特別じゃない日常
翌日の放課後、教室はいつも通りの静けさを取り戻していた。
つかさは机に向かい、今日の授業のノートを整理している。
昨日の夕方、れんに気持ちを伝え合ったことを思い出すたび、心がぽかぽかと温かくなる。
「桐谷、今日も残ってたのか」
背後かられんの声がして振り返ると、彼が軽く笑いながら近づいてきた。
「うん、少し宿題を片付けてたの」
「そうか……じゃあ、一緒にやろうか」
二人は自然に机を並べて座る。
昨日の出来事で、互いに心が安心しているためか、ぎこちなさは全くなく、どこか落ち着いた空気が流れる。
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宿題を進めるうち、二人の間に軽い笑いが生まれる。
つかさが鉛筆を落とすと、れんがさっと拾って手渡す。
「ありがとう、れん」
「どういたしまして」
その瞬間、肩が軽く触れ合う。
お互いに意識していないわけではないが、自然な流れで、違和感はまったくない。
「なんだか、こうやって一緒にいると、時間があっという間だね」
つかさが笑うと、れんも微笑んで頷く。
「ああ、桐谷といると落ち着く」
⸻
途中、クラスのモブの女子たちが教室を通りかかる。
「二人、仲いいね〜」
つかさは顔を赤らめて小さく笑い、れんは少し照れたように肩をすくめる。
それでも、二人の間には他の人の視線を気にせず、自然な距離感が生まれていることを互いに感じていた。
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宿題を終え、二人は教室を出る。
廊下の窓から差し込む夕陽が、二人の影を長く伸ばしていた。
「ねえ、れん……このまま帰ろうか」
つかさが小さくつぶやくと、れんは軽く頷く。
「うん、一緒に帰ろう」
帰り道、二人は肩を並べて歩き、時折軽く笑い合う。
昨日の告白で心の距離は一気に縮まり、誤解や不安はもう存在しない。
「明日も、また一緒にいられるね」
「ああ、ずっと一緒だ」
落ち着いた日常の中で、二人は互いの存在を確かめ、安心と幸福感に包まれていた。
文化祭の熱気から始まった関係は、日常の中で確かな絆に変わり、二人の未来をそっと照らしている。




