表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたの為に、ビジュを良くしてる訳じゃない  作者: 櫻木サヱ
確かめ合う心

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/32

誤解の向こう側

放課後、校舎の廊下は少し静かで、夕陽の光が窓から差し込んでいた。

つかさは教室で、今日の授業のノートをまとめていた。

しかし、気持ちは落ち着かず、何度も時計に目をやる。


「……れん、まだ来ないな」

つぶやきながら、つかさは窓の外を見やる。

約束の時間を少し過ぎていたが、心配よりも不安が少しだけ胸に膨らむ。


その時、教室の扉が開き、れんが走り込んできた。

「ごめん、遅れた!」

「ううん、大丈夫……」

つかさは少しほっとして笑うが、れんの顔を見ると汗をかいていて、息が上がっている。


「どうしたの?」

「ちょっと部活の後片付けで……」

れんは苦笑いしながら、つかさの机の横に座った。

「じゃあ、宿題やろうか」

「うん」



二人でノートを広げて勉強を始めるが、途中で小さなトラブルが起こる。

隣の席のモブ男子が、れんの注意を引こうと話しかけてきたのだ。


「おい、これも教えてくれよ」


つかさは一瞬、胸がざわつく。

(また他の人と……?)

れんはすぐに応対するが、つかさの心には小さな不安が残る。

その感情を隠そうとするあまり、つかさは少し冷たく返してしまう。


「わかった、じゃあ自分でやるから」

つかさの言葉に、れんは少し戸惑った表情を見せる。

「桐谷……?」

「大丈夫、気にしないで」


だが、れんの目には少し寂しさが映っていた。

互いに大事に思っているのに、すれ違いが生まれる瞬間だった。



宿題が終わり、二人は教室を出て帰ろうとする。

歩きながら、つかさは勇気を出して話しかける。


「れん、ごめん……さっき、少し意地悪だったかも」

れんは少し笑いながら、肩をすくめる。

「いや、俺も少し誤解してた。桐谷の気持ちを考えずに怒ってしまった」


互いに誤解を解き、素直な気持ちを伝え合うことで、胸のざわつきは次第に温かさに変わる。


「……やっぱり、私たちって、少しじれったいね」

つかさがつぶやくと、れんも笑う。

「でも、その分、互いの気持ちは確かにわかるんだな」


手をつなぐわけではない。

肩を寄せるわけでもない。

それでも、互いの存在を感じるだけで、心は穏やかに満たされる。



帰り道、二人は歩きながら自然に話し続ける。

小さな誤解や不安があったとしても、それを乗り越えた後の安心感は何にも代えがたい。

「これからも、こうやって一緒にいられるといいな」

つかさが小さくつぶやくと、れんは笑顔で頷く。

「ああ、絶対だ」


夕陽が長く影を伸ばす中、二人の距離は少しずつ確実に近づいていった。

小さなすれ違いも、互いを思う気持ちがある限り、二人をさらに強く結びつけるものになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ