五十八 その証②
「やあやあ! リュミネーヴァさま」
「お久しぶりですわ、リク様」
放課後、さっそくリクヴィールの研究室がある王国軍本部へと出向いた。
(善は急げって……言うもんね)
「聞きましたよ、色々あって……たいへんだったみたいですね?」
「本当に……ね。まったく落ち着きませんこと」
「残念ながらそれには間に合いませんでしたけど……、おかげ様で! 魔道具は完成しましたっ」
「お役に立ててなによりですわ」
水の魔法……、身を守ることを優先した魔法を付与した魔道具。
事前にユールや兄へは軽く水の羽衣を付与してはどうかと伝えていた。
魔法とはイメージ。
そういった魔法が付与されていれば、自ずと自身を流れる魔力も、それに追随しようと全力で外敵から身を守ろうとするだろう。
「まぁ、これでしばらくはライエン殿も安心……。と思いきや、なんだかまだまだ……不穏みたいで」
「はぁ……。そうみたいですの」
(これは、聞くチャンスでは?)
リクヴィールがどの程度まで上から情報をもらっているかは分からない。
当たりさわりのない聞き方をしなければ。
「その、魅了についてなんですけれど」
「はい?」
「ユール様に、少しお話は伺いました。本来は闇の魔力の領分であると」
「? そうですねぇ」
「その、……なんといいますか。……上手く言えないのですが、私たち魔法使いは、完全に魔力を掌握することが強さの前提です。……澄んでいて、その者に纏うように凪いでいる魔力と言うのは、それだけで優れた魔法使いであると分かります」
そういう意味でもエメラルダ嬢は、きっと魔法使いとして優秀だと思う。
「それはーーリュミネーヴァさまがおっしゃるなら、そうなんでしょうね」
「……でも、ユール様は、……魔族の方は魔力の感じ方が少し違うご様子なのですが。……それは、……闇の魔力に、意志があるから……なのでしょうか?」
「!」
本当はこんな大事なこと、ユールに直接聞きたかった。
でもそれ以上に、真実に近づくまでの時間が惜しい。
「えっと、それは……さすがと言いますか、なんと言いますか」
「! では、やはり」
ということは、レイセルに感じたあの違和感。
やはり、闇の魔力で間違いない。
でも、彼は魔皇国の血は引いていないはず……。
「あーー、あの。リュミネーヴァさま? これ、けっこう大事なことでして、私がお伝えするより、ユールさまに聞いて欲しいかなぁ……なんて?」
「っ! そ、そうですわよね……。では、ひとつだけお聞きしたいのですーー」
きっと魔族に嫁ぐのだから、それは伴侶に聞けと。
そういうことだろう。
だが、これだけはどうしても聞いておかねば。
「魔族以外の者が、純粋な闇の魔力を手にする方法……ご存知でしょうか?」




