ずっと一緒に
「いやーノーフォーク公爵おめでとうございます」
「有難うございます、妻のフェシリアです」
「宜しくお願い致します」
教会での結婚式を終えた二人はノーフォーク公邸に戻り、招待客への挨拶に回っていた。
パーティーは庭園で開かれた。天気もよく花も綺麗に咲き誇り、たくさんのご馳走と美味しいワインや飲み物を用意した。
フェシリアはグレアムの片腕に自分の片腕を通し、挨拶をして回っていた。
後、何人に挨拶があるのかしら…?
さすがノーフォーク公爵家、招待客の数が半端じゃないわ。
フェシリアは頑張っているが、喉はカラカラ、履き慣れない靴で足も痛くなってきた。
「大丈夫?後もう少しだよ、終われば少しは休めるから」
グレアムが優しく言った。
フェシリアはグレアムに気を使わせては行けないとそこから必死に笑顔を作り回った。
あらかた招待客回りも終わり、二人は新婚夫婦に用意された席に戻ってきた。
「お嬢様、おめでうございます!これどうぞ」
ライラが良く冷えたライム水を差し出した。フェシリアはグビグビ飲んだ。乾いた喉は一挙に満たされた。
「ク…ククッそんなに喉乾いてたの?ここからはゆっくり出来るよ」
グレアムが笑う。フェシリアはちょっと恥ずかしくて後悔した。
招待客達は各々ご馳走やワインを食し、会話を楽しんでいる。見ていると中々食事は好評のようだ。
時折り、仲の良いもの達がフェシリア達にお祝いを言いに来た。
「兄様、フェシリアおめでとう!これで本当の兄弟ね!」
「二人共おめでとう!今日からまたよろしく!」
ルークとティアがお祝いを言いに来た。「ありがとう!」フェシリア達がお礼を言うとティアは意味ありげにフェシリアに目配せして去って行った。
(何かしら………?あっ!)
フェシリアはルークとティアが手を繋いで歩いている事に気付いた。
(まぁ!良かった!良かったわ!ティア!)
「フェーシリア!」
ハッと気づくとアリーだった。今日は髪もおろしている
「おめでと。私、呼んで貰えるなんて思わなくて。ありがとう!そしておめでとう、フェシリア!」
「アリー!有難う!」
二人は抱きあって喜んだ。
(アリーも来てくれるなんて!!)
「君たちにはちょっと妬けるな…」
グレアムが苦笑いしている。その先ではルドルフが手を振っているのも見えた。
「ルドルフも来てるよ。でも照れちゃってここまでこれないんだ。なぜかちょっと泣いちゃってるし」
アリーはそういうと「またね!」と言ってルドルフの元へ帰って行った。
その後、グレアムが部下数人に呼ばれて少し席を外した。少しすると、フェシリアの後からフェシリアを呼ぶ声が聞こえた。
「フェシリア」
振り返ると母アンだった。アンと話すのはいつぶりだろう。フェシリアは言葉が出なかった。
「フェシリア、私はあなたに謝らないし、おめでとうなんか言わないわ。ただ、誤解は解いておくわ。」
(この後に及んで何を言うというのだろう…)
「エリザベスは確かにユリウスの子では無い。」
本人の口から聞くと生生しいものがあった。
何故そんな話をこの祝いの席で今。フェシリアは強い怒りを感じた、しかし黙っていた。
アンは続けた。
「リチャードは本当に愛した人だった、私の生涯をかけて。けれど、エリザベスを身篭った時に会う事は止めた。諦めたのよ。勘違いをしないでほしいけど、私はユリウスの事ちゃんと愛している。けれど、リチャードとは違う愛だわ」
「……」
「あなたを見るとユリウスに似ていて、いつも責められている様な気持ちになったわ」
「……」
「フェシリア、あんたノーフォーク公爵を愛してるんだろう。絶対に、絶対に離すんじゃないよ!生涯をかける程愛した人を失った女はみじめだ」
最後のアンの言葉は力強く、いつもとは違う口調だった。
「アン!ここにいたのか?あぁ…フェシリアおめでとう…うっ…グスッ…良かったなぁ」
トリスタン男爵が母を探してやってきた。教会でも泣いていたが、まだ泣いていたのかとフェシリアは驚いた。
「たまには、実家に帰ってこいって言ってたのよ!行きましょ!ユリウス。」
「あ、ああ…グスッ」
母とはまだ和解に時間がかかるかも知れない。
けれどいつかわかり会えるといい…。フェシリアは席に戻って行くトリスタン男爵夫妻を目でおった。
見ていたら、エリザベスと目が合ってしまった。
エリザベスは最初【フンッ】と顔をそらしたが、フェシリアの方を真正面から見直すと【アッカンベー】をした。
「ふふっ」
フェシリアは嬉しくなった。エリザベスは変わらない!それがこんなに嬉しい事があるだろうか!?
「何か、楽しいことがあったの?」
フェアが笑っていると、グレアムが戻ってきた。
フェシリアはグレアムが部下から貰ったというリック皇太子からの祝いの手紙を受け取り、今の一件を話した。
「うーーん」
グレアムは言いかねている様だった。
「何ですの?言ってくださいな」
「うん。これは私の私見なんだが、リチャードはコリンズ家の養子なんだ。元は商人の家の産まれでね」
「ええ」
「コリンズ家の娘が一目惚れして、死ぬ、死なないと大騒ぎして……それで先代のコリンズ伯爵が諦めて半ば無理矢理結婚させたんだ」
「まぁ…」
「本当は、リチャードは君のお母さんと一緒になりたかったんじゃないかな?でも、そうすると爵位を失ってしまう。君のお母さんにも貧しい思いをさせる」
「……」
「トリスタン男爵は優しくて、君のお母さんにベタ惚れなのは社交界では有名だったそうだよ。リチャードは身を引いたんだと思うよ」
フェシリアは想像していた。
社交界の華とも呼ばれた少女が素敵な紳士に出会い、恋に落ちた。相手が既婚者と聞いても諦める事ができない程、愛してしまった…
母はそんな辛い恋をしたのだろうか。
「まぁ、全部私見なんだ。悪い、こんないい日に話す事じゃなかったね」
フェシリアは首を横に振った。
母の言葉が頭をよぎっていた。
「いいえ、いいえ!グレアム、私、あなたを愛しています。頑張りますからずっとそばにおいて下さい」
グレアムはフェシリアを見て一瞬表情が固まった。
と思ったら、すぐに見たことも無い程の満面の笑顔に変わりフェシリアを抱きしめた。
「君って人は!」
見ていた招待客から歓声が挙がった。
「何だ!仲良しだな」
「ヒューヒュー!」
「こうなったら、あれだな!」
招待客に挑発されるようにグレアムはフェシリアにキスをした。フェシリアはまた真っ赤っ赤だった。
そんな二人を
ルークもティアも
アリーもルドルフも
ウィリアムもアリツィアも
ユリウスもアンも
ティティスもイルフォーバルも(?)
ヘンリーもライラも、招待客の全てが暖かく見守っていた。
空はよく晴れ雲一つ無く、その先どこまでも晴れ渡り、二人の未来を照らしているようだった。
ここまでお付き合い頂き、有難うございました(*^^*)
感想・評価宜しくお願いします!
この後、ルーク・ティア編も書こうかと思っています。
グレアム・フェシリア編よりは短くなると思いますが良かったらまた読んでみて下さい!有難うございました。




