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それでも異世界は輪廻っている  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一部 ゲームから出られなくなった俺を助けてくれたのは、キモデブ悪役令息と犬耳幼女メイドだけでした

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第108話 魔王との戦い4


 俺が死ぬってどういうこと?


(それって元の世界に戻れなかったら、向こうの俺の体が死ぬってこと?)


(それもあるけど……あまり長くこっちに居たらリアン、ううん亮平の魂よりリアン君の魂の方が強いから淘汰されて消えてしまうってこと。もう時間がないのよ)


 元々この体はリアン君のもので、彼が今大人しく俺を受け入れてくれているのはエリーちゃんの説得によるものだ。彼の意識が表に出れば出るほど、俺は消えやすくなる。実際俺の意志というより、リアン君の意志や感情で動くこともあった。緊急事態の戦闘なんかは、彼の能力に頼っている。


 そして今回倒せなかったら、ゲームのリセットまたは次のプレイヤーがプレイするまで待つことになる。今のカイルは4回もリセットして次にリセットできない。彼の魂がリセットのペナルティで消滅するからだ。そして次のプレイヤーも黒幕であるプラムを押さえているので新規で現れることはない。

 つまり今回絶対成功させないといけないのだ。


 どうしよう、俺はまだ死にたくない。でもエリカにそんな負担をかけていいんだろうか?


 たかが膝枕くらいと思うかもしれないけど、嫌な奴に触られるってものすごく辛いんだよ。俺もあの似非男色家のテンペストに触られて、ものすごく嫌だった。

 しかも彼女は精霊。ほぼ魂のみの存在で、今エリーちゃんの力で顕現しているだけだ。それを直接触らせるってことは俺が手を握られて思ったこと以上の嫌悪感があるんじゃないだろうか? さっきのカイルのセクハラも速攻叩き落としていたし。もし俺が助かるために一生の傷になったら……。


 ダメだ、させられない。きっと他に方法はあるはずだ。



(俺……エリカにそんなことして欲しくない。弟分として姉貴分にそういうことをさせる気はない。何か他に方法はないのか?

 そうだ! この戦いをこのまま撤退しよう。そしてもう1度カイルと共にここに来ればいいんだ。コイツが倒せなくても、次までに俺が聖剣を手に入れて必ず倒すから!)


 俺が心話でそう答えると、モカがしかめっ面をして探るように聞いてきた。


(リアン……それ、ファイナルアンサー?)


 えっ? 今こっちものすごく真剣なんだけど……。モカってちょっとデリカシーない? 

 いや、逆に俺を気遣ってわざと茶化しているのか?

 それともどうしてもムリってこと?

 でもエリーちゃんは俺を必ず元の世界に戻すって言ってくれたし、それを信じよう! 


(ファ、ファイナルアンサー)



 するとモカはしかめた顔を崩さず、ジッと黙っている。俺はその沈黙に心がざわついたが待つしかない。


(正解!)


 はぁ?


(いやぁ、一回やってみたかったんだよね、ミリオネアごっこ。ちなみにカイルの聖剣をリアンに譲渡することは出来ないんだ。だってリアン、勇者じゃないもん。それが出来るんだったら、最初からリアンにあの聖剣を取得させるよ。あれ、元々伯父さまのストレージの中にあったんだし)


(おい! こっちは真剣だったんだぞ)


 だいたい、今魔王討伐中なんだけど!


(まぁまぁ怒んないでよ。四人の精霊女王がさ、コロコロと態度を変える人間のことを信頼していいのか悩んでいたから、試して欲しいって頼まれちゃったんだよね~)


 そんな、受け入れてくれたんじゃなかったのか?


(うーん、エリーのことは信じられるし、リアンが初回の魂だから穢れが少ないってこともわかっているんだけど、さんざんいろいろやられてきてるし。この何度も同じ時をぐるぐる回るゲームのシステムのせいで、彼女たちにはその記憶があるからすごく苦痛なの。だからとっても疲弊しているのよ)


(それで、どうしたらいいのさ)


(まず言っとくけどエリカは本当にあなたのことを思って言ってくれたんだからね。精霊女王の話を聞いたのはエリーと伯父さまとあたしだけなの。そこんところは信じてよ。それでね、正解だしたらこれ渡していいって)


 モカはモモンガ装備の首元についている石に触れると、1振りの剣を取り出した。


四大精霊女王(エレメンタルクィーン)の剣(ズソード)。銘はまだないからリアンがつけていいわ。これを使ってくださいって)


(これは?)


(精霊女王がリアンを勇者として認めたってこと。リアンが正当な勇者よ。これで魔王が倒せる)



 確かに前回俺は勇者ではなかった。聖剣でもなかったし、聖属性魔法が使えたわけでもなかった。エリーちゃんに誘導されて、アルが言うままに攻撃していただけだ。

 でもそれじゃあカイルは?


(カイルはね、勇者になれなかったの。勇者や勇者見習いの称号はね、異世界人には付きやすいものなのよ。でもそれを確固たるものにするのは本人の行動次第なの。みんなに責められるまで討伐に加わらず、最後の最後でセクハラする彼はその資格を失ってしまった)


 モカは俺に剣を渡した。剣からは神々しい光を放っていたが、不思議と眩しくなかった。


(さぁリアン。ううん、川原亮平くん。勇者として魔王を退治してください)


(わかった。ありがとう、モカ)



 下を見れば魔王が復活しないようにステルス状態のミランダとモリーが魔王を弱らせていた。アイリスやチェリーは壁際で目を細めてこちらを見ていた。下から見ると眩しいんだな。


 俺は剣を抜いて持っている魔力を全部総動員して、身体強化に使った。


「ウォーーーーー」


 俺は渾身の力をもってエレメンタルクィーンズソードで魔王を突き刺した。

 魔王は消滅し、重苦しい瘴気は消え、辺り一面が光り輝いた。








 そして気が付くと……俺は法廷にいた。


お読みいただきありがとうございます。

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