二人の誓い
「お嬢様〜お綺麗ですぅ」
ウェディングドレスを着て鏡に映ったフェシリアを見てライラは感嘆の声を上げた。
シンプルなデザインのドレスに長いヴェール、透き通るような白い肌、薄くピンクの唇、綺麗に巻かれた髪、首元にはノーフォーク公爵家の花嫁が代々つける赤い宝石のネックレスを付けていた。
「はぁ〜〜」
ライラは再び声をもらした。
「ライラ、私緊張してきたわ。どうしよう」
今日はいよいよグレアムとフェシリアの結婚式。
近くの協会で式を挙げた後、ノーフォーク公邸で客を招いて結婚を祝うパーティーが開かれる。
雲一つ無い晴天、まさに結婚式日和だ。
「えっ?緊張してるんですか?もう逃げないで下さいよぉ」
「に、逃げないわよ!」
館の中がザワザワとし始める。
親戚達が集まってきた様だ。
コンコン!
とドアをノックする音がしてアリツィア婦人が顔を出した。
「フェシリア、もう準備終わった?まぁ!まぁまぁまぁ綺麗!」
「アリツィア夫人、有難うございます」
「まぁー綺麗ね!グレアムも惚れ直しちゃうわ!」
アリツィア夫人はクルクルとフェシリアの周りを踊るように歩き
360度の角度からフェシリアをじっくり観察した。
「いけない!用意が出来たら応接室に来てって伝えに来たんだったわ!どうかしら?」
「はい、大丈夫です」
フェシリアは長いヴェールの後ろの方をライラに持ってもらい館の中の廊下を歩く。グレアムに向かって一歩、一歩と。
しばらく歩くと、ヘンリーが応接室の前で待っていてフェシリアが来るとドアを開けてくれた。
中に入ると、ウィリアム夫妻がニコニコしている。
「綺麗だね!フェシリア。今日はいい天気だよ!」
ウィリアムは上機嫌だ。
トリスタン男爵家の方は……と見ると、ユリウスは汗を拭き拭き、ウィリアムの方に行ったり、アンの方に行ったりとせわしなく動いていた。
フェシリアを見ると片手を上げて
「今日はしっかりな!フェシリア!」
と言った。アンは前みた時よりは体調は良さそうだったが、フェシリアには何も言わなかった。
エリザベスは黙って横を向いていた。
そして、部屋の一番奥にグレアムがいた。
結婚衣装をピシッと着こなし、いつもと違い綺麗な金髪を後ろに軽く撫でつけている。アイスブルーの瞳でフェシリアに微笑みかけてきた時は薔薇が咲き誇ったようだった。
皆、グレアムの余りの美しさに気を失いそうだった。
「やぁ、フェシリア。綺麗だね」
「グレアム様も、とても素敵です」
「んー。どうしても様はつくんだね?まぁ、いいやこれからは時間がたっぷりあるからね」
二人が話しているとヘンリーが扉を開けた。
「馬車の準備が整いました!皆さんどうぞ玄関ホールの方へ!!」
◆◆◆◆◆
式は厳粛に行われた。
高い屋根の協会内のステンドグラスから差し込む光、少し緊張している牧師、新婦より先に泣き出す新婦の親、祝福する皆の顔。
何もかもが幸せの象徴の様だった。
二人はこの日、神と人々に愛を誓った。
グレアムとフェシリアは名実共に夫婦となった。




