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十七 相反するもの

「ーー!?」


 弾かれたように豪奢な扉をみれば、渦中の人物。

 ユールティアス本人が、その場にいた。


 そういえば、招待されてなかった……な?


「ゆ、ユール」

「私はそれをリュミにしか許してないけれど……、それより」


 一歩一歩、広間の中心。

 私達の方へと近付く。


 魅了された者達は意識もないままその道を譲り、むしろ歓迎しているようだ。


「その力の使い方、どうかと思うけどね」

「っ!」


 どこか怒気の含んだ声でいえば、右手を掲げた。


『ライエン殿とシンシア殿は無事想いが結ばれ、婚約を破棄されたリュミネーヴァ嬢は私に見初められる』


 それは闇の祝福のように、シンシアの光の魔法を退け。

 ユールティアスが指を鳴らすと同時に、光も、闇も、消え失せた。


「うそ……なんで!?」

「君は魔族をよく知らないようだね」


 不敵な笑みで返すユールティアスは、どこかシンシアの思惑を分かっているようだ。


(いったい何が……)


「お、おおお。エレデア、万歳!」

「魔皇国とも友好が築けるのであれば、見事な采配なのでは……?」

「秘密裏に進めてらしたのかしら」


 正気に返った客人たちは、困惑が嘘のように晴れ晴れとしている。

 えーーっと、つまり。

 ユールティアスも、魅了をつかえる?


「なんで、なんで……光の魔法は世界で一番強いんじゃ!」

「勘違いしてもらっては困る。光と闇は表裏一体。本質を理解していない君に、魔族は倒せないよ」

「……?」


 原作勢でないのが悔やまれる。

 話についていけない。


「ライエン殿」

「……」


 見れば、シンシアの横にはライエンの姿が。


「約束は、果たしたぞ」

「……恩に着る」

「ちょ、ちょっと! 私を置いて話を進めないでよ!」

「シンシア、君にはしばらく大人しくしていてもらう」

「はぁ!?」


 まるで、ライエンはこうなることが分かっていた様子だ。

 いつも、彼は一人で事をこなす。


「リュミ」

「は、はい」


「……すまなかった」


 それだけ言うと、すぐ様シンシアを引っ張って奥へ引っ込む。

 謝罪。

 なにに……?


「ライエン殿は、言葉が足りないね」

「それは」


 私も、きっとそうだった。

 だから彼を、彼の意図だけを推し量ろうなんて、無理だ。


「でも、だからこそ。不確かなものほど、その淡さゆえに恋い焦がれるんだろうね」

「……」


 少し、ほんの少しだけ。

 ライエン自身を見ようと思った時、見えてきたことがあった。


 いくら原作に忠実に生きようとはいっても。

 せめてヒロインが現れるその時まで、彼の寂しさに向き合っても良かったのではないか?


 ……今となっては、どうしようもないのだが。


「初めは国益のためだったんだけど」

「え?」

「……でも、やっぱり受けて良かったよ。リュミ、君は想像以上だ」





ご覧いただきありがとうございます。


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