幾つものリベットで固定されている。金属が黒く均一な酸化鉄で覆われ、周りの壁とは違う雰囲気を放っていた。ドアの左についた計器群の中の、ほぼ0Paを指す気圧計が目に入る。ゼロ「うーん...たぶん加圧器は向こうにあるよな...そうだ。真空弁開けて加圧しよう。まあ...大丈夫だろ。」扉の上のカバーを取り外し、チェックバルブを確認する。ゼロ「流石に...大気圧かかってるから開けるのは厳しいか。」マイク「どうだ?ゼロ?」ゼロ「ああ、ちょっとここ思いっきり押してみてくれない?」マイク「おっけ。」勢いで言ったけど、流石に人力では厳しいか。マイクが両手を弁に当てると、マメで固くなった手がコツという音を立てる。マイク「Yeahhhh...!!!」ジン「5tはかかってるぞ。流石に無茶だ。」金属が軋み、シールと弁が少しずつ引き剥がされていく。ゼロ「えぇ...」シューと言う音と共に空気が少しずつ吸い込まれていく。マイク「くそっ、まだ押すのか...?」ゼロ「が、頑張れマイク!後ちょっとだ!空気入っていってるよ。」計器の圧力が少しずつ1気圧に近づいていく。マイク「ちょっと軽くなってきた気がするぜ...」マイクのモヒカンが、強い風に少しなびく。計器が完全に1気圧を示した時、弁がガコンと一気に開く。マイク「うわっ!」ゼロ「すごい...本当に手で弁を開いた。」マイク「やらせておいて引くのは違うだろ。」ジン「...開くぞ。」バルブを少しずつ開き、その隙間から赤錆が落ちる。ゼロ「この先に新しい衛星が。図面では知ってるけど、どんなところなんだろう。」マイク「そんなんいいから、目で見るっきゃねえだろ!」マイクがドアを掴み、勢いよく開けると...その先には...扉があった。マイク「おいなんだよ、この先にすぐあるのかと思ったぜ。気が抜けちまうぜ」ドアを開けるために添えた手が、少し温まる。ドアを開けると...空間が広がっていた。暗い。しかし完全な暗闇ではない。等間隔に並んだ蛍光灯が、辺りを薄く青白く照らしている。その光はどこか古く、ところどころが明滅していた。しかしそれはここが完全には捨てられていないことを物語っていた。ゼロ「ここは本来非常用だからね。人通りが少ないけど着陸はできるところを選んだんだ。誰かにバレないうちに急ごう。」そして何より、広い。これまでいた船の内部よりも、はるかに広い。マイク「やっとだ!やっと解放される!」走り通路の端まで移動する。そこの扉を開ける。マイク「...うお」マイクが足を止める。ジン「...」ジンも言葉を失っていた。街の上の通路に出た。外周に大量の同じ形を繰り返した住居が。その中にさらに同じ形が繰り返され、複雑に組み合わさっていた。それはまるで巨大なフラクタルのようだった。その隙間から強い赤い光が見える。その姿に、ある言葉が浮かぶ。ゼロ「...斜陽。」それを見たことはない。しかし、それ以外の言葉は見つからなかった。その太陽の前に、照明は必要なかった。その強い光は、鉄に覆われた都市全体を明るく照らしていた。マイク「でけぇ...」ゼロ「これが...フォージ23。」何度も頭の中で図面を思い出す。中央精錬区。輸送区。工業区。発電区。知識としては知っている。しかし、この肌を焦がす熱。目の奥を焼く光は、それとはまるで違った。図面には熱までは描かれていない。風も。匂いも。音も。そしてーー人の気配も。遠くから、何かを運ぶ機械の音が聞こえる。鉄と鉄がぶつかる音。蒸気の抜ける音。誰かの話し声。ここには、確かに人がいる。マイク「すげぇな。」マイクが、赤く染まった街を見つめる。ジン「ああ。」ジンが短く答える。ゼロは何も言わず街を見つめていた。巨大な構造物。複雑に入り組んだ住居。無数の照明。その全てを照らす恒星。ここは、今まで住んでいたところとは違う。同じ宇宙にある。同じ人間が住んでいる。それなのに。まるで別の世界だった。ゼロ「早く行こう。...人より高いところはもう十分だ。」マイク「おう!」3人は眼下に広がる都市に向かって歩き始める。その背後で、誰もいない非常ポートの照明が一つ、また一つと消えていった。

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